特集

普及が進む工程統合複合加工

飲料生産ライン向けコンベヤシステムの総合メーカー

ファイバーレーザ複合マシンの導入で工程統合・生産性大幅アップ

木下鉄工 株式会社

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画像:飲料生産ライン向けコンベヤシステムの総合メーカー①ファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ +AS-3015NTK+ULS-3015NTK/②モノづくりの“見える化”を進めるため、現場には49インチの大型モニターを設置。図面を呼び出して関係者が確認作業を行う

コンベヤシステムの総合メーカー

画像:飲料生産ライン向けコンベヤシステムの総合メーカー向かって右から木下修一社長、尾崎和久専務、岩本順治生産資材部長

木下鉄工㈱は、コンベヤライン・搬送システムの総合メーカー。飲料向けを中心としたコンベヤシステムやラインシステムの設計から製作、据付工事、アフターケアまで一貫して行っている。

1963年の創業当初は、建築金物や重電関係の板金加工を行っていたが、1965年以降は三菱重工業から食品機械向け板金部品の加工を受注するようになった。その実績が評価され、1969年からはびん詰め・缶詰めプラント向けコンベヤの製作をスタート。それ以来、設計部門の設置、設計・製作・組立・据付の一貫生産体制の確立、ステンレス材への対応、製缶溶接構造から薄板板金構造へのシフト、アセンブリー対応、モジュール化・標準化の推進と、コンベヤメーカーとして着実に発展していった。

1988年には、アサヒスーパードライの大ヒットで搬送ラインの受注が殺到した。これが転機となってコンベヤ事業は軌道に乗り、事業ドメインを受託加工事業からコンベヤ事業へとシフト。コンベヤメーカーとしての基礎を築いた。

バブル崩壊直後の1992年には、現在地に本社・工場を移転し、コンベヤ事業の発展に背水の陣でのぞんだ。2010年には新組立工場を増設して生産能力を2.5倍に向上、ハード面だけでなくソフト面でも、ラインコントロールやシステム制御など、1社1社のニーズにきめ細かく対応できる体制を整えていった。現在の主力得意先は、三菱重工業、四国化工機をはじめとする飲料用充填機などの大手メーカー各社。さらに、売上全体の10%は飲料メーカーなどエンドユーザーとの直接取引となっている。

「今ではコンベヤ・搬送システムの事業で数十年の経験を積み重ね、お客さまからも高い評価を得ています」と木下修一社長は胸を張る。

同社の経営理念には「搬送の技術でものづくりを支え、業界の発展のため、お客様の喜びのために貢献する」とある。また、スローガンとして「意欲的なフットワーク(行動せよ)、心の通うハートワーク(気持ちをこめよ)、誠実なヘッドワーク(考えよ)」を掲げ、全社員一丸となって顧客第一主義を貫いている。

  • 画像:飲料生産ライン向けコンベヤシステムの総合メーカーレーザマシンFO-MⅡ 3015NT+LST-3015FMⅡ
  • 画像:飲料生産ライン向けコンベヤシステムの総合メーカーベンディングマシンHG-2203をはじめとした曲げ加工エリア

飲料生産ラインの“大動脈”

コンベヤシステムといっても同社の製品は多種多様。新設ライン・更新ラインを含め、50年間で1,000件以上の案件を手がけてきた。対象となる飲料製品は、缶・びん・紙パック・ペットボトルなど容器を問わない。処理能力は、高速なものでは毎分600本以上におよぶ。

コンベヤラインは、充填機からはじまり、キャッパー(ペットボトルにキャップを付ける機械)、冷却装置、殺菌装置、印字機、シュリンクラベラー、ウエイトチェッカー、検査機、箱詰めに至るまでの一連の機器・装置をつなぐ“大動脈”にあたる。それぞれの機器は飲料メーカーが選定するが、処理能力はまちまちで、コンベヤシステムは、それらをシンクロさせながらスムーズに生産できる最適なライン編成が求められる。しかもその大半は完全無人運転が可能なフルラインだ。

同社の代表的な搬送システムである高速シングルファイラーは、缶製品の多列搬送から単列搬送に切り替えるというもの。飲料の生産ラインの場合、充填機・検査機・印字機などは単列で処理するが、冷却装置や殺菌装置は多列で処理するため、搬送ライン上で単列と多列を切り替えなくてはならない。単列と多列ではコンベヤの回転速度が変わるため加減速を行い、途中で缶が倒れれば自動でラインから取り除く。また、印字機は缶の底面に印字するため、缶をひねって反転させる機能も必要になる。

また、コンベヤの関連機器として、90度以上の実液(飲料)が充填された紙パックなどに一定温度のチラー水を噴射して冷却するボトル・パッククーラーや、実液が触れないトップ部やキャップ内面を殺菌するためにペットボトル・紙パックを転倒させて実液を行き渡らせる転倒殺菌装置、目視検査のために実液が充填された瓶をバスケットに入れて固定する倒立検瓶機、プラスチックトレーを段積みするパレタイザーなども自社開発。搬送システムと組み合わせて提案する。

  • 画像:飲料生産ライン向けコンベヤシステムの総合メーカーコンベヤライン
  • 画像:飲料生産ライン向けコンベヤシステムの総合メーカーセントラルキッチン向けの炊飯ライン(受託生産)。炊く・蒸す・小分けまでの一貫搬送ラインとなっている

会社情報

会社名
木下鉄工 株式会社
代表取締役
木下 修一
専務取締役
尾崎 和久
住所
福井県坂井市丸岡町長崎1-80-2
電話
0776-67-4100
設立
1970年(1963年創業)
従業員数
87名
事業内容
食品関連ボトル・缶のコンベヤシステムおよび一般産業機械の設計・製作・据付工事
URL
http://www.kinoshita-m.co.jp/

つづきは本誌2019年4月号でご購読下さい。

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