特集

“競争”から“協創”へ ― 日台連携を望む台湾板金業界

「2022年操業開始」を目標に新工場建設計画を立案

日系企業との連携に意欲

華谷電機股份有限公司(Hwaguo Electrical Machinery Co.,Ltd.)

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画像:「2022年操業開始」を目標に新工場建設計画を立案①ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ+ASFH-3015G/②ブランク加工された部材は、現品票シールが貼られ、次工程へ送り出される

グループで300名以上の社員を擁する

画像:「2022年操業開始」を目標に新工場建設計画を立案左から劉明勝総経理、劉明宇設計工程師(4月からアマダスクールで研修)、劉華茂董事長、劉明鑫さん

華谷電機股份有限公司は、1983年に5人兄弟のうちの4人によって台中市内で設立され、制御パネルと配電盤の製作を始めた。1991年には、より効率的でより良いサービスを提供するために台中工業団地に移転。また同年には、アマダ台湾からCAD/CAMネットワークシステム、1995年にはレーザマシンLC-2415αⅢなどを導入。精密機械板金産業に参入してから総額2億台湾元(6億円)を投資した。

1997年には航空業界に参入する目的で台湾工業技術研究院と航空宇宙向けの板金部品の研究開発を開始し、ISO9001を取得した。翌年の1998年には台湾懐霖工業股份有公司(TAIWAN FYLIN INDUSTRIAL CO.,LTD.:TFI、小誌2018年5月号掲載)を設立、航空業界向けの板金製品の研究・開発・製造に注力するようになった。そして独自のTFIブランドの航空貨物コンテナ、貨物パレット、パレットネットの製造に関して、台湾史上初の技術標準書(TSOA:Technical Standard Order Authorization)を取得した。

さらに2003年には米国連邦航空局(FAA)から航空貨物コンテナ、貨物パレット、カーゴネットの設計・製造認証を取得し、台湾の航空産業の国際化に貢献。華谷電機と台湾懐霖工業を合わせて、300名以上の社員を抱える企業グループに発展した。

  • 画像:「2022年操業開始」を目標に新工場建設計画を立案左:ENSIS-3015AJで加工した部材/右:現品票シールには、バーコードと図面が印字されている
  • 画像:「2022年操業開始」を目標に新工場建設計画を立案曲げ工程では、コンソールの横にタブレット端末を設置(赤囲み部)。加工途中でもコンソールから取り外して図面を呼び出して確認できる

クラウド・コンピューティング環境を確立

2011年には台中市精密機械園区に4億5,000万台湾元(15億円)を投資して新工場を開設。設計から製造までの一貫したサービスを提供するため、板金加工工程から溶接・組立工程、脱脂・洗浄・塗装工程に最新設備を導入。デジタル化された自動生産システムとERPシステムを連動した統合生産システム(IMS:Integrated Manufacturing System)を構築、生産効率と品質が大幅に改善した。

劉明勝総経理は「図面や指示書などはそれまで、紙や作業者の記憶に頼った管理を行っており、情報が混乱し、不良を発生させる要因となっていました。私たちは専門学校で制御技術やコンピュータを学んできたので、IT化・デジタル化を進めて効率化を図り、不良をなくすことでお客さまから信頼していただける企業にならなければいけないと考え、こうしたシステムを構築しました。現在では管理プロセスのすべての情報をクラウドサーバーに一元化することで、クラウド・コンピューティング環境を確立しています。作業者にはタブレット端末を持たせ、作業の進捗情報なども確認することができます」。

「また、レーザ加工が終了すると指示書に対応して現品票に対応するシールがプリントアウトされます。シールには展開図・立体図が印刷されているので図面の確認ができます。作業者はそのシールをブランク材に貼ります。これによって部品ごとのID管理が実現するので、後工程ではシールの品名を読んで、自分がする作業を確認することができます」。

「また、作業者にはタブレット端末を支給し、仕事の負荷状況や、加工を担当する製品に関する図面情報を確認するとともに、段取り情報やeラーニングに対応した教育支援情報などが閲覧できるようになっています。それによって短納期に対応するとともに、しっかりと品質管理を行うことで不良をなくし、コストダウンを実現してきました。また、技能伝承や人材育成にも役立てています」と語る。

  • 画像:「2022年操業開始」を目標に新工場建設計画を立案溶接工程では溶接作業者がタブレット端末から図面を呼び出して突き合わせを確認することもできる
  • 画像:「2022年操業開始」を目標に新工場建設計画を立案溶剤・静電粉体塗装ラインで塗装を行う

会社情報

会社名
華谷電機股份有限公司
董事長
劉華茂
総経理
劉明勝
住所
台湾・台中市南屯區精科路16號
電話
+886-4-2359-4446
設立
1983年
従業員数
200名
主要製品
バイオテック、医療周辺設備、工作機械カバー、半導体製造装置カバー、自動化設備カバーなど
URL
http://www.hwaguo.com.tw/

つづきは本誌2019年5月号でご購読下さい。

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