回復傾向が続く鉄道車両業界
JR東日本グループ唯一の鉄道車両部品製造工場
生産合理化と内製化への対応でACIESを導入
JR東日本テクノロジー 株式会社
車両内のシート下に設置されるケコミ板(SUS304製)
JR東日本グループ唯一の鉄道車両部品製造工場
左:五十嵐紀之工場長/右:製造事業本部江南工場企画課四七(しな)淳課長
JR東日本テクノロジー㈱は1968年、京三金属工業㈱の社名を日本交通機械㈱と変更し、国鉄関係の事業を併せて行う会社として発足した。1971年、国鉄関係部門を分離独立させるため、新たに日本交通機械㈱が設立された。1994年に東日本旅客鉄道㈱(JR東日本)が株式を取得、筆頭株主となった。
2000年、鉄道車両(以下、車両)と機械設備の総合技術会社を目指し、社名を日本交通機械㈱から東日本トランスポーテック㈱に社名変更。東日本旅客鉄道㈱の連結子会社となった。2012年、新潟交通機械㈱と東日本トランスポーテック㈱が合併、2015年、JR東日本グループ会社統合により、東北交通機械㈱と東日本トランスポーテック㈱が合併、JR東日本テクノロジー㈱と社名を変更し、鉄道車両と機械設備の総合エンジニアリング会社として新たにスタートした。
現在はJR東日本の新幹線・在来線の車両保守、車両改造、検修設備工事と保守、在来線車両製造、各地の鉄道事業会社の車両保守、改造工事・研修設備工事などを行っている。同社の社員総数は約1,700名。うち300名は㈱総合車両製作所・新津事業所の車両製造ラインで、素材加工から車体部品組立、内装、配線、配管、機器取り付け、台車組立に至る幅広い製造現場業務の75%を担い、品質の高い車両づくりに取り組んでいる。
JR東日本の車両メンテナンス、改造工事などをJR東日本と一体で行うため、東京・大宮・仙台の各支店内のJR東日本の総合車両センターおよび車両センターでの車両検修・メンテナンス、検修設備のメンテナンスを担当、JR在来線の定期修繕、車両部品検修、クーラー検修、改造工事の施工・管理を行っている。
それ以外に各鉄道事業会社の車両センターで行う車両検修、メンテナンスにも携わっている。そして新幹線・在来線・新交通システムなどの鉄道車両の検査・修繕のための設備機械を対象に、企画・設計・コンサルティングから製造・工事・保守管理までの一貫したサービスを提供している。
左:ACIES-2515Tを週7日稼働で運用。稼働率も80%と高い/右:ブランク加工後のパーツ識別を容易にするため、インクジェットプリンターで製番を印字する
製造事業本部・江南工場
今回取材で訪れた製造事業本部・江南工場(工場長・五十嵐紀之氏)は、JR東日本グループ唯一の車両部品工場であり、江南工場と江南工場阿賀野製造センターの2工場で構成されている。従業員数は66名で、同社の売上全体の5%を担っている。3年前までは売上の2%強しか占めていなかったことから考えると、売上比率は向上している。
主な得意先は、㈱総合車両製作所・新津事業所で、昨年の秋口までは南武線に新たに投入された6両編成の新造車両E233系、現在はJR東日本新潟管内を走る2両・4両編成の新造車両E129系の屋根に取り付けられるクーラーのシールゴム枠や、室内の灯具受け、台車ブレーキ部品、車内モニター枠などのアルミ製品も製造している。
E129系は新潟地区で普通列車などに使用される近郊形電車115系の置き換えを目的に、総合車両製作所・新津事業所で製造された。2両編成(定員273名)を30編成、4両編成(定員581名)を25編成新造する予定である。
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ハンディ端末と作業指示書
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タブレット端末を進捗管理用に導入。画面の作業内容にタッチするだけで着手・完了情報を入力できる
会社情報
- 会社名
- JR東日本テクノロジー 株式会社
- 代表取締役社長
- 中井 佐敏(さとし)
- 本社
- 東京都豊島区西池袋1-11-1
- 江南工場
- 新潟県新潟市江南区両川2-3927-22
- 電話
- 025-288-6836(江南工場)
- 創業
- 1968年
- 従業員数
- 1,697名(江南工場66名)
- 主要事業
- 新幹線および首都圏・東北地区・北信越地区で使用する鉄道車両とその部品の開発・設計・改良・製造・メンテナンス/鉄道車両基地設備の設計・製造・設置工事・メンテナンス/上記関連製品の販売/上記事業に関するコンサルティング
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