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最新設備を導入して成長する首都圏アーバン工場

「事業再構築補助金」を活用して、ファイバーレーザ複合マシンを導入

不透明な時代だからこそ積極投資で差別化を目指す

有限会社 吉岡技工所

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画像:「事業再構築補助金」を活用して、ファイバーレーザ複合マシンを導入「事業再構築補助金」を活用して導入した同社初のファイバーレーザ複合マシンLC-2012C1AJ

ファイバーレーザ複合マシンを初めて導入

画像:「事業再構築補助金」を活用して、ファイバーレーザ複合マシンを導入佐藤大社長(左)と吉岡健男会長(右)

中小規模の板金加工工場が集積している横浜市の港北区や都筑区。30~50坪前後の貸工場や自宅兼工場で操業する従業員数10名以下の板金加工工場も多かったが、ものづくり環境がきびしさを増す中、年々減少している。

2020年工業統計調査によると、横浜市内の製造事業所数は2,214事業所で、2019年の2,268事業所から2.38%減となっている。2021年の数字は公表されていないが、コロナ禍の影響を受け、製造事業所数はさらに減少していると予想される。

そんな中、従業員数9名の㈲吉岡技工所は、「第2回事業再構築補助金」に申請し、2022年4月にファイバーレーザ複合マシンLC-2012C1AJを導入。2020年4月に3代目社長に就任した佐藤大社長が得意先に対してものづくり改革を提案することで、企業体質改善と新規市場開拓に力を入れている

50年前に杉並区高井戸で創業 ― ARIES導入が転機

吉岡技工所は、吉岡健男会長の父親が創業した。

「もともと仕上げ工だった父が1972年に杉並区高井戸で、作業小屋の一角を借り、プレスと蹴飛ばし2台で母親とふたりで創業しました。私はベンディングマシンRG-35を導入した1977年に20歳で入社し、親子3人で作業していました。1985年頃には現在地に自宅兼工場を建てて移転。セットプレス2台のほか、1987年にはパンチングマシンを導入しました。その頃から父の体調が悪化し、私が事業を引き継ぐことになりました」(吉岡会長)。

2000年7月、パンチングマシンARIESⅡ-245NTと2次元CAD/CAM AP100を導入したことがきっかけで仕事が増え、得意先も十数社になった。

「今思えば、あのタイミングでARIESを導入していなければ会社の存続も危うかったと思います」と吉岡会長は振り返る。

通信機器や照明器具、検査装置の電源ボックスや制御ボックスなどに使うシャーシ、ボックスなどの部品・ユニットを受注していたが、リーマンショックなど外部環境の変化の影響によって受注の平準化がなかなかできない。もともと同業者からの横請けの仕事が多いため、1カ月先までの仕事しか見えない。そうした状況を少しでも改善するために、吉岡会長は「会社の強み・特長を明確にしていかなければならない」と考えた。

  • 画像:「事業再構築補助金」を活用して、ファイバーレーザ複合マシンを導入LC-C1AJのNC装置AMNC3iを操作する佐藤社長
  • 画像:「事業再構築補助金」を活用して、ファイバーレーザ複合マシンを導入ベンディングマシンFBDⅢ-5012NTで曲げ加工する吉岡会長

第2工場を確保 ― 複合マシン導入で強みを打ち出す

そんな時に、長女が通っていたデザイン専門学校で造形デザインを学んでいた佐藤大社長と出会った。長女との結婚話が出たこともあり、吉岡会長は佐藤社長に「造形デザインをしたいなら、イメージをカタチに変えられるものづくりを学んでみてはどうか」と入社を薦めた。

同社に入社した佐藤社長は、図面の読み方・描き方、展開・プログラム、ブランク加工、曲げ加工、溶接作業などをひととおり学んでいった。

「長続きするか心配でしたが、粘り強く覚えてくれました。その様子を見て、彼なら事業承継者として会社を発展させてくれると確信しました。時機を見て『後継者になってほしい』と伝え、現場の作業だけでなく、プレイングマネージャーとして会社経営についても勉強してもらいました」(吉岡会長)。

佐藤社長は2019年に専務、2020年4月に3代目社長に就任した。

吉岡会長と佐藤社長は、5年ほど前から会社の将来について話していく中で、「企業としての強みを打ち出すためには、パンチ・レーザ複合マシンがほしい」と考えるようになった。しかし、当時の本社工場には複合マシンを設置できるスペースはない。そこで、近辺に適当な物件がないか、銀行なども巻き込んで探すようになった。近場ではなかなか条件にかなう物件が見つからなかったが、2021年2月に銀行から貸工場を紹介された。

本社工場から徒歩数分。35坪の工場に加えて敷地も広く、車4台の駐車スペースもあった。早速、仲介の不動産業者に連絡をとり、ここを第2工場にすることを決めた。

  • 画像:「事業再構築補助金」を活用して、ファイバーレーザ複合マシンを導入TIG溶接や半自動溶接作業ができる溶接工程
  • 画像:「事業再構築補助金」を活用して、ファイバーレーザ複合マシンを導入同社で製作した精密機器の部品

会社情報

会社名
有限会社 吉岡技工所
取締役会長
吉岡 健男
代表取締役
佐藤 大
所在地
神奈川県横浜市港北区樽町4-16-40
電話
045-543-6277
設立
1973年
従業員数
9名
主要製品
通信機器、電子機器などのシャーシ、ボックスなどの精密板金部品

つづきは本誌2022年9月号でご購読下さい。

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