Interview

新型コロナの影響で受注内容に変化

オープンイノベーションで少子高齢化社会を支える革新的な技術開発に取り組む

株式会社 三松 代表取締役社長 田名部 徹朗 氏

LINEで送る
Pocket

画像:新型コロナの影響で受注内容に変化田名部徹朗氏

㈱三松は、板厚0.01〜22㎜までの板金部品加工をベースに、機械装置の設計・制御ソフト開発・部品加工・塗装・組立・OEMを手がけ、1個の試作から数千個単位の量産品まで対応できる。

同社はこれまで、産業構造の転換や「安全」「環境」「デジタル化」「グローバル化」「IoT化・AI化」と環境が劇的に変化していく中、時代やニーズに対応しながら、進化・発展を続けてきた。顧客満足度向上と顧客価値創造を目指していく中で、同社がたどり着いたのが「小ロット製造代行サービス」というビジネスモデルだ。「1個からでも対応」「品質にこだわる」「納期を守る」という“ごく当たり前のこと”に徹底的にこだわり、多種多様な業界から800社を超える得意先を開拓。今や、大型の半導体・FPD製造装置から微細な電子部品に至るまでの金属部品を生産するだけでなく、ものづくりに関するさまざまな領域 ― 開発設計、制御、ソフト開発、加工技術、外注購買、組立、品質管理、生産管理、短納期製作などにおいて、顧客が安心して仕事を任せられる「製造代行能力」を備えている。

「小ロット製造代行サービス」を継続するためには、ものづくりを極め、常に変化する経済社会情勢への対応能力をさらに高める必要がある。そのために「ヒトと技術」を育成・伝承し、製品だけでなく、顧客の夢やアイデアを社員一体となってカタチにしていくことに努力し続けている。

挑戦を続ける㈱三松・田名部徹朗社長に、オンラインインタビューを行った。

新型コロナ対策 ― 一部でリモートワーク

― 御社で実施している新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)対策について聞かせてください。

田名部徹朗社長(以下、姓のみ) 1月下旬に中国・武漢市で都市封鎖の措置が執られたというニュースを見たとき、「厄介なものが流行するかもしれない」と危機感を持ちました。社内に注意を喚起し、社員には検温と行動記録を徹底してもらいました。これは5月に緊急事態宣言が解除された後も継続しています。

生産を止めるわけにはいかないので、緊急事態宣言が発出されてから解除されるまでの48日間も平常どおり操業しました。社員の95%が車通勤なのはさいわいでした。ただし、妊婦や小さい子どもを抱えている女性社員、公共交通機関で通勤する社員、営業や設計のメンバー、ソフト開発のエンジニアなどはリモートワークに切り替えました。

正直、効率が上がるまでには至らなかったため、宣言解除後、大半は以前の体制に戻しています。ただし、ここへきて再び感染者が増加しているので、一部社員を対象に、再度リモートワークを採り入れることも考えています。

― 感染者が出れば、生産に影響が出ます。事業継続計画(BCP)に対応して、代替生産をしてもらえる同業者を確保されていますか。

田名部 関西と首都圏の2社と、代替生産に関する取り決めを締結しています。東日本大震災以降、大地震や大型台風、集中豪雨などの自然災害を想定したリスクマネジメントとして取り組んできました。

画像:新型コロナの影響で受注内容に変化左:今年3月に導入したファイバーレーザマシンVENTIS-3015AJ+ASFH-3015G+TK-3015L/右:自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC。所在管理システム「Location Data Analyzer」で台車の所在地を示す番地が、工場内の柱の上部に表示されている

半導体・医療機器・食品機械が好調

― 新型コロナによる受注落ち込みの影響は出ていますか。

田名部 当社の場合、受注落ち込みの影響はさほどありません。取引しているお客さまは800社ほどありますが、総じて落ち込みは少ないと感じています。

― 好調業種は何ですか。

田名部 半導体製造装置・医療機器・食品機械が比較的好調です。現在、この3業種で売上全体の約50%を占めています。昨年まではこの3業種で40%程度のウエイトだったので、ほかの業種が減った分を3業種が補って前年並みの売上を確保している状況です。

半導体製造装置は、米中貿易摩擦の関係で落ち込んだ昨年と比較すると、かなり改善しています。ただ、ここへきて新型コロナの影響により関係者の渡航や移動が制限され、海外向けを中心に現地工場で据付ができないケースが発生しています。そのため一部の機種は生産調整が行われ、8~9月は少し落ち込むと思います。しかし、“巣ごもり”とリモートワークにより通信トラフィックが増え、データセンターや情報通信分野での半導体需要が旺盛なので、秋口からは再び上向くことを期待しています。

それ以外だと、自家発電装置も堅調です。昨年、千葉で台風・豪雨による停電被害が長引いたために、公共施設や病院などで自家発電装置のニーズが増えています。5Gに関連した情報通信機器は、昨年から期待していますが、なかなか本格化しません。

  • 画像:新型コロナの影響で受注内容に変化双腕ロボットがビジョン(カメラ)で製品を識別してピッキングするシステムを自社開発し、活用している
  • 画像:新型コロナの影響で受注内容に変化手指の機能回復を目指すアシストロボット装具「SMOVE」

全文掲載PDFはこちら全文掲載PDFはこちら

会社情報

会社名
株式会社 三松
代表取締役社長
田名部 徹朗
所在地
福岡県筑紫野市岡田3-10-9
電話
092-926-4711
設立
1972年
従業員数
156名
主要製品
精密加工機械部品・IC関連装置・建築部品・食品機械・業務用厨房・医療機械・液晶関連装置・通信インフラ設備・電子部品・車両部品・事務用機器・農林水産機械・水処理装置・生ごみ処理機・その他
URL
https://www.sanmatsu.com/

つづきは本誌2020年10月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Interview記事一覧はこちらから