意識改革、品質改善、設備導入による改革で「高品質なものづくり」を目指す
VENTIS-3015AJは大黒柱 ― CO2レーザマシンと変わらぬ切断面で加工速度は5倍
株式会社 浜本工作所
測定機械や印刷機械向けの精密部品を加工
広島県呉市の㈱浜本工作所は、精密測定器部品や自動車関連部品の加工を中心に、精密レーザ加工、プラント部品加工、製缶加工などを手がける板金加工企業。スチール製品やフラットバー、パイプの切断・穴あけから、CO2溶接やファイバーレーザ溶接などの各種溶接加工まで、幅広く対応している。強みは短納期・低コスト対応で、得意先からのニーズに応じて試作品から量産品までさまざまな製品を製作する。
濱本陽平社長は「当社では、主に測定機械メーカーおよび印刷機械メーカー向けの精密部品加工を行っています。高品質なものづくりを目指し、品質管理の方法を変え、工程ごとの作業管理の徹底や品質基準の統一、製品の持ち運び方法の最適化にいたるまで、品質向上に向けた改善に取り組みました。今後も、経営者と従業員で共通の目標に向け改善・改革に励みます」と語っている。
2021年9月にはさらなる高品質化を目指して、同社初のファイバーレーザマシンVENTIS-3015AJ(4kW)をシャトルテーブルLST-3015G付きで導入した。「VENTIS-AJには今後、当社の大黒柱として活躍してもらいたい」(濱本社長)という発言からもその期待感がうかがえる。
「高品質なものづくり」を目指す
濱本社長が2代目社長に就任した2016年から、同社は「高品質なものづくり」を目指した改革に取り組んできた。これまでの取り組みついて濱本社長は次のように語っている。
「レーザ加工や簡単な曲げなら、加工設備さえ持ってさえいればどこでも同じくらいのレベルで加工できます。しかし、そのあとの人手がかかる溶接・仕上げや、長年の経験が欠かせない特殊な曲げ加工などになるとそういうわけにもいきません。私が社長に就任した当時は、機械設備はそれなりでしたが、手作業での加工については品質基準が曖昧な部分もあり、社員によって仕上がりの品質にバラツキが生じるなど、全体的に品質管理が十分ではありませんでした」。
「そこで製品の持ち運び方法から工程ごとの作業管理の徹底、品質基準の統一に至るまで、品質向上に向けた改善を行いました。当初は管理がきびしくなったことで抵抗感を示す社員もいましたが、実際に品質が向上したことで手直しやクレームが減少するなど目に見えた変化が出はじめると、社員のモチベーションも上がり、積極的に取り組んでくれるようになりました」。
「困ったときの浜本工作所」として得意先の信頼を得る
社内の意識改革・品質改善が進むと、今度は設備の見直しを行った。新たな設備を導入することで高品質で安定したものづくりと高い生産性を両立でき、コスト競争力が高まると考えた。
2015年には「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」(省エネ補助金)を活用してファイバーレーザ溶接システムFLW-4000を導入した。「宣伝効果にも期待していた」という濱本社長の狙いどおり、「呉にこんな溶接ができる会社があるのか」と問い合わせが相次ぐようになり、PR効果は上々だ。
さらに2017年には「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」(ものづくり補助金)を活用してパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NTを導入した。LC-C1NTは、主に測定機器メーカーから毎月100ロット単位で注文されるタップ加工や皿モミ加工のある製品に使用している。従来は2次加工を手作業で行っていたが、機械化をすることで効率化を果たした。
また、設備導入に合わせて工場の5S活動を行い、足の踏み場のなかった作業場の整理・整頓・清掃を徹底した。こうした取り組みによって、クレームや手直しが減少しただけでなく、新しい設備を導入したことにより生産能力も向上、1人あたりの残業時間を大幅に減らすことができた。
さらに、生産能力と品質がともに向上したことで、得意先から「こんなことはできないか」といった相談や問い合わせが入るようになり、得意先から「困ったときの浜本工作所」と呼ばれるまでの信頼を勝ち取っていった。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 浜本工作所
- 代表取締役
- 濱本 陽平
- 所在地
- 広島県呉市阿賀南2-9-44
- 電話
- 0823-73-6957
- 設立
- 1984年(1979年創業)
- 従業員数
- 12名
- 主要製品
- 精密測定器部品・自動車関連部品の加工、精密レーザ加工、各種プラント部品加工、各種製缶作業
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