ものづくりの情報の上流からコミットする
カーボンニュートラル、SDGsにも貢献するBREVIS-AJ
株式会社 浜野製作所
パンチ・レーザ複合マシンLC-1212C1NT(左)とファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ(右)が並ぶブランク工程
「開発・設計型のものづくり企業」
㈱浜野製作所の浜野慶一社長は1993年の先代の急逝にともない、2代目社長に就任した。2000年6月には本社兼工場が近隣の火災によるもらい火により全焼。機械設備をすべて失い、たった1人の従業員にさえ給与を支払えない苦境の中で、同社の復活を信じて取引を続けてくれた得意先や、ともに働き続けてくれた従業員、地域の支えがあり、操業を再開。レーザマシン、ベンディングマシン、溶接機を導入した本社板金工場を開設した。このときの経験をもとに生まれたのが「おもてなしの心を常に持ってお客さま・スタッフ・地域に感謝・還元し、夢(自己実現)と希望と誇りを持った活力ある企業を目指そう!」という経営理念であり、活動の原動力になっている。
浜野社長は日本における中小企業のものづくりが縮小していく中で、浜野製作所から新しい町工場のビジネスモデルを創出し、日本の製造業の発展に少しでも貢献したいと考えるようになった。産学官連携による新しい事業への進出、地域の工場資源を活用した社会貢献活動、将来のものづくりを担う子どもたちへの体験学習、デザイナーとの異業種コラボレーションなど、従来の下請け仕事をこなす町工場のイメージを超えたさまざまな取り組みを行うようになった。
自社の強みと情報集積地「東京」の“地の利”を生かし、情報の上流からコミットメントすることによって、設計から加工(精密板金・プレス・機械加工・溶接)、組立まで行う製品開発のエキスパート集団として「開発・設計型のものづくり企業」という新たなビジネスモデルに挑戦していった。
さらに、2014年にオープンしたものづくり実験施設「Garage Sumida(ガレージスミダ)」を拠点に、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップやものづくりベンチャーの支援活動から、製品づくりで困っている大手企業への支援まで幅広く行う「ものづくりの駆け込み寺」のような存在になっていった。
2017年にリニューアルオープンした「Garage Sumida」
浜野慶一社長(左)と小林亮副社長(右)
NHK、テレビ東京で相次ぎ紹介
2020年6月にNHK BSのテレビ番組「魔改造の夜」の第1回「トースター高跳び」が放送された。この「トースター高跳び」回は大学や企業などから3チームが参加し、ポップアップトースターを改造して食パンをどこまで高く飛ばすことができるかを競う。この戦いの中で同社が見事勝利した経過が放映された。この番組は評判を呼び、これまで何度も再放送やスピンオフが放送されている(直近では2023年6月23日にNHK総合のゴールデンタイムに放送)。
さらに6月22日に放映された作家・村上龍がゲストと対談するテレビ東京の「カンブリア宮殿」には、同社と浜野社長が「不屈の職人集団 ― 新時代ものづくりの全貌」として紹介され、番組放映後には浜野社長宛てに全国からたくさんのメールが届いたという。
ベンディングマシンHG-8025による曲げ加工
溶接・仕上げ工程
会社情報
- 会社名
- 株式会社 浜野製作所
- 代表取締役CEO
- 浜野 慶一
- 所在地
- 東京都墨田区八広4-39-7
- 電話
- 03-5631-9111
- 設立
- 1978年
- 従業員数
- 55名
- 主要事業
- ロボット・各種装置・機械の設計開発、架台・筐体設計・製作、精密板金加工・レーザ加工、金属プレス金型設計・製作、金属プレス加工、切削加工・機械加工、複合加工、各種アセンブリ加工、ラピッドマニュファクチャリング(3Dプリンター・レーザカッター・CNC加工・UVプリント・3Dスキャン・3次元データ作成)
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