1社依存からの脱却を目指し、新規得意先を開拓
多品種少量生産の効率改善にファイバーレーザ複合マシン、新型ベンディングマシンを導入
株式会社 オーエイ
一貫生産体制を強みに事業を発展
神奈川県相模原市の清水原工業団地に3つの工場を構える㈱オーエイは、1976年の創業以来、相模原市内にある住宅設備メーカーの協力工場として主にレンジフード部品の試作から量産までを手がけてきた。1985年から焼付塗装を開始、板金加工・溶接・塗装・シルクスクリーン印刷・組立の一貫生産体制を強みに、主力得意先からの信頼を高め、事業を発展させてきた。
2001年に久保社長が2代目社長に就任してからは、ISO9001、ISO14001の認証を取得したほか、第2工場(塗装・シルクスクリーン印刷)、第3工場(溶接組立工場)を増設し、一貫生産への対応力を強化。2004年頃からはIE(Industrial Engineering)※を専門とする青山学院大学理工学部の松本俊之教授の指導を受けながら、産学連携による改善活動を推進している。2008年には従業員が仕事と子育てを両立できる雇用環境を整備するための行動計画を策定、2013年にはBCP(事業継続計画)を策定するなど、様々な切り口から企業体質の改善に取り組んでいる。
※ IE(Industrial Engineering)
自然科学・社会科学の知識と手法を利用して、人間・資材・設備などの総合的なシステムの効率化を図るための工学的方法。生産工学、経営工学、管理工学などと訳される。
1社依存からの脱却を目指し新規開拓
同社はリーマンショック以降、主力得意先である住宅設備メーカーの1社依存体制からの脱却を目指してきた。
サッシ・建材・住宅設備業界は2000年代に入ってからLIXILグループを中心とした業界再編の動きが活発化。リーマンショック以降は円高の環境下で海外メーカーが参入してきたことで競争が激化し、同社への発注量は激減した。
受注環境が悪化する中、同社は板金・溶接・塗装・シルクスクリーン印刷・梱包までの一貫生産に対応できる強みを活かし、新規得意先の開拓に力を注いできた。その結果、得意先社数は90社ちかくまで増加、売上全体の90%を占めていた住宅設備メーカーの比率は、2013年には60%程度、現在では40%前後にまで下がってきた。
新たに開拓した仕事は、工作機械カバー、自動車部品試作のほか、半導体・FPD 製造装置、計測装置、FA機器などの小規模装置メーカーの仕事が中心となっている。
久保社長は「相模原市を含む三多摩地区にはファブレスの研究開発型メーカーを含む小規模メーカーが多く存在しています。当社が目指しているのは、そうしたローカルな小規模メーカーの1次サプライヤーになること。1次であれば、大手メーカーの2次・3次サプライヤーよりも受注単価の面で有利になる。地元企業というロケーションの良さはお客さまの利便性につながり、海外サプライヤーとの比較でも優位に立てます。海外移転の可能性が低いことも魅力です」と語っている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 オーエイ
- 代表取締役
- 久保 誠
- 住所
- 神奈川県相模原市中央区田名3039-16
- 電話
- 042-762-4021
- 設立
- 1976年
- 従業員
- 45名
- 事業内容
- 板金筐体および版金製品の3次元CAD設計・製作・焼付塗装(粉体・溶剤)・シルクスクリーン印刷・組立・梱包
つづきは本誌2015年11月号でご購読下さい。