ファイバーレーザ複合マシンEML-AJによる高速・高品位加工
マテハン・搬送装置関連の板金加工で事業拡大
EML-AJを含む4台の複合マシンを使いこなす
株式会社 アスカ
マテハン・搬送装置関連の板金加工で事業拡大 ― 売上の90%を占める
㈱アスカは1970年、土屋隆司会長の父親(土屋昌俊社長の祖父)が兄弟3人とともに土屋プレス工業所として岐阜県各務原市内で創業した。その後、兄弟たちが独立した後も、従来の得意先からプレス加工の仕事を継続受注していった。
1981年に㈲土屋プレスを設立。物流関連のマテリアルハンドリング(以下、マテハン)事業を行う企業から部品製造の仕事を受注するようになり、ロットサイズが小さかったためにプレス加工から板金加工へシフトしていった。
その後、得意先のマテハン事業は保管、搬送、仕分け・ピッキング、情報システムと広がった。納入先も一般製造業・流通業向けシステムだけでなく、半導体生産ライン向け、液晶生産ライン向け、自動車生産ライン向け、空港向けシステムなどへと拡大。同社に発注される板金部品は種類・量とも増え、売上全体の90%ちかくがマテハン関連メーカーからの仕事になった。
直近10年ほどは、スマートフォンやタブレット端末向けの半導体・液晶工場で使用するクリーンルーム用搬送・保管システムの需要が拡大し、同社への発注量も右肩上がりで伸びていった。
コロナ禍の影響は少なからず受けており、土屋社長は「流通業向けの搬送装置は巣ごもり需要のおかげで好調のようですが、クリーンルーム向け搬送・保管システムの仕事は20%ほど落ち込んでいます。ただ、それまでがひどく繁忙だったこともあり、“落ち込んだ”というよりは“落ち着いた”という印象です。コロナ禍の影響もありますが、私自身は半導体をめぐる米中摩擦の今後の展開に注目しています」と語っている。
事業承継 ― 社員が仕事に打ち込める環境を
1989年に㈱アスカに改組し、1991年に本社工場を各務原市内の北洞町(現・北洞工場)へ移転、工場も段階的に増築していった。ブランク加工設備もユニパンチプレス、タレットパンチプレス、レーザマシンを次々と導入した。
土屋隆司会長は「当時の社長は兄で、私は専務として兄をサポートしていました。お客さまのクリーンルーム向け搬送・保管システムの事業は年々成長し、当社の受注も増えていきました。一般製造業・流通業向けの搬送装置や、半導体・液晶搬送装置の仕事は、抜き・曲げ加工の部品が中心でした。納期も短く、現場は常に繁忙状態。そんな中、2002年に急きょ私が事業を承継することになりました」と、社長就任当時の状況を語る。
土屋昌俊社長は、土屋会長が社長に就任した頃に大学を卒業し、一般企業に入社した。
土屋会長は「私自身、社長に就任するとは思っていなかったので『息子は好きな道を選べば良い』と考えていました。ところが予定外の社長交代で、事業継続のためには息子に早く入社してもらい、仕事を覚えてもらいたいと考えるようになりました」と振り返る。
土屋社長は「応用化学分野の企業に入社しましたが、そこへ突然、父から『戻ってこい』と声がかかり、驚きました。希望して入社した会社でしたから、すぐに辞めるわけにもいかず、3年ちかくお世話になってから、2006年に家業に戻ってきました」と語る。
土屋社長は入社当初、現場の作業からじっくり覚えていくつもりでいたが、半年もしないうちに主力得意先との人間関係の構築 ― 人脈づくりが必要と感じ、現場から営業に異動した。土屋会長と話し合い、「現場は社員に任せて、経営者は社員が夢と希望を抱いて仕事に打ち込める環境づくりをする」と決めた。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 アスカ
- 代表取締役会長
- 土屋 隆司
- 代表取締役社長
- 土屋 昌俊
- 本社・工場
- 岐阜県各務原市那加山崎町43-11
- 北洞工場
- 岐阜県各務原市那加北洞町2-185
- 電話
- 058-382-3066
- 設立
- 1981年
- 従業員数
- 44名
- 主要事業
- クリーンルーム内搬送装置、半導体・液晶生産ライン向け搬送装置、物流自動倉庫関連、工作機械、レジャー設備、健康機器などの部品加工、制御盤・機械組立
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