設備力=競争力の強化を目指した設備投資を継続
属人的なものづくりからの脱却に情報共有と可視化は欠かせない
赤羽精密 株式会社
主要4社で売上全体の80%を占める
赤羽精密㈱は、いにしえの旅人の息吹を感じさせる日光杉並木街道のほど近くにあり、建設機械、工作機械、医療機器、通信機器、OA・FA機器、電子機器関連の精密板金加工を手がける。得意先は300社以上で、そのうち主要4社で売上全体の80%以上を占める。受注形態はパーツ単体からサブアッシーまで幅広い。以前は太陽光発電システムの架台関連の仕事もあり、厚板レーザ加工の仕事も受注していたが、今では板厚3.2㎜以下の薄板の割合が増えている。
5年前に取材で訪問した際の従業員数は23人だったが、その後は順調に仕事が増え、サブアッシーして納品する仕事の割合が高まったこともあり、50名に倍増した。
それにともない年商も8億円と、10億円の大台を伺うまでに成長した。しかし、2018年後半から始まった米中摩擦の影響で、2019年は減収減益となった。今年3月以降は新型コロナウイルスの感染拡大による非常事態宣言の影響を受け、4-6月期は30%ちかく受注が落ち込んだ。特に建設機械、工作機械は深刻で、大幅な落ち込みとなった。影響が比較的少なかった医療機器関連や単発で受注した新規の仕事などを入れることで、現在の落ち込みは20%程度にまで改善している。
9月に入り、新規の大型案件の引合いも出るようになった。福田慎也社長は「V字回復とまではいかないまでも、商談中の大型案件の受注が決まれば、来年の売上は大きく改善すると思います。今は単発でも仕事を入れることに注力しています」と最近の状況を語っている。
コスト競争力を備えるための取り組み
受注競争がきびしさを増していて受注単価が低下傾向にあるため、現在は「生産性を向上して、コスト競争力を備えることが重要になっている」(福田社長)という。
「当社は赤羽会長の先見性もあって、工場設備は自動化を徹底、アマダの最新設備を導入してきました。また、IoTを活用したものづくりプロセスの可視化にも力を入れてきました。生産管理システムWILLを早期に導入、生産の進捗・実績管理を徹底することで工程間のムダ取りをするとともに、稼働サポートシステムを活用して工場内設備の稼働状況を把握、工程間作業の平準化に取り組みました」。
「さらには生産情報を一部のお客さまに公開する『アクティブホームページサービス』を導入しました。お客さまにご注文いただいた製品のものづくりに関わる情報や進捗状況を公開することによってお客さまからの問い合わせ対応業務が大幅に削減、お客さまからの信頼度も改善しました」。
「こうした努力の積み重ねがあるからこそ、コスト競争力を備えることもでき、きびしい受注競争でも成約率を上げることができました」(福田社長)。
会社情報
- 会社名
- 赤羽精密 株式会社
- 代表取締役会長
- 赤羽 文雄
- 代表取締役社長
- 福田 慎也
- 所在地
- 栃木県日光市森友166-3
- 電話
- 0288-21-0590
- 設立
- 1986年
- 従業員数
- 50名(技能実習生6名含む)
- 事業内容
- 建設機械・産業機械・医療機器・通信機器・OA機器・電子機器・看板(サイン)の精密板金加工、厚板レーザ加工
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