新たな価値創造で得意先開拓に成功した企業
「iPod touch」で工場管理が一変
IoTを活用したエンジニアリング・チェーン構築を目指す
株式会社 マキノ
左:「iPod touch」のカメラで作業指示書のバーコードを読み込み、進捗確認画面を呼び出す/右:現場には、iPod touchを一度に10台充電できる充電器を設置
「すべてはお客様のために。」
牧野拳一郎社長
㈱マキノは、2006年の町田工場への移設を計画した時から、工場内の「各工程をどのように効率化していくか」を主要なテーマとして改善活動を進めている。そのために人材と機械設備への投資を毎年継続。最新設備と熟練した技で、得意先が求める品質・コストに積極的に対応している。
企業理念である「すべてはお客様のために。」を実現するため「即日板金」(超短納期)に対応した企業づくりを行ってきた。社員の夏用ユニフォームである黒のTシャツの背には、白文字で「即日魂」と印字され、組織の強さを感じさせてくれる。
工場の屋根には100kWhの発電能力を有する太陽光発電装置が設置され、工場で使用する電力の14.2%を自社の発電所でまかない、クリーンエネルギーを使用することでCO2排出量を約6万7,200㎏削減している。
工場の周りには多くの花や植物が栽培され、豊かな緑が溢れる工場となっている。さらに創業者である牧野攻会長が飼育する30万匹の蜜蜂が、アカシヤなどの花の蜜を集めている。最先端の製造工場が、こんなにも豊かな自然と共生していることに日本の希望を見た気がする。
パンチングマシンHMX-3510NT+RMP-48M
ファイバーレーザ溶接ロボットFLW-4000のティーチング作業
4年で生産量を2倍アップ
創業以来、三多摩地域の大手IT企業やベンチャー企業から発注される試作・開発の仕事を受注し、2013年度までに工場の生産効率を改善、2009年度比で生産量2倍を達成した。牧野社長は経済環境が大きく変化する中、売上よりも利益確保を重視する経営へシフトしようとしている。
牧野社長は「4~6月期の業績をみると、4月は年度替わりで少し落ち込みましたが、5月・6月は前年同期比で微増となっています。9月以降は有機EL製造装置関連の仕事が増える予定で、暦年でも年度でも売上は前期比増になる見込みです。粗利も2ケタ確保を必達したいと思います」と語っている。
こうした予測の背景には得意先からの強い信頼があり、「当社には不況に強い組織力があり、厳しい時代を生き延びる技術があります」と牧野社長は断言する。
牧野社長を含む4名の営業担当者が毎月受注する受注件数は8,000件以上。1日あたり300~400件の新規アイテムが流れており、即日で納品するアイテムを含め2~3週間のリードタイムで生産管理を行っている。大半は、ロット10個以下の多品種少量生産品であり、各種装置を構成する部品やサブアッシーされたユニットで受注する場合が多い。これまでは受注製品の70%程度がステンレス鋼を材料としてきたが、9月以降の有機EL製造装置関連では、装置の軽量化を目指すため、アルミを使用する割合が高くなる。そのため、9月以降はステンレスとアルミの割合が逆転し、アルミの割合が大きく増えることになる。
①今年2月に導入したベンディングマシンHG-1003ATC。従来機よりも生産性が著しく改善した/②HG-ATCによるステップベンド加工
会社情報
- 会社名
- 株式会社 マキノ
- 代表取締役
- 牧野 拳一郎
- 住所
- 東京都町田市小山ヶ丘3-10
- 電話
- 042-798-5611
- 設立
- 1969年
- 従業員数
- 45名
- 主要事業
- 半導体製造装置関連部品・通信機器関連部品・その他の精密板金部品/スーパーマルチ(Z曲げ金型、国内・国際特許取得)
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