板金論壇

“ニューノーマル”に対応した業界ビジョンづくり

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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「不確実性の時代」は続く

新型コロナウイルスの感染者が世界中で5,500万人を超え、死者の数も130万人を超えた。国内では首都圏をはじめ新規感染者数が増加し、北海道では独自に飲食街の時短営業を要請した。10月以降は欧米で感染再拡大が目立ち、各国は外出や移動、店舗営業の規制を強化している。

11月3日に行われた米国大統領選挙では投票率が65%を超え、120年ぶりの高水準になり、僅差で民主党のバイデン前副大統領が当選した。この結果を受けて株式市場は大幅に値上がりし、9日の東京市場では日経平均株価が500円以上値上がりし、29年ぶりの高値となった。投資家の間でひとまず安心感が広がったとメディアは伝えている。

しかし、感染拡大が続く一方、米中摩擦・北朝鮮問題・イラン核問題など地政学的な課題が山積している中で「不確実性の時代」は続いている。

変化に対応するための第一歩は情報収集

アフターコロナで日本経済はどう変わっていくのか ― 板金業界に限らず、今はこのことが産業界の最大関心事となっている。

環境の変化に対応できない企業に未来はない。それでは、どうやって変化に対応していけば良いのか。その第一歩は情報を収集することから始まる

4-6月期の実質GDP(2次速報値)は前期比で7.9%減、年率換算で28.1%減と大幅に落ち込んだ。業種別では自動車を含む輸送機械、工作機械、生活関連サービス・娯楽、宿泊・飲食、アパレルなど繊維関連へのダメージが大きかった。外出自粛などにともなう需要喪失や内外取引先からの受注減が挙げられた。

しかし、7-9月期の実質GDP(1次速報値)は前期比5.0%増、年率換算で21.4%と4四半期ぶりのプラス成長となった。伸び率は1968年10-12月期以来、約52年ぶりの大きさだが、戦後最悪となった4-6月期の落ち込みの半分強しか取り戻せず、回復の勢いには力強さが欠けている。

ただ、自動車販売などは、国内新車販売台数が前年同月比で40%以上減少した5月を底に、予想よりも早く需要が回復している。トヨタ自動車は2021年3月期通期の連結業績予想(国際会計基準)を上方修正。営業利益は前期比45.8%減の1兆3,000億円となる見通しで、従来予想(5,000億円)の2.6倍に引き上げた。公共交通機関による移動を減らして感染リスクを回避するため、自家用車の需要が増加傾向になっているという分析結果もある。

感染拡大を一時的に封じ込めた中国では、1~9月の国内の新車販売台数が累計で1,711万6,000台となった。前年同期比では6.9%の減少となったが、1~8月累計の同9.7%減から下げ幅を2.8ポイント縮めた。今年前半の新車販売が受けたダメージを考えれば、目を見張る復調ぶりとなっている。

つづきは本誌2020年12月号でご購読下さい。

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