特集

「ものづくり補助金」の活用で企業体質改善

「仕事のおもしろさ」を伝え、燃える集団に

設備投資のインセンティブとして助成制度を活用

有限会社 花菱精板工業

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画像:「仕事のおもしろさ」を伝え、燃える集団に①ファイバーレーザ複合マシンLC-2512C1AJ+ASR-2512NTK/②薬液ホルダー/③大学病院と協業して開発したステンレス製の尿器ケース

花菱グループの精密板金加工を受け持つ

画像:「仕事のおもしろさ」を伝え、燃える集団に左から稲田健社長と熊本公祐営業課長

㈲花菱精板工業は、1943年創業の㈱花菱塗装技研工業を中核とする花菱グループの一社として、精密板金加工を受け持つ。1992年、3代目社長の稲田義美氏(現・会長)が川下産業である塗装業の付加価値向上を目指して設立した。

花菱塗装技研工業は、戦前に宮崎県延岡市内にある旭化成㈱の延岡工場の指定業者として、米軍からの爆撃を回避するため工場にカモフラージュとなる塗装をする会社として設立された。1976年に市内大武町の鉄工団地内3,300㎡の用地に塗装工場を建設した。

1983年に社名を花菱塗装技研工業に変更、建設塗装から工業向けの塗装事業へと事業を拡大していった。1990年には福岡県にある㈱フクネツとの合弁で㈱ヒーテックを設立、熱処理事業に資本参加した。

1992年に花菱精板工業を設立し、2005年以降はホンダやダイハツといった自動車関連の外観部品、樹脂製外観部品の塗装を請け負うようになった。2008年のリーマンショックの影響で仕事は半減したが、すぐに軽自動車や二輪車関連の新規の仕事の開拓に成功。さらに創業当時から地元の旭化成の煙突の塗り替え工事、九州電力の鉄塔の塗り替え工事で実績を重ねてきた塗装事業部門が、国土交通省を始めとする官公庁発注の公共工事を積極的に取り込むなどして、落ち込みをリカバーすることができた。

現在は、新富工場(宮崎県児湯郡)の静電粉体焼付塗装、各種金属焼付塗装、各種樹脂塗装など、工業製品塗装事業、建築・鉄骨・橋梁塗装事業に取り組んでいる。

画像:「仕事のおもしろさ」を伝え、燃える集団に左:「ものづくり補助金」を活用して生産管理システムAPC21を導入。携帯端末で作業指示書のバーコードを読み取り、進捗情報を入力する/右:ベンディングマシンHD-1303NTによる曲げ加工

ワンストップソリューションを提供 ― 4代目社長の誕生

多様化する顧客ニーズに、より速く、より的確に応えるため、花菱塗装技研工業は、精密板金加工を得意とする花菱精板工業、金属熱処理を得意とするヒーテックとともに花菱グループを形成している。

4代目となる稲田健社長は「花菱グループとしては精密板金加工から、熱処理による素材の完成度の向上、塗装・印刷までワンストップソリューションでお応えしていきたい」と語っている。

「私は土木建設関連を志し、大学で勉強しながら、延岡市の土木課技術職員として働きました。2005年に市役所を退職して入社。まったくの未経験だったため、4カ月ほど名古屋市内の塗装工場で勉強させていただきました。当社に戻ってからは、新富工場の再建を担当しました」。

「当時、新富工場を見て驚きました。朝礼には30人の社員のうち数人しか参加せず、前日に深酒をすると翌日は欠勤する有り様でした。そうした状況のなかで、徐々に社員のやる気を引き出していき、赴任して3年後には、単体で利益を出せるまで改善できました」(稲田社長)。

「2007年には本社に戻り、社長に就任しました。ところが就任の前後から長年取引があった大手のお客さまからの塗装の仕事がなくなり、売上が大きく落ち込みました。リーマンショックとも重なって経営は苦しく、一時帰休制度などを活用して切り抜けました」。

  • 画像:「仕事のおもしろさ」を伝え、燃える集団に食品機械の溶接作業
  • 画像:「仕事のおもしろさ」を伝え、燃える集団にデザイナーとコラボで開発したアンプルを折る治具(樹脂製)

会社情報

会社名
有限会社 花菱精板工業
代表取締役
稲田 健
住所
宮崎県延岡市大武町39-9
電話
0982-33-7464
設立
1982年
従業員数
19名(花菱塗装技研工業を含めると130名)
主要製品
半導体製造装置、食品機械、医療機器、福祉機器、産業用機器、超音波洗浄装置など板金加工、組立、塗装までの一貫生産
URL
http://www.hanabisi.co.jp/corporate/group/seiban-kougyou-ltd/

つづきは本誌2019年3月号でご購読下さい。

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