特集

工作機械業界では工程統合マシンが必需品

「小さくても、強い会社」の実現に向けて

LC-2515C1AJを自動倉庫MARSと連動して導入

株式会社 鵜飼

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画像:「小さくても、強い会社」の実現に向けて①ファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ+LA-3015NTK+SR-3015NTK+MARS/②レーザ加工中のLC-C1AJ。新型コンソールAMNC3iには稼働履歴が表示される/③LC-C1AJのシステム構成図(CG)

トータルサプライヤーとしての総合力を備える

㈱鵜飼(うかい)には2015年9月にも取材に伺った。その折に柳原社長は生産合理化を目的に、2016年にファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJと自動倉庫MARS、曲げ工程にネットワーク対応型のベンディングマシンHG-1303を導入することを明言していた。その計画どおり2016年10月、5´×10´の定尺材に対応する自動倉庫MARS(10段4列)と連動したLC-2515C1AJをTK(テイクアウトローダー)付きの自動化ラインとして導入、夜間稼働にも対応したスケジュール運転をこの1月から本格的に開始した。

同社は、もともと岐阜県不破郡垂井町にあった自転車のリムやキャスターを製造する柳原工業(のちに解散)で工場長を務めていた現社長の祖父が1947年に個人創業した。1953年に㈱鵜飼プレス工業所として法人化、1963年に岐阜県金属工業団地に移転した。その後は団地内に第2工場、第3工場を設立し、会社設立35年目の1988年に㈱鵜飼に社名を変更した。

それを契機に愛知県内の大手工作機械メーカーからレーザマシンや中・小型マシニングセンタ、パレットチェンジャーなどの周辺機器のフレームを受注するようになり、最近は工作機械カバーなども一部手がけるようになった。

やがてプレスによる量産加工から旋盤・マシニングセンタによる機械加工、レーザマシンやベンディングマシンを使った板金加工、塗装の各分野にも参入するようになった。特に2015年に完成した塗装工場には、コンベヤーの総延長が300m、“東海一”と言われる最大規模の粉体・溶剤塗装ラインを導入した。最長7m、高さ×幅4mという大型製品がそっくりそのまま塗装できる塗装ブースを備えることで、トータルサプライヤーとしての総合力を備えている。

  • 画像:「小さくても、強い会社」の実現に向けてLC-C1AJの前に立つ柳原弘幸社長(左)と板金加工課のスタッフ
  • 画像:「小さくても、強い会社」の実現に向けて現場事務所の壁面に設置されたモニターでVPSS 3iの稼働分析ツール「KAIZEN」の画面を見ながら打ち合わせ

2020年6月までの中期経営計画

現在では工作機械・自動倉庫・物流関連の主要3社から仕事を受注しており、2016年度の売上高は24億円。2016年6月には、4年後の2020年6月期を最終年度とする第2次中期経営計画を策定し、「小さくても、強い会社」を合い言葉に売上高30億円を目標に掲げている。そして企業活動を通じて生み出す“価値”によって、社会への貢献ができる会社を目指している。

同社の得意先である工作機械業界はここ数年、受注額が1兆円の大台を上回っており、2016年の受注額は1兆2,500億円。2017年の受注予測額は1兆3,500億円と微増が見込まれている。同社の得意先は中・小型機やレーザマシン関係が順調に回復している。

同社はこれまでフレームを主体に製造し、カバーは得意先の支給に頼っていたが、LC-C1AJ+MARS、HG-1303の導入により設備力が強化されたことで、カバーも自社で製造・調達するようになり、カバーと周辺機器を一式で受注する割合が増える傾向になっている。

また、最近は工作機械自体のコモディティ化が進み、中国・韓国・台湾との競争も厳しさを増しており、メーカーからのコストダウン要請が強まっている。同社への発注量は増えているものの、原価低減への努力は欠かせない。また、得意先は欧米や中国、シンガポールなどで生産工場を立ち上げ、現地生産化も進んでいて、同社の仕事が海外へ移管される不安もある。

しかし、日本はマザー工場。付加価値のある高級機種を製造しているので、付加価値を備えたマシンに対応した周辺機器やカバーを同社が製造・供給できれば勝算はある。

その一方で自動倉庫・物流関係の得意先は、半導体や有機EL、大型液晶パネルの業界が活況になってきていることから、クリーンルーム向けなどが忙しくなっている。また、アマゾンをはじめとしたネット通販業界が好調で、大手通販メーカーが配送センターの増設投資を行っており、自動倉庫・物流関連への期待も大きい。

  • 画像:「小さくても、強い会社」の実現に向けてLC-C1AJの隣に設置されたベンディングマシンHG(奥)とFBDⅢ-NT(手前)
  • 画像:「小さくても、強い会社」の実現に向けてHG-1303による曲げ加工。新型NC装置AMNC 3i(奥)はユーザビリティーが高いと評価

会社情報

会社名
株式会社 鵜飼
代表取締役社長
柳原 弘幸
住所
岐阜県各務原市金属団地114
電話
058-382-1181
設立
1953年
従業員数
156名
主要事業
金属プレス・板金・折曲加工・溶接・切削・塗装・組立一式
URL
http://www.ukai-gifu.jp/

つづきは本誌2017年3月号でご購読下さい。

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