産官連携で医療機器の売上比50%を目指す
お客さまの商品価値改善に貢献することがサプライヤーのつとめ
株式会社 清水精機 代表取締役社長 清水 貴博 氏
㈱清水精機は、放送機器、写真現像・プリント機器、アミューズメント機器、分析機器、医療機器(内視鏡関連)、食品機械、福祉機器、駅務機器などを手がけ、成長してきた。最近は医療機器分野で、内視鏡関連の主力企業以外に新たな得意先も開拓、現在では売上の50%弱を医療機器関連が占めるまでになっている。
昨年、創業者の清水亘氏が72歳で亡くなり、現在は2015年に社長に就任した清水貴博氏が同社をリードする。今年43歳になる清水社長は製図の専門学校を卒業後、アマダメトレックスへ入社。FAソフト事業部のメンバーとして、デジタル板金工場の普及を促進してきた。
清水精機に戻ってからは、自社工場のデジタル化および製品情報、加工情報の一元管理を推進。2度づくり防止による手戻りのないモノづくり、進捗・実績管理による工程管理を進めることで納期を遵守、不適合部品の社外流出を防止し、得意先からの信頼を高めてきた。
埼玉県産業振興公社、さいたま市などの中小企業支援活動にも参加し、産官連携にも積極的に取り組んでいる。
清水社長にこれからの展望をお聞きした。
公共展で医療機器分野の新規案件と出会う
―社長就任3年目、お忙しいと思いますが、業績はいかがですか。
清水貴博社長(以下、姓のみ) 早いもので、会長(清水亘氏)が亡くなって1年が経ちました。主要得意先の案件が重なり新規受注が確保できたため、前期(2017年4月期)は増収増益となりました。内視鏡関連の医療機器の仕事が増え、その他の仕事も順調です。社員の数も32名に増えました。今期(2018年4月期)も大きな変化は見られず、このまま推移すれば増収増益が期待できそうです。今期は始まったばかりなので、新規開拓を含めた営業活動に力を入れていきたいと思います。
―4月に東京ビッグサイトで開催された医療機器の展示会「Medtec Japan 2017」に出展されていましたが、医療機器分野の仕事の状況を教えてください。
清水 医療機器は世界の市場規模が30兆円、日本は3兆円といわれ、年率5%で伸びています。日本は高齢化が進み、年間40兆円といわれる国民医療費支出は年々増加しています。世界的には、中国をはじめとした新興国が豊かになるにしたがって医療費も増えていくので、医療機器は「山はあっても谷はない市場」と考えており、当社としても売上の半分を医療機器分野で占めたいと考えています。
Medtecでは、2件の有力な商談をいただきました。1件は医学博士号を持っておられる医療技師からのお話で、内視鏡メーカーから病院に派遣され、内視鏡手術で執刀医をサポートした経験もあります。その経験から、内視鏡手術で使われる鉗子に付属する自動化器具を開発するプロジェクトを企画、埼玉県在住のため埼玉県内の中小製造企業と連携してプロジェクトを推進したいとお声かけいただきました。当社も大いに関心があり、このプロジェクトに参加しようと思っています。
もう1件は、呼吸器医療機器メーカーのお客さまからで、これから詳細な打ち合わせを行っていきます。
医療機器業界は特殊な業界です。学閥・派閥が突出し、どこかでニーズがあっても、それが医学会全体のニーズにはならないこともよくあります。開発ができたとしても、実際に臨床で使われるまでには大変なコストと時間がかかります。検査・治療に関連する機器は、薬機法に基づく様々な承認手続きを経て、厚生労働省や各病院の倫理委員会などの承認が得られないと使えず、ISO13485や医療機器製造業許可といった認証の取得も必要になります。
ただし当社は、ISO13485や医療機器製造業許可などの取得については考えていません。お客さまが認証を取得されていて、部品・ユニットを納入するサプライヤーはお客さまの審査を受ければ、必ずしも認証取得が絶対条件ではないためです。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 清水精機
- 代表取締役情報
- 清水 貴博
- 住所
- 埼玉県新座市中野1-5-10
- 電話
- 048-481-8008
- 設立
- 1984年
- 従業員数
- 32名
- 主要事業
- 精密板金部品(医療機器用・光学機器用・測定機器等)の製造
つづきは本誌2017年7月号でご購読下さい。