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工場のモノづくり“見える化”で効率改善

情物一致の“見える化”実現で大幅増産に対応

工事用車両メーカーの主要サプライヤーとして急成長

武蔵工業 有限会社

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画像:情物一致の“見える化”実現で大幅増産に対応ブランク加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Blank(手前の画面)と生産管理システムWILL(奥の画面)を操作する阿久津将矢氏。2つのソフトウエアを組み合わせることで生産手配のリードタイムが3日から半日に短縮した

工事用車両の主要サプライヤーとして急成長

画像:情物一致の“見える化”実現で大幅増産に対応

武蔵工業㈲は、高所作業車をはじめとする工事用車両向け板金部品の製造を主に手がける部品加工メーカー。事業の柱は3本 ― 主力の工事用車両部品が売上全体の50~60%を占め、フェンダーなどのトラック車体部品とコンベヤーなどの輸送機器部品が合わせて20~30%。定期的に受注する得意先30社前後のうち、工事用車両メーカー、トラック車体部品商社、輸送機器メーカーの上位3社で売上全体の80%を占めている。

主力得意先である工事用車両メーカーとは、1980年頃から取引がはじまった。継続取引する中で売上の30%程度を占めていたが、2012年頃、同社に対して大幅増産要請があった。それに対して同社は、生産管理システムWILLやパンチ・レーザ複合マシンACIESの導入、新工場建設などにより情物一致の“見える化”を実現することで対応。2012年から2017年までの5年間で売上高は約2.2倍に、従業員数も19人から35人に増えた。

阿久津光康社長は「お客さまである工事用車両メーカーは、2016年に製缶部品の材料加工・製作・塗装を一貫して行う部品工場を新設。大型部品以外は外部から調達して組み上げるスタイルに変えていこうとしています。それにともなってサプライチェーンの再編を進めるなかで、板金部品の主要サプライヤーの1社として当社を選んでいただきました。お客さまは今後、海外展開や新機種開発を強化していく方針で、パートナー企業としての当社に対する期待が高まっていると感じています」と語っている。

  • 画像:情物一致の“見える化”実現で大幅増産に対応ブランク工場。手前は2015年に導入した同社初のパンチ・レーザ複合マシンACIES-2515T
  • 画像:情物一致の“見える化”実現で大幅増産に対応曲げ工程。ベンディングマシンHD-1303NTを2台設備

増産要請に情物一致の“見える化”で対応

2012年、工事用車両メーカーから「応援してほしい」と依頼を受けたことが、同社が情物一致の“見える化”に取り組む直接のきっかけとなった。

阿久津社長は「“応援”の内容はかなりのボリュームで、当時の当社にはとてもこなしきれないものでした。はじめのうちはお断りしていたのですが、お客さまは『できるだけでもやってほしい』と粘り強く声をかけてくださり、当社としても何とか対応したいと考えました」と振り返る。

当時の売上構成は工事用車両、トラック車体部品、輸送機器の3本柱がほぼ1/3ずつ。工事用車両メーカーから受注する加工アイテム数は月3,000~4,000アイテム、平均ロットサイズは2~3個で、部品点数は月8,000~1万個だった。使用材料は軟鋼を中心とする鋼板が90%を占め、板厚は0.6~16㎜に対応し、4.5~6㎜の中板が中心。典型的な多品種少量生産で、増産に対応するためには生産設備やスタッフの数だけでなく、管理面の改善が不可欠だった。

小林良輔専務は「そこで考えたのが、生産管理システムWILLとブランク加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Blankの導入による生産手配の合理化でした」と語る。

当時、同社はExcelで作成した受注台帳により受注情報を管理していた。工事用車両メーカーからはEDI受注だったため、受注台帳にそのままコピーできた。しかしそれ以外の2/3は紙の注文書で受注していたため、製番・注番・納期などをすべて入力し直さなくてはならなかった。

作業指示書はなく、基本的には図面に工程・数量・納期を書き込んで現場にまわしていたが、工程をまちがえたり飛ばしてしまったりするミスが頻発。得意先によって管理方法がまちまちな面もあり、管理の負担が増していた。

また、ネスティングは毎回、CAD/CAM上で部品を手作業で選んで割り付けていた。平均ロットサイズが2~3個と小さいためネスティングは必須だが、アイテム数が多いため、時間がかかっていた。

  • 画像:情物一致の“見える化”実現で大幅増産に対応工事用車両の部品の溶接作業
  • 画像:情物一致の“見える化”実現で大幅増産に対応バッファーエリアの台車に積載された仕掛り品。作業指示書に7色の紙を使い「目で見る管理」を実践している

会社情報

会社名
武蔵工業 有限会社
代表取締役
阿久津 光康
専務取締役
小林 良輔
住所
群馬県伊勢崎市波志江町4734-1
電話
0270-26-1681
設立
1970年
従業員数
35名
主要事業
高所作業車などの工事用車両、トラックの車体架装、コンベヤーなどの輸送機器などの部品製造
URL
http://www.musasi-kg.co.jp/

つづきは本誌2018年4月号でご購読下さい。

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