特集

「新工場」建設で生産能力増強を目指す

工場増築で生産能力は1.3倍に ― 拡大する医療機器などの受注に対応

「共創と挑戦」で精密板金市場の拡大を目指す

株式会社 平出精密

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画像:工場増築で生産能力は1.3倍に ― 拡大する医療機器などの受注に対応曲げ工程には自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATCが2台並ぶ

工場増築で生産能力は1.3倍に

画像:工場増築で生産能力は1.3倍に ― 拡大する医療機器などの受注に対応左から平出侑己取締役、平出正彦社長、平出琢磨専務

㈱平出精密は2023年3月3日に新本社工場の操業を開始した。新本社工場はこれまであった本社工場の南側1・2階を増築して工場フロアを延べ800㎡拡大した。これにともない、パンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T-AJ、自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC、測定器などを導入して加工能力を強化。設備のレイアウトも効率を重視して見直した。同時に女性や外国人材、シルバー人材などあらゆる人材が働きやすい環境を整備するため、IoT・AI・RPAなどの最新デジタル技術を活用、自動化を推進している。

工場の床には寒暖差による熱膨張などで機械の加工精度に影響が出ないように床暖房が取り付けられ、作業現場の温度を一定に管理している。今回の工事にあたり管理項目に湿度を追加、防錆対策にも配慮した。

新本社工場の竣工により、生産能力は従来の1.3倍以上に改善し、残業時間も大きく減少した。

画像:工場増築で生産能力は1.3倍に ― 拡大する医療機器などの受注に対応左:2023年3月に操業を開始した㈱平出精密の新本社工場/右:新たに導入されたパンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T-AJ+AS-2512NTK+ULS-2512NTK

板金業界の発展や地域産業への貢献に向けたさまざまな取り組み

平出精密は戦前の航空機板金技術を基盤に、職人技術とITを融合し、ヒトとマシンの有機的連携によって高精度・高効率な精密板金加工を追求してきた。

1994年に2代目社長に就任した平出正彦社長は、同社のコア技術を生かして精力的に事業を拡大。精密機械工業の集積地であった岡谷・諏訪地域の加工企業や信州大学工学部、長野県工業技術総合センターなどとの産官学連携や異業種連携もコーディネートしている。2000年には製造業に携わるスペシャリストや21世紀産業の画期的成長に挑戦する企業家が集い、デスクトップ・ファクトリー(DTF)をテーマに共同研究開発事業を行う「DTF研究会」の立ち上げにも尽力した。そのほか「5S実践塾おかや」、地域や取引先と連携した後継者育成など、業界の発展や地域産業への貢献を目的とした活動を行っている。

また、板金加工という限られた工法に執着せず、機械加工・電気加工・樹脂加工・木工などさまざまな工法を統合した「ハイブリッド板金」を掲げ、最終的には自社製品の開発・展開を目指していくことを提唱。「シートメタルXYステージ」「工業用洗浄装置」「歪測定器」といった自社製品を開発した。2003年からは洗浄機事業を開始。2005年に水系スパイラル洗浄機「Spiral Wash」、2021年に工業用インライン部品洗浄機 「VORTENRYU」を発売した。

こうした取り組みが評価され、2013年には「がんばる中小企業・小規模事業者300社」、2018年には地域未来牽引企業、2019年には「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出されている。

2023年11月にはこれまでの産業界・地域産業への貢献が評価され、平出正彦社長が秋の叙勲で旭日単光章を受章した。

  • 画像:工場増築で生産能力は1.3倍に ― 拡大する医療機器などの受注に対応曲げ作業の様子。人材育成に力を入れており、必要なスキルや知識などが習得できるまで先輩社員がサポートする
  • 画像:工場増築で生産能力は1.3倍に ― 拡大する医療機器などの受注に対応ファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISのティーチング作業

会社情報

会社名
株式会社 平出精密
代表者名
平出 正彦
所在地
長野県岡谷市1680-1
電話
0266-22-8866
設立
1967年
従業員数
140名
主要事業
半導体製造装置、医療機器、通信機器、航空・宇宙関連、燃料電池などの精密板金加工
URL
https://www.hiraide.co.jp/

つづきは本誌2023年12月号でご購読下さい。

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