板金工場スマート化事例
工数の“見える化”で工場管理が一変
1年間で仕掛り品を1/2に削減
株式会社 佐藤電機製作所
①iPadを用いてPDF化された三面図を参照する/②iPadに付属しているカメラで作業指示書のバーコードを読み込む
“つながる工場”を目指す
佐藤喜行社長
㈱佐藤電機製作所は、本社が東京都三鷹市にある精密板金加工企業。生産拠点は山梨工場(山梨県山梨市)となる。製品としては、医療機器、半導体製造装置、マテハン機器、通信機器、防災無線関連の筺体・フレーム・カバーなどを主に手がけている。
同社は、創業期から対応している板金・機械加工から組立までのワンストップ生産体制の強みを活かし、1970年代後半には通信機器関連の仕事をスタート。1980年代以降は、山梨工場の新設や加工設備の増強、新たな事業分野の開拓を進め、業容を拡大してきた。
ほかにも、同業他社に先駆けた取り組みを意欲的に推進。2011年にBCP(事業継続計画)を策定、2013年頃に超音波診断装置や医用検体検査装置などの医療機器関連の仕事を開拓した。また昨年からは、同社で運用している生産管理システムWILL受注・出荷モジュール+Mの端末に、iPadやiPodといったモバイル端末を採用した進捗・実績管理の仕組みを構築するなど、ITやネットワークを駆使した“つながる工場”構築に向けて、先進的な取り組みを行っている。
パンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T(棚付き)
ベンディングマシンHG-1003ATCによる曲げ加工
工数の“見える化”で工場管理が一変
モバイル端末を用いた生産管理については、「工場管理を一変させた」と佐藤薫宏(よしひろ)常務は語る。
同社は2006年に工場内ネットワークシステムを整備し、2007年にWILLを導入した。WILLは当初、受注台帳として活用していたが、2012年頃から進捗端末を導入し、ハンディターミナルを用いた進捗・実績管理を行うようになった。
しかし、当時の仕組みでは作業者による着手・完了情報の入力忘れなどがたびたび発生。入力の手間を負担と感じる作業者もいた。そこで、同社は進捗実績の入力をいっそう簡単に行える仕組みづくりを検討。WILLの開発元であるケーブルソフトウェアと打ち合わせながら、モバイル端末を用いた生産管理の仕組みを構築した。2016年春にはiPadやiPodなど計10台のモバイル端末を導入し、作業者1人ひとりに現場端末を持たせる体制を整えた。各工程の管理者は、工数などを詳細に把握する必要があるため、従来どおりWILLの進捗端末を使用している。
「新たに構築した生産管理の手応えは十分です。iPadやiPodに付属しているカメラで作業指示書のバーコードを読み込み、作業の着手・完了を入力すれば進捗情報を簡単にアップロードできるため、入力忘れがほとんどなくなりました。仕事を受注するとき、生産現場の負荷状況を正確に把握したいと考えていたなか、一番の狙いだった工数の“見える化”も実現できました。進捗実績の情報がしっかり取れることで、全体最適を考えたスケジュールを組むことできるようになりました。作業者の工数把握もできるようになり、残業時間の削減など管理面でも大きなメリットを実感しています」(佐藤常務)。
溶接工程
防災無線関連の筺体
会社情報
- 会社名
- 株式会社 佐藤電機製作所
- 代表取締役
- 佐藤 喜行
- 住所
- 東京都三鷹市中原3-1-53
- 山梨工場
- 山梨県山梨市中村772-1
- 電話
- 0422-45-3241(本社)
- 設立
- 1961年
- 従業員数
- 56名
- 主要業種
- 通信機器、医療機器、半導体製造装置、防災関連の筺体・カバーなどの製作、電池や電源の販売事業
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