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成長業種

ニューノーマルへ向けた「勝ち組」業種

「医療・健康」「デジタル」「グリーン」の3分野に注目

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「新たな日常」に向け3分野を提示

経済産業省が所管する産業構造審議会は先ごろ総会を開催し、「新型コロナウイルスの影響を踏まえた経済産業政策の在り方について」をテーマに議論した。

事務局(経産省)は「新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済は、大恐慌以来の大きな打撃を受けている」との認識のもと、「時間軸と連続性を意識した政策議論が必要」と提言。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)によって「どのようなトレンドが見られ、どういうものが定着するのか」を見極め、「新たな日常に向けた『移行』」を念頭に、必要となる政策の方向性を整理した。

そして、日本経済が「新たな日常」をむかえた時を想定し、抜本的な取り組みの強化を必要とする政策分野として、「医療・健康」「デジタル」「グリーン」の3分野を提示した。

ここでは、新たな板金需要の創造という視点を加え、核となる3分野に関わる関連業種の産業動向について予測・紹介する。

着実な成長が期待される医療機器産業

新型コロナの感染拡大により、世界的に医療機器が不足し、生産国では医療機器の輸出制限も発動される事態となっている。各国政府による増産指示が相次いでおり、日本でも政府が各種補助金を予算計上、産官学が連携した取り組みも始まっている。

しかし、増産のハードルは依然として高い。今年4月、経済産業省による「アビガン・人工呼吸器等生産のための設備整備事業」の公募が行われたが、目標実現には至っていない。既存の医療機器メーカーが製造ラインを増設することが期待されるが、パンデミックが収束した後の需給バランスを含め、長期的な投資回収の見込みが立たないことが足かせとなっているようだ。

板金業界では、経済産業省の令和2年度「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の公募に対して、人工呼吸器をはじめとした医療機器や、空気清浄機などの生産に貢献する板金加工設備などの増設案件が多数申請された。採択された事例も数件出ているが、想定されていたほど多くはない。

これまで日本は、安価な製造コストを求めて、中国などの海外に生産移転するか、海外からの輸入に依存してきた。現在不足している人工呼吸器は、およそ90%を輸入に頼っている。こうした現状を踏まえ、日本の医療機器の基盤を強くして、国際競争力を高めていくことが必要となっている。

みずほ銀行によると、医療機器のグローバル需要は2019年から2024年にかけて年平均成長率5.5%と予想されている。国内需要は、高齢化の進展にともない治療機器需要が増加する一方、病院の機能統合などにともなう急性期病院の減少を受け、大型の診断機器を中心に成長が鈍化するため、同期間の年平均成長率は2.1%と予想されている(図1)

画像:ニューノーマルへ向けた「勝ち組」業種図1:医療機器の需要・生産見通し

板金業界にとっても、医療機器分野は着実な成長が期待される分野であり、注目しなければならない。

つづきは本誌2020年9月号でご購読下さい。

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