「ものづくり補助金」の活用で企業体質改善
「ビジュアル型企業を目指して」
モノづくりプロセスの可視化を進める
ケーアイ工業 株式会社
特徴はデジタル化への対応力
ケーアイ工業㈱の稲葉健次社長は、高校卒業後に溶接を1年間学んでからタンクや架台、配管などを加工する製缶加工工場に入社。そこで6年間、溶接技術を学んだ。24歳になった1983年に独立を決心し、両親に開業資金を借り、同社を起業した。
独立するまで勤めていた会社と得意先を奪い合うことだけは避けたいと悩んでいたとき、ステンレスの手すりの製作を受注した。手すりをつくったことはなかったが、公共施設などで目にする手すりの市場性に注目し、その仕事を引き受けてからは積極的な受注活動を行っていった。公園や駅などで実物を見て、構造や溶接の仕方を研究、品質・コスト・納期を満足するモノづくりを考案していった。これをきっかけに外壁パネルやステンレスドアといった建築金物の仕事を受注することになった。
同社の特徴はデジタル化への対応力。1996年頃、アマダが開発した3次元板金CAD AP200をいち早く導入したほか、ソフトウエアに詳しい北京大学の教授と協力し、自社独自の生産管理システムを開発した。物件対応の一品一様の仕事が多く、汎用ソフトで対応するのが難しいため、開発費用が高額になっても将来のためになると見込んで投資した。Windows 95が発表されると、インターネットの活用を計画、2000年には自社のWebサイトを開設するなど、積極的にデジタル化を進めていった。
そして、昨年新たにパナソニックソリューションテクノロジー㈱の「生産管理システム 生産現場向け見える化ソリューション」を導入。これによりマシンの稼働状況や作業者ごとの負荷、進捗状況などが一目でわかるようになった。
建築金物と産業機械関係の割合は6対4
売上に占める建築金物と産業機械関係の割合は、およそ6対4。95%は新規品か、設計変更品。納期は40~50%が1~3日の短納期となっている。そのため、生産計画どおりに進捗することが難しい。
受注件数は多い時で1日あたり50件、平均すると30件ほど。1件あたり平均10点の子部品で構成されるので、部品点数で見ると1日あたり300点となる。
使用する材料は、ステンレスが50%、アルミが20%、鉄が30%。ステンレスはカラーステンレスやヘアライン、2B材もあり、板厚は1㎜前後から6㎜くらいが多い。アルミは板厚1~4㎜、鉄は1~12㎜まで加工する。外壁パネルは長尺製品が多く、4´×8´材、4×2m材の使用割合が高い。
「毎期10%増収という数値目標を立てていますが、今期に限っては工事遅延などの影響もあり、前年比横ばいで売上見込みは11億円前後です。首都圏の仕事をねらっていたのですが、東京には全国の業者が集まるため価格競争がきびしく、なかなか難しい状況です。五輪需要は大外れでした」(稲葉社長)。
会社情報
- 会社名
- ケーアイ工業 株式会社
- 代表取締役
- 稲葉 健次
- 住所
- 静岡県富士市久沢83-5
- 電話
- 0545-72-2735
- 設立
- 1983年
- 従業員数
- 60名
- 主要製品
- 金属製建材(外壁・手すりほか)、医療機器、食品機械、産業機械などの設計製作
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