江戸川区の町工場、ファイバーレーザマシン2台を一挙導入
激動の年に事業継続の意思表示 ― 「超短納期対応」の実現を目指す
株式会社 東興製作所
東京23区内でファイバーレーザマシンを一挙に2台導入
東京都江戸川区の㈱東興製作所は、2021年末にコンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ(3kW)、2022年3月に高速3軸リニアドライブ・ファイバーレーザマシンREGIUS-3015AJ(6kW)を導入した。設置スペースが限られる東京23区内で、短期間にファイバーレーザマシンを2台導入した事例はきわめて珍しい。
BREVIS-AJはLC-1212αⅢNT(2kW)との入れ替え、REGIUS-3015AJはLC-2412F1NT(4kW)との入れ替えで、同社のレーザ工程の生産能力は約3倍に向上した。また、CO2レーザマシン2台をファイバーレーザマシン2台に入れ替えたことで、会社全体の使用電力量は24~30%減少。夏場のピークカットにより契約電力・基本料金の削減も期待できる。
ファイバーレーザマシン2台導入は事業継続の意思表示
BREVIS-AJとREGIUS-AJの導入を決めた2021年は、同社にとって激動の年だった。2020年の年末、黒田社長の兄にあたる黒田俊彦前社長が新型コロナウイルス感染症に罹患し、2021年3月末に亡くなった。急遽、4月に黒田信彦社長が3代目社長に就任し、混乱する会社の立て直しをはかった。
黒田俊彦前社長は次男、黒田信彦社長は三男で、1988年にほぼ同時に入社した。それまで後継者として会社を盛り立てていた長男の黒田雅彦氏が30歳の若さで急逝したためで、それ以来30年余にわたり二人三脚で会社を支えてきた。
黒田社長は「兄(黒田俊彦前社長)の死は突然のことで、どうしたら良いかわかりませんでした。従業員はみな不安に駆られ、現場を取りまとめる工場長はもちろん、製造課長も慣れないプログラム作業や請求書の発行作業をやらなくてはならずパニックになっていました。これまでひとりの離脱者もなく事業を続けられたのは奇跡的で、本当にありがたかった」と振り返る。
また、「そんな状況でBREVIS-AJとREGIUS-AJの導入を断行したのは、自分が代表になって事業を続けていくのだという社内外へ向けた意思表示でもありました」と語っている。
プレスから板金へシフト
㈱東興製作所は1960年の設立以来、鉄・ステンレス・アルミを中心とするプレス加工・板金加工を手がけ、半世紀以上にわたって金属加工技術の向上に力を注いできた。
創業者である黒田豊氏は、兵庫県の農家の三男で、第2次世界大戦中に天皇と皇居を警護する近衛兵として上京。終戦後はそのまま東京にとどまり、仲間とともに大手電機メーカーの工場内で設計指導や金型製作に携わった。
1963年には現在地に工場を新設・移転し、本格的に金属加工をスタートした。当初は照明器具部品の金型製作とプレス加工が中心だった。1987年、プレス部品を含む量産品の海外移転が加速していくタイミングで、パンチングマシンARIES-222を導入し、それ以降はプレス加工から板金加工へのシフトを目指して、加工設備の多様化・高度化を進めていった
会社情報
- 会社名
- 株式会社 東興製作所
- 代表取締役
- 黒田 信彦
- 本社
- 東京都江戸川区南篠崎町5-9-18
- 電話
- 03-3670-7711
- 設立
- 1960年
- 従業員数
- 14名
- 主要事業
- 建設機械部品・照明器具部品・建築金物部品・店舗ディスプレイ用品などの板金・プレス加工
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