特集

「デジタル」と「グリーン」 ― 成長市場に対応する板金加工

再生可能エネルギーの自家消費を通して脱炭素社会の実現を目指す

ソーラーカーポート+蓄電システムの販売を開始

株式会社 正興電機製作所

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画像:再生可能エネルギーの自家消費を通して脱炭素社会の実現を目指す太陽光発電でつくった電気を蓄える工場内の蓄電池システム

社会インフラや環境関連がコア事業

画像:再生可能エネルギーの自家消費を通して脱炭素社会の実現を目指すパワーエレクトロニクス部門部門長の川﨑祥紀執行役員

㈱正興電機製作所は1921年に創業、今年で100年目をむかえた。同社は「最良の製品・サービスを以て社会に貢献す」を社是として掲げ、堅実な経営、人材育成を基礎として、時代を拓く技術の開発を続けてきた。コア事業である電力・環境エネルギー分野のさらなる事業拡大を推し進めるとともに、情報と制御の独創技術で新商品・新事業の創出に取り組み、環境にやさしく安全で快適な社会のインフラ構築に貢献している。

2018年には東証一部上場企業となった。

受注生産型企業で約95%が受注生産品、受注から設計・製造・検査・納品・保守まで一貫して行っている。

6つの部門で幅広い事業を展開

同社は6つの部門 ― 電力の安定供給をサポートする監視制御システムやデジタル化制御システム、配電機器などの製品を提供する「電力部門」、上下水道処理監視制御設備から運転操作設備まで一貫したシステムを開発、製造する「公共部門」、各種生産設備に関する豊富なノウハウ、コンポーネントに関する幅広い知識と最新の制御技術、情報システム技術と構築技術を駆使し人に優しい生産システムをサポートする「産業部門」、再生可能エネルギーの安定供給のために貢献する「パワーエレクトロニクス部門」、自社データセンター(IDC)を核として金融、文教、港湾、製造、流通など向けに低コスト、短納期で高品質なクラウドサービスを中心にサービスを提供する「情報部門」、安定した電気の供給をサポートする制御機器・電子製品を手がけ、最近は調光フィルムSILFを使いスイッチのオン・オフで透明・白濁を瞬時に切り替える機器の開発を行っている「電子制御機器・オプトロニクス部門」を持ち、幅広い事業を展開している。

  • 画像:再生可能エネルギーの自家消費を通して脱炭素社会の実現を目指すENEPAC HyBriD」を活用して販売を始めたソーラーカーポート+蓄電パッケージシステム
  • 画像:再生可能エネルギーの自家消費を通して脱炭素社会の実現を目指す住宅用蓄電池システム「ENEPAC HyBriD」を構成する蓄電ユニット(左)と太陽光発電と常用の電力用のハイブリッドパワーコンディショナー(右)

再生可能エネルギー分野で貢献する「パワーエレクトロニクス部門」

同社は再生可能エネルギーを自家消費するための家庭用蓄電システムを中心に3~50kVA出力蓄電システム、特殊電源装置などをラインアップ。また、自社のハイブリッド蓄電システムとソーラーカーポートを組み合わせ、電気自動車(以下、EV)へ再生可能エネルギーの充電を可能とするパッケージシステムの販売も行っている。)

パワーエレクトロニクス部門部門長の川﨑祥紀執行役員は「当社は家庭用蓄電システムのパイオニアとして2004年から2009年まで、日本で初めて鉛蓄電システム『ENEPAC』の量産販売を行いました。当社が取得した『家庭用蓄電システム』の基本特許―バランスTrによるさまざまな運転パターンが選出でき、特に電池と商用から電源を按分供給する系統補充運転方式という独自の基本概念があり、自社ブランド販売のみならず㈱日立製作所様、東京ガス㈱様などにODM供給を行い、1,300台を販売。国内シェアの85%を占めました」。

「また、2008年頃からはリチウムイオン電池による蓄電システム開発を行うようになり、日産自動車㈱様と住友商事㈱様によって2010年9月に設立されたフォーアールエナジー㈱様と協業するようになり、大容量・家全体バックアップの機能を搭載したリチウムイオン蓄電システム『エネハンド蓄電池』の生産委託をいただきました」。

「リチウムイオン電池は使用後でも高い残存性能を有しています。当時は2020年までに再生可能バッテリーの年間需要が最低でもEV5万台分相当になると考えられていて、この再生可能なリチウムイオン電池を活用し、エネルギー貯蔵のソリューションとしてほかのさまざまな用途への再利用を考えました。中でも、再生可能エネルギー分野の蓄電池として再利用することを考え、さらなるCO2排出量削減による低炭素社会の実現を目指しました」。

「当社の『家庭用蓄電システム』の基本特許である負荷追従出力、一定出力による放電と不足分を商用から補う系統補充という基本概念を応用してエネルギー貯蔵のソリューションとして実現させることができました。この際には長崎県の板金加工企業、㈱日本ベネックス様にも協力を依頼、20フィートコンテナにEV24台分のリユースのリチウムイオン電池を格納した『大型蓄電システム』を開発しました」と自社の取り組みについて語っている。

この「エネハンド蓄電池」は工場のバックアップシステムや鉛代替蓄電池、EV用充電器を含めたマルチ充電器などにも活用され、2018年頃までに5,000台の販売実績を上げた。

  • 画像:再生可能エネルギーの自家消費を通して脱炭素社会の実現を目指す古賀事業所内の盤筐体加工工場の主力マシンであるパンチングマシンEMZ-3510NTP+RMP-48M+MARS
  • 画像:再生可能エネルギーの自家消費を通して脱炭素社会の実現を目指すベンディングマシンHDS-1303NTと加工が終わった筐体の側板や扉などの板金部品

会社情報

会社名
株式会社 正興電機製作所
代表取締役社長
添田 英俊
本社
福岡県福岡市博多区東光2-7-25
古賀事業所
福岡県古賀市天神3-20-1
電話
092-943-7181(古賀事業所)
設立
1930年(1921年創業)
従業員数
991名(うち古賀事業所643名)
主要事業
電力供給設備に関するシステム装置の製作・販売/公共・産業設備(水処理プラント設備、省エネ関連設備)に関するシステムおよび装置の製作・販売/コンピュータシステムやソフトウエアの企画、開発とその運用・保守ならびに販売/蓄電システム・パワーエレクトロニクス応用製品の製作・販売、液晶フィルムの製作・販売など
URL
https://www.seiko-denki.co.jp/

つづきは本誌2021年8月号でご購読下さい。

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