3兆円の建設機械産業を支える板金サプライヤーの最新動向
年商127億円達成 ― 生産技術のノウハウを生かし処理速度を最大化
「専用機化」と「ロボット化」で圧倒的なコストパフォーマンスを発揮
株式会社 内山製作所
売上高100億円の大台を突破
建設機械の板金サプライヤーとして目覚ましい成長を遂げてきた㈱内山製作所が、年間売上高100億円の大台を突破した。
2022年5月期に前期比46%増の102億円を達成し、直近の2023年5月期は前期比24.4%増の127億円となった。これは、20年前(4.5億円)の28倍、10年前(25億円)の5倍、5年前(54億円)の2.3倍に相当する。大手建設機械メーカーとの取引が本格化したところへ、コロナ禍からのV字回復とサプライチェーン再編が重なり、業績を伸ばした。10年前にはすでに急成長企業として広く知られていた同社だが、ここ5年間は成長速度をさらに加速させている。
同社は油圧ショベル、ダンプトラック、クレーン、ホイールローダー、道路機械、高所作業車といった建設機械の構成部品をユニット単位・モジュール単位で受注している。得意先は約260社。売上全体の90%が建設機械で、大手建設機械メーカー2社からの売上が約50%を占める。
従業員数は、直近5年間で1.4倍の約600名まで増えた。約430名が日本人もしくは日系人、約170名がベトナム人(技能実習生、特定技能含む)で、ベトナム人34名はベトナム・ホーチミンのCADセンターに勤務している。
延床面積4万3,505㎡の「本社工場」と1万3,376㎡の「本社新工場」のほか、群馬県内に10カ所、栃木県内に2カ所の生産拠点があり、総延床面積は約7万㎡に達する。現在は本社工場の隣地に新工場を建設中で、既設のカチオン電着塗装ラインの隣に粉体塗装ラインを新設し、完全自動の塗装ラインを構築する予定。さらに、長さ6mまでのワークサイズに対応する自動供給装置付き大型レーザマシンと五面加工機を導入する計画だ。
ブランク26台、曲げ47台を「専用機化」
内山進社長は、大手機械メーカーで生産設備のレイアウトから立ち上げ、自動倉庫を含めたFMS構築に取り組むなど、生産技術の最前線で活躍した。1985年に30代で内山製作所を設立し、建設機械・特殊車両メーカーとの取引を開始。自動化が進んだ薄板加工とは異なり、合理化の余地が多分に残された中厚板の領域を主戦場に選んだ。
内山社長は創業当初から、スケールメリットを活かした板金加工の自動化ラインの構築を目指してきた。創業後7~8年間は“規模”の拡大のために建設機械業界の得意先を増やし、受注拡大を進めた。レーザ加工を強みに切り板の加工からスタートし、その後は大胆な設備投資と受注拡大を繰り返しながら、持ち前の生産技術のノウハウを生かして生産合理化を進めてきた。
板金工程の設備投資の基本方針は「専用機化」だった。2002年以降は毎年のようにレーザマシンを導入し、今ではパンチ・レーザ複合マシン10台、レーザマシン16台を設備。曲げ工程は「ブランク1台と曲げ2台で1セット」(内山社長)を基準とし、今では計47台のベンディングマシンを設備している。
それらを材質・板厚別に「専用機化」することで、ブランク加工マシンであれば材料の搬入・搬出や条件出し、ベンディングマシンであれば金型交換などの段取り工数を極限まで削減した。当初は合理化の余地が大きい軟鋼(SS400)・中厚板の領域に集中し、軌道に乗ったところで薄板にも注力した。今では薄板(4.5㎜以下)から厚板(6.0~25㎜)までの全領域で「専用機化」を完了し、他社の追随を許さないコストパフォーマンスと短納期対応を実現している。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 内山製作所
- 代表取締役
- 内山 進
- 所在地
- 群馬県館林市大新田町61-1
- 電話
- 0276-56-4414
- 設立
- 1985年
- 従業員数
- 595名(2023年6月現在)
- 主要事業
- 建設機械、道路機械、農業機械用部品の板金加工・機械加工・溶接・製缶・カチオン電着塗装
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