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女性スタッフの活躍を支える「マネジメント」と「エンジニアリング」

9連プレスロボットラインとロボット溶接ラインで自動車ボデー部品を生産

株式会社 長島製作所

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画像:女性スタッフの活躍を支える「マネジメント」と「エンジニアリング」平泉工場に設置された9連プレスロボットライン。HV・PHV・EVで使用するアンダーボデーの共通部品の成形加工を行っている

自動車部品・プレス・金型・板金を幅広くカバー

画像:女性スタッフの活躍を支える「マネジメント」と「エンジニアリング」新宮由紀子社長(左)と新宮剛副社長(右)

㈱長島製作所は、岩手県一関市・平泉町・奥州市に工場を構える金属加工メーカー。2000年以降、急速に事業を拡大し、現在はライン設計、治具・制御盤製作、ロボットティーチングなど生産技術全般を手がける「製造設計事業」をはじめ、「金型設計製作事業」「自動車部品製造」「プレス加工事業」「精密板金加工事業」という5つの事業を1社で展開する企業として東北地域で強い存在感を放っている。

売上構成を見ると、自動車部品のプレス加工・溶接・金型治具製作が65%、半導体製造装置部品の精密板金加工が25%、残り10%が暖房機器・通信機器・車載電気機器などの部品加工となっている。

自動車部品の金属プレス加工を手がける企業としては珍しく事業領域が広く、業種・得意先の分散化を実現しており、それぞれの事業・業種が互いに補完し合う強固な経営基盤を築き上げている。

「マネジメント」と「エンジニアリング」の両輪

2015年以降は2代目社長に就任した新宮由紀子社長が「マネジメント」、新宮社長の兄である新宮剛副社長が「エンジニアリング」 ― それぞれの得意分野でリーダーシップを発揮し、着実に成長を遂げてきた。

新宮社長は福利厚生の充実、時短勤務や再雇用制度などの働き方改革、技能検定などの資格取得支援、各種委員会活動の推進など、職場環境や人材育成の面で手腕を発揮し、地域経済の先導的な担い手として注目を集めている。特に、女性が働きやすい職場づくりには力を注ぎ、従業員の女性比率は35%に迫る。この取り組みは高く評価され、2019年には経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」、厚生労働省の「くるみん」(子育てサポート企業)に選定されている。

画像:女性スタッフの活躍を支える「マネジメント」と「エンジニアリング」左:2021年4月に開設した新工場「平泉工場」/右:新方式のロボット溶接ライン。1つの回転式ステージに変更し、省力化につなげた。作業者側(手前)とロボット側(奥)は透明のアクリル板で仕切られ、ロボットの溶接作業中に次のワークをセットする

2000年、自動車部品製造に参入

同社にとってターニングポイントとなったのは2000年。それ以前は事務機器や住宅関連、車載電子機器などの部品加工を手がけるプレス加工専業メーカーだったが、2000年に自動車部品製造の分野に参入した。

最初に受注した自動車部品は3点。上流のプレス工程はともかく、下流の溶接工程はノウハウがまったくない状態からのスタートだった。ロボット溶接は、ティーチング作業の講習を受けた有資格者を育てる必要があった。当時の東北地域には自動車産業に適した金型・治具のメーカー、ロボットを含むシステムインテグレーターが存在せず、社内で製造ラインをつくり込まなくてはならなかった。同社はエンジニアである新宮剛副社長を筆頭にトライ&エラーを繰り返し、少しずつノウハウを蓄積していった。

自動車部品と同時期に立ち上げた精密板金加工事業は、その後の同社の多角化経営を支える役割を果たした。当初は自動車部品の試作からスタートし、2018年までは全社売上の10%に満たなかったが、2019年以降は半導体製造装置をはじめとする新規事業・得意先の開拓により25%まで成長させることができた。新型コロナや部品不足の影響で不安定な自動車部品製造の事業を補うとともに、事業拡大の先鋒を担う新事業として急速に成長している。

  • 画像:女性スタッフの活躍を支える「マネジメント」と「エンジニアリング」平泉工場の曲げ工程。曲げ長さ2~3m対応のベンディングマシンが5台並ぶ。5名中2名は女性スタッフ
  • 画像:女性スタッフの活躍を支える「マネジメント」と「エンジニアリング」本社工場のファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ+LST-3015G

会社情報

会社名
株式会社 長島製作所
代表取締役社長
新宮 由紀子
代表取締役副社長
新宮 剛
本社
岩手県一関市東台14-34
平泉工場
岩手県西磐井郡平泉町平泉字大平10-5
電話
0191-23-3850(本社)
設立
1976年
従業員数
176名
主要事業
自動車部品製造、精密板金加工事業、プレス加工事業、金型設計製作事業、製造設計事業
URL
https://www.nagashima-mfg.com/

つづきは本誌2022年3月号でご購読下さい。

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