新たな価値創造で得意先開拓に成功した企業
職人としてのこだわりと誇り
3次元CAD設計と解析を活用した提案型営業を展開
有限会社 ステンレスアート共栄
左:デザイン性に優れた発券機。同社が構造解析に取り組むきっかけとなった/右:3次元CAD SolidWorksで設計を行う
バフ研磨業から板金加工、3次元設計へ
永友義浩社長
㈲ステンレスアート共栄はステンレス板金およびバフ研磨を主とし、設計・解析・試作板金・バフ研磨・装置アセンブリー・その他板金加工全般の設計から仕上げまでを行っている。
1963年に現社長である永友義浩氏の祖父がバフ研磨業として「共栄研磨」を創業。1988年に金属研磨加工の技術を活かした精密板金加工を始め、1993年に永友社長が板金部門を設立した。2001年、精密板金業を主体とするため、工場を埼玉県朝霞市上内間木に移転、㈲ステンレスアート共栄を設立した。
それとともにネットワーク対応型のベンディングマシンFBDⅢ-1253NT、2次元CAD/CAMシステムAP100を導入し、 製品データの一元管理、工場内設備のネットワーク化を目指した。2003年にはパンチングマシンEM-2510NTを導入。さらに、2005年にはさらなる発展を目指し、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入、変化する得意先の要求や、時代の変化に対応していった。
FO-MⅡ RIで切断された形鋼
ベンディングマシンHDS-2204NT
「これからは3次元の時代」
永友社長は、2001年の会社設立後、間もない時期から板金の3次元化に取り組んできた狙いと経緯を次のように語っている。
「2005年10月、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入しました。私は、3次元CADが板金業界であまり認知されていない頃から、次世代板金の3次元化に着目していました。当時、すでに自動車メーカーやティア1の企業では、3次元CADが当たり前のように導入されていましたが、板金業界や、まして当社規模の板金サプライヤーでは、まだ紙図面や2次元CADで対応している企業が多かったと思います。しかし私は『これからは3次元の時代だ』と確信しました。ですから3次元CAD SolidWorksと連携する板金モジュールSheetWorksがアマダから発表されると、すぐに導入を決めました」。
「2次元CADの時は、三面図を展開図に書き直し、でき上がりの製品のイメージは設計者、現場作業者の頭の中で想像するしかありませんでした。当然、人によってスキルのちがいがあり、認識が食いちがってしまうことが多々あります。その点、3次元設計では問題の箇所をモデル上で正確に指摘できるので、間違いや勘違いがなくなり、複雑な説明も不要になりました」。
「設計者、現場作業者が製作物をリアルに認識できるようになって、それが最終的な製品に反映できます。また電話やメールを使ったお客さまとのやり取りも、双方が同じカタチのデータを共有することができ、円滑化されました。3次元設計に対応できることにより、ミスを設計段階で見つけられるようになりました。そのため試作の段階では製造性が検証されており、すでに問題も解決している確率が高くなり、結果として時間とコストの削減につながりました」。
左:同社が開発した航空機・ヘリコプター関連の整備用工具/右:食品機械関連の製品
会社情報
- 会社名
- 有限会社 ステンレスアート共栄
- 代表取締役
- 永友 義浩
- 住所
- 埼玉県朝霞市上内間木2
- 電話
- 048-458-1555
- 設立
- 2001年
- 従業員数
- 25名
- 主要事業
- 精密板金、バフ研磨、研磨加工、3次元設計、構造解析
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