特集

ワンストップ加工で顧客満足度アップ

住宅産業の発展とともに事業拡大

最新鋭の設備と技術力をバランスよく融合

山口金属曲板工業 株式会社

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画像:住宅産業の発展とともに事業拡大①ブランク工程の主力マシンのひとつ、パンチングマシンEM-2510NT+ASR-48M+ULS-48M /②TKが製品を搬出する際、ラベルプリンターが製品の裏側にラベルシールを貼る/③加工されたブランク材の裏面に貼られたラベルシール

住宅メーカーの協力工場としてワンストップ加工に対応

金海明彦社長(中央)、中村宗彦営業開発部長(左)、河村武明営業開発課長(右)金海明彦社長(中央)、中村宗彦営業開発部長(左)、河村武明営業開発課長(右)

1963年、金海(かなうみ)明彦社長の叔父の国本吉雄氏が大阪市生野区内で国本製作所を設立。その後、住宅メーカーから住宅用部材のプレス・板金加工の仕事を受注するようになり、1973年にその住宅メーカーが山口県山口市内に工場を開設したのを機に、同社も1974年に山口市に平川工場を新設、社名を山口金属曲板(きょくばん)工業㈱に変更し、株式改組した。

山口市周辺では住宅メーカーの協力工場としてワンストップ加工に対応できるサプライヤーは限られるため、さまざまな仕事が同社へ発注されるようになった。

1979年には近在に陶(すえ)工場を新設し、中板(2.3㎜~9㎜)のプレスおよび溶接加工を開始。1983年には小郡(おごおり)事業所と工場を新設し、平川工場を閉鎖、移転した。1987年には㈲山金工業(現・㈱山金工業)を設立し、アルミ形材加工および塗装を開始した。

その後も生産量の増大にともなって工場の増築や設備の増設を行っていった。そして1998年には、3工場目となる鉄骨3階建ての美東(みとう)工場が竣工し、H形鋼梁、および内部鉄骨階段の生産を開始する。また、アルミ形材加工からスタートした山金工業は外壁材加工にも対応するようになり、外壁材プレカットに対応した設備も導入、住宅部材からH鋼加工、プレカットを含む外壁材加工、アルミ形材加工と幅広い分野に対応してきた。

  • 画像:住宅産業の発展とともに事業拡大ベンディングロボットシステムASTRO-100NT+ASTROMP-20+HDS-1030NTR
  • 画像:住宅産業の発展とともに事業拡大ASTROで曲げ加工する建築部材は薄板かつ長尺製品のため、曲げの自動化には苦労した

住宅産業の発展とともに事業拡大

金海明彦社長は住宅産業の発展とともに発展してきた同社の事業の歩みと、将来への課題について、次のように語っている。

「1963年の創業から52年間、板金加工・組立・溶接を得意とする建材部品製造に携わり、『技術革新・品質向上・納期厳守・コスト削減・スピードアップ』に努めてきました。現在もグループ売上の60%が、継続取引させていただいている住宅メーカーの仕事であり、住宅に関わる様々な部材加工に携わってきました」。

「かつて国内の住宅着工件数は経済発展とともに拡大し、一時期は年間着工件数が165万戸にもなりました。そのため、住宅業界はこぞって工場を増設し、増産対応で成長してきました。しかし、2000年代に入ると拡大基調から一転、少子高齢化の影響が出てくるようになり、リーマンショック前年の2007年の住宅着工件数は104万戸とピークからは4割弱の減少になりました。そしてリーマンショックでさらに落ち込み、2009年は78万戸と、ピーク時の半分以下になりました。その後の回復の足取りも重く、90万戸まで盛り返したものの、今後は少子高齢化が加速することから、2025年には60万戸程度にまで落ち込むことが予測され、ピークの1/3にまで市場が収縮すると見込まれています」。

「そのため、大手住宅メーカーは新興国の富裕層向けの住宅や、省エネ・創エネ・蓄エネを実現するHEMS(Home Energy Management System)に対応した太陽光発電やエネファーム(家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)などを導入したスマートハウスの販売に力を入れるようになりました。2012年2月以降は1kWあたりの買取価格が20年固定で42円という高値での固定価格買取制度がスタートし、これがきっかけで売電を目的とした個人住宅向けの太陽光発電装置の販売が活況となりました。そこで当社は、住宅メーカー、太陽光パネルメーカー、太陽光発電システムメーカーと協業し、太陽光発電システムの架台製作を担当するようになりました」。

「しかし、買取価格はその後下落し、その結果、個人住宅は売電を目的とすることよりもHEMSを主体に導入が計画されるようになり、太陽光発電装置の需要は減少する傾向となっています。大手住宅メーカーは、国内の住宅着工件数の減少に対応するため、現在は新興国の富裕層向けの住宅需要の開拓を進める一方、収縮する国内需要向けにはリフォーム市場の拡大を進めています。こうした環境下では当社への発注量は今後減少が見込まれ、大きな伸びは期待できません」。

画像:住宅産業の発展とともに事業拡大左:各ベンディングマシンの上部テーブルには、PDF化された図面を呼び出して確認するための端末が設けられている/右:曲げ加工が完了した製品にはラベルシールを貼付しID管理を行う

会社概要

会社名
山口金属曲板工業 株式会社
代表取締役
金海 明彦
本社
大阪府大阪市平野区平野宮町1-1-28
小郡事業所
山口県山口市小郡上郷3530-1
電話
083-973-0700(小郡事務所)
設立
1963年
従業員数
153名
主要事業
住宅用部材、板金加工、アルミ製品、金属プレス製品、これらに付随する部品の製造および住宅向け外壁材の塗装・プレカット
URL
http://yamakin-g.com/

つづきは本誌2015年10月号でご購読下さい。

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