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企業文化の変革をともなうDXを追求 ― 「データドリブン経営」を目指す

「DXセレクション2024」の優良事例に選定

株式会社 広島メタルワーク

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画像:企業文化の変革をともなうDXを追求 ― 「データドリブン経営」を目指す各工程のリーダーが集まり、大型モニターで工程

DXで成果を残す中小企業のモデルケース

画像:企業文化の変革をともなうDXを追求 ― 「データドリブン経営」を目指す前田啓太郎社長

㈱広島メタルワークのDXに関する取り組みが2024年3月に、経済産業省が主催する「DXセレクション2024」の優良事例に選定された。

「DXセレクション」はデジタルガバナンス・コードに沿った取り組みを通じて、DXで成果を残している中堅・中小企業等のモデルケースとして選定される。経済産業省は2022年から毎年この取り組みを行っており、その選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開をはかり、中堅・中小企業等におけるDX推進および各地域でのDXの取り組みの活性化を目指している。

「コミュニケーションのDX化」を実現

同社もはじめの頃は、IT化を推進していたのは前田啓太郎社長と社員1名のみだった。無関心な社員、新たな負担への困惑から取り組みを否定する社員などもいて、現場は混乱が生じた。しかし、前田社長が強いリーダーシップを発揮して、根気強くDXの必要性と意義を説き、「何もしないでは会社の存続はない」と危機感を訴え続けるとともに、社員のスキル向上のサポートを継続。次第に理解者が増えていき、DXを「自分事」として捉える社員が増えていった。

それまでは職人集団として作業は属人化していたが、DXの推進によって「仕事の見える化」「データ化」「暗黙知の形式知化」が進み、担当者以外でも対応できるようになってきた。それに付随して、「生産性向上」、ムダの排除による「Q,C,Dの改善」のほか、社員にデジタル重視の価値観が確立し、変化にチャレンジする精神、チームワークとコラボレーションの意識が育まれ、オープンコミュニケーションな環境が定着した。

前田社長は「今後の企業経営にとって、『コミュニケーションのDX化』はDXによる直接的効果に劣らず、大きな役割を果たすと期待しています」と語っている。

  • 画像:企業文化の変革をともなうDXを追求 ― 「データドリブン経営」を目指す生産管理を行う事務室内のエリア
  • 画像:企業文化の変革をともなうDXを追求 ― 「データドリブン経営」を目指す曲げ工程にはPC端末が設置され、工程進捗と図面を確認できる

DXの推進で自然と働き方改革を実現

前田社長は中小製造業のDXへの取り組みの第一歩は生産管理システムの活用にあると考え、これまでさまざまな取り組みを行ってきた。手書きでの指示書からはじまり、Microsoft Accessによる自作ソフトの開発→パッケージ型の生産管理システムの導入→カスタマイズ対応の生産管理システムの導入→同社をはじめとする板金企業8社が連携して起業したプロフェクト㈱が開発した総合生産管理システム「TED」(Total Engineering Design)の導入という過程を経て今に至っている。

かつてはごく限られた端末のみを使用していたが、現在は50台の端末が工場内で稼働している。小さなムダも積み重なればかなりの量になる。そうした工場内のムダをなくすために1人1台の端末を導入した。全員がリアルタイムに正確な進捗データを取得、手もとで図面を確認し、情報共有などができるようになったことで、効果を上げている。

「タブレット端末を全社員に支給し活用することを計画していましたが、曲げ工程や溶接工程など図面を参照する場合はタブレットの画面では小さかった。拡大・縮小を繰り返して確認したり、事務所に相談に行ったりすることで間接的に時間を取られるわずらわしさを回避するため、これらの工程にはPC端末と大型モニターを設置。端末の設置場所は作業者が自由に変えられます。これによって図面の確認が楽になり、生産性が改善。導入は働き方改革が始まり、時間外作業を減らしていこうという時期と重なりましたが、当社は自然に働き方改革を実現していました」(前田社長)。

画像:企業文化の変革をともなうDXを追求 ― 「データドリブン経営」を目指す左:溶接工程にもPC端末が設置され、大画面で図面の確認ができる/右:食品機械で使われるホッパーは種類が多い

会社情報

会社名
株式会社広島メタルワーク
代表取締役社長
前田 啓太郎
所在地
広島県広島市中区榎町8-3
電話
082-231-3238
設立
1979年(1963年創業)
従業員数
56名(2024年1月時点)
主要事業
ステンレス、アルミの加工(薄板から中板までの製缶板金加工)、省力自動機械部品、設備部品、サイン関係などの製作カバー、医療補助具、食品機械用原料タンクなどの製作
URL
https://h-metal.co.jp/

つづきは本誌2024年6月号でご購読下さい。

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