特集

続伸する半導体製造装置向け板金需要のこれから

好調な半導体製造装置を通して、業界再編のうねりを感じる

「測ることはすべての基本」 ― 品質管理を徹底

株式会社 高村興業所

LINEで送る
Pocket

画像:好調な半導体製造装置を通して、業界再編のうねりを感じるファイバーレーザ複合マシンEML Z-2515AJP+AS-2512NTK+ULS-2512NTK

薄板特化の溶接技術がコアコンピタンス

画像:好調な半導体製造装置を通して、業界再編のうねりを感じる髙村隆晴社長

㈱高村興業所は薄板特化の溶接技術をコアに進化を続ける。VA/VEに基づく設計提案から製造、表面処理までの一貫加工にワンストップ対応できる設備能力を備えている。中でも設計要求に応える最適な溶接工法の提案を強みに、鉄・ステンレス系の汎用材からアルミニウム・銅などの高反射材、チタン・タンタル・ハステロイなどの特殊材まで、多岐にわたる加工実績がある。

同社は1965年に瀬戸大橋が建設に着工する際には、基礎実験のための縮尺モデルの製作を担当した。このときの技術力と熱意を継承したものづくりのイノベーションは若い世代にも受け継がれ、今日では精密板金加工を主軸に、半導体などの先端産業で使われる製造装置などの高精度な製品を加工し、高い評価を得ている。

レーザ溶接の有効性を得意先にアピール

そのため、いち早く最新の技術・設備を導入。CAD/CAMをはじめ、工場内ネットワークシステムを構築するとともに各工程の現場端末を活用し、生産状況の「見える化」「プロセスのデジタル化」に取り組んできた。

また、YAGレーザ溶接技術に着目。1997年にYAGレーザ溶接機を導入し、主力の半導体製造装置メーカーに接合技術としてのレーザ溶接の有効性を提案、時間はかかったが認めてもらうことができた。2018年にはファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISを導入。ホームドアの製造工程に活用して大きな成果を上げるとともに、半導体製造装置の溶接工法としても認められた。2020年にはファイバーレーザ複合マシンEML Z-2515AJPを導入するなど、最先端の設備を駆使することで板金加工の飛躍的な精密化を実現させた。同時に精密板金加工では50μm精度を追求するために「測ることはすべての基本」という考えに基づき、3次元測定機や非接触画像検査装置などを導入。品質管理に対しても徹底した取り組みを行うようになった。

  • 画像:好調な半導体製造装置を通して、業界再編のうねりを感じるEG-6013(手前)など、14台のベンディングマシンが並ぶ曲げ工程。月6,000アイテムもある曲げ製品に対応している
  • 画像:好調な半導体製造装置を通して、業界再編のうねりを感じるファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISによる溶接作業

持続可能な社会を目指すものづくり

髙村隆晴社長は自社の取り組みを次のように語っている。

「当社は創業以来、変化対応力を備え、社会のニーズに即応した『ものづくり』を追求してきました。社員一人ひとりの創造性と情熱が原動力となって、高次元の製品を生み出しています。さらに新分野への改革を積極的に推進し、新たな信頼を築いていきたい。そのためには技能を磨き、最新の設備を揃え、進化する社会の動向を予測。ニーズに柔軟で小まわりのきく体制で取り組める企業体質を育んできたことが当社の資産と考えています。そして、これからの真に豊かな暮らしに生きるものづくりを最大の目標にして精進します」。

「精密板金部品の加工は、当社にとって最も得意とする分野であり、最もシビアな部分です。今や50μmの世界を追求する加工技術は機能はもちろんのこと、デザイン性が重要視され、微細なキズやほこりさえ許されません。そのため、社員の高い技能と優れた感性が重要となります」。

「また、SDGsに対応したものづくりが求められています。そのために当社が開発した製品が『脱フロン半自動洗浄装置』です。これは板金加工や機械加工の過程で発生する脂汚れなどを炭化水素系洗浄液で落とす装置です。洗浄液にフロンをいっさい使わないことで環境に配慮しており、高い評価を得て特許も取得しました。次世代の子どもたちのことも配慮したものづくりを考えていきたい。それは当社にとっての大きな課題であり、義務だと考えています」。

画像:好調な半導体製造装置を通して、業界再編のうねりを感じる左:TIG溶接を行った半導体製造装置部品/右:溶接強度を確認するため、材質・板厚別にさまざまな接合実験を行っている

会社情報

会社名
株式会社 高村興業所
代表取締役社長
髙村 隆晴
所在地
広島県廿日市市大野下更地1790-1
電話
0829-56-1141
設立
1961年(1949年創業)
従業員数
52名
主要業種
半導体製造装置部品(筐体、カバー、その他部品)、ホームドアのパネル部品、各種産業機械部品
URL
http://www.takamura-kk.co.jp/

つづきは本誌2022年10月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから