特集

普及が進む工程統合複合加工

製作コストの削減や短納期対応で生産性2倍アップ

屋外仕様が強みの提案型企業

株式会社 マエショウ

LINEで送る
Pocket

画像:製作コストの削減や短納期対応で生産性2倍アップ①2013年に導入したパンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T+AS-2512NTK+ULS-2512NTK/②2013年に導入したACIES-2512T(手前)と2016年に導入した2台目のACIES-2512T(奥)

屋外仕様を強みにさまざまな提案をする

画像:製作コストの削減や短納期対応で生産性2倍アップ角谷和行社長

㈱マエショウは、設計から完成まで一貫生産を行う屋外盤・防水仕様筐体の提案型メーカー。移動体通信基地局の通信盤や制御盤の設計・製作 ― 板金加工から溶接組立、塗装(協力会社)、電装組込み、水漏れ・環境試験まで一貫対応している。

同社は1979年に「㈲前正工業」として創業し、2年後の1981年に株式改組。1990年に㈱マエショウに社名変更した。もともと板金加工メーカーとして創業した同社は、1991年から盤内電気配線事業部を立ち上げ、2001年には移動体通信基地局設備関連機器に参入。2016年には、それまで工場があった碧南工業団地(愛知県碧南市)を離れ、愛知県西尾市吉良町に取得した敷地5,000坪に建設した本社・工場に移転した。

新工場は、盤筐体の板金加工工場と制御機器の組付け・電気配線を行う組立工場が同じ敷地内にあり、盤製作に必要な工程をワンストップで対応できる。ISO9001の認証を取得し、日本配電制御システム工業会が認定するJSIA優良工場の認定も受けている。より付加価値の高い盤を設計・製作するため、IP(防水・防塵規格)の試験設備、盤内温度の制御を行う環境試験室、屋外盤の騒音を計測する無音響室を社内に配備するなど、得意先が使用する環境を想定し、数値に基づいたモノづくりを行っている。

経営方針は「屋外仕様を強みにさまざまな提案をする」。角谷和行社長は「屋外盤だけで、メーカーになるのはなかなか難しいと思います。今までもお客さまの仕様に沿った製品をつくりながら、自社商品の可能性を模索しましたが、なかなかうまくいきませんでした。しかし、社員のモチベーションを上げる意味でも、自社商品開発は進めたい」と語る。

  • 画像:製作コストの削減や短納期対応で生産性2倍アップ曲げ加工エリア
  • 画像:製作コストの削減や短納期対応で生産性2倍アップベンディングロボットシステムASTRO-100NT+HDS-1030NTRてるるが2台導入されている

屋外盤関連のみで売上全体の50%以上

同社は現在、コーポレートサイトのほかに「屋外盤設計・製作.com」というソリューションサイトを設け、盤筐体の設計・製作 ― 板金加工、溶接・塗装から電気機器(制御機器・通信機器)の組付け配線までを一貫して行う事例を「製品」「技術・サービス」「保護等級」「規格認証」に分類して公開。電気制御と板金加工の両方に対応できる同社には、短納期対応やコストの見直しなど、同サイトを通じて盤製作に関する相談が寄せられる。

そこで、これまでに設計・製作した盤と板金加工品を6つに分類し、それぞれの特徴を組み合わせた紹介を行うことで、利用者の利便性も考慮している。条例キュービクル適合盤や、防水・防塵規格のIP44やIP55に対応した盤、盤クーラーによる温度制御をしている盤などの事例も掲載されており、営業ツールとして存分に活用されている。

現在は提案型の仕事が多くなっている。そのため、設計を強化して、図面から自社で作成する仕事のウエイトを増やしている。売上を見ると、精密板金加工関連は減少する一方、屋外盤関連は伸びており、全体の50%以上を占める。

使用する材料は、屋外仕様のため耐候性のあるZAMが50%と多い。同社は移動体通信基地局の仕事でZAMを大量に使ってきた実績があるため、引合いがあった顧客には材料変更の提案をすることもある。ステンレスは塩害地などでない限り使用することはない。

毎月製作する面数はサイズによって異なるが、分電盤などの小さいものも含めると、かなりの面数となる。また、新規品とリピート品の比率は半々くらい。新規品といっても少し設計変更する程度のものも多い。リピートの場合、ロットサイズは10~20台が一番多い。

「屋外設置盤を含め、今後もさまざまな社会インフラで盤に対する需要が出てきます。当社では鉄道・エネルギー関係、インフラ関係などの仕事も行っています。中でも今後はエネルギー関係のインフラ市場が加速することが予想されます。当社はすでに屋外盤を手がけているため、いろいろなお問い合わせをいただいています」(角谷社長)。

画像:製作コストの削減や短納期対応で生産性2倍アップ左:TIG溶接工程/右:加工を終えると出荷検査と梱包が行われる

会社情報

会社名
株式会社 マエショウ
代表取締役
角谷 和行
住所
愛知県西尾市吉良町宮迫樫木31-187
電話
0563-35-3235
設立
1979年
従業員数
100名(派遣社員除く)
主要事業
各種制御機器の設計・製造・販売、屋外盤の設計・製造・販売
URL
http://maesyou.co.jp/

つづきは本誌2019年4月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから