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「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりのかたちを提案

アルゴリズミックデザインと板金加工技術の融合

株式会社 ヒラミヤ

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画像:「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりのかたちを提案①ポリゴンメッシュ構造のアルゴリズミックデザインと板金加工技術を融合させた空間モジュールブランド「BIOTRI(バイオトライ)」。写真は「新価値創造展2017」の出展ブース。デザイン・ブランディングはデザイナーの西村ひろあき氏と連携/②3次元CAD Rhinoceros(ライノセラス)で作成した「BIOTRI」の3次元サーフェスモデル

アルゴリズミックデザインと板金加工技術の融合

画像:「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりのかたちを提案社内に展示している「BIOTRI」の中に立つ代表取締役の平宮健美氏

40年以上にわたって特殊車両部品・鉄道車両部品・店舗什器などを手がけてきた㈱ヒラミヤ。リーマンショックが発生した2008年に2代目社長に就任した平宮健美社長は、既存の「工業製品」分野を継続しながら自社製品の開発に取り組むとともに、プロダクトデザイナー・空間デザイナーと積極的に交流。2014年に新規事業として「建築内装」分野へ進出し、第2の事業の柱をつくり上げた。

具体的には、外部のエンジニアと連携し、①建築設計・デザイン分野で普及している3次元CAD Rhinoceros(ライノセラス)、②自由曲面を含む3次元形状をアルゴリズムにより生成するRhinocerosのモデリング支援ツールGrasshopper(グラスホッパー)、③3次元ソリッド板金CAD SheetWorks、④2次元CAD/CAM AP100 ― 4つのツールを組み合わせることで、特徴的なポリゴンメッシュ構造のアルゴリズミックデザインと板金加工技術を融合させた新しい空間づくりのかたちを提案。今では建築家やインテリアデザイナーからの問い合わせが相次ぎ、「建築内装」分野の売上が全体の30%を占めるまでに成長した。

2017年には、中小製造業とのコラボレーションを積極的に行っているデザイナー・西村ひろあき氏とも連携。こうしたビジネスモデルそのものを空間モジュールブランド「BIOTRI(バイオトライ)」としてブランド化し、ビジネスマッチング展「新価値創造展」に出展して注目された。

2018年には、建築分野における3次元化の可能性を追求するコミュニティブランドサイト「3D Architecture Lab(アーキテクチャー・ラボ)」を新たに開設。「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりを推進していこうとしている。

  • 画像:「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりのかたちを提案3次元ソリッド板金CAD SheetWorksにより3次元サーフェスモデルをソリッド化する。写真は「工業製品」分野の製品
  • 画像:「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりのかたちを提案南青山のシューズショップ「イグアナアイ」の店舗内装(設計:水谷壮市デザイン事務所・水谷壮市氏)。この案件が同社にとって大きな転機となった

デザイナーとの交流が突破口に

社長就任後、平宮社長は「自分たちがつくったものが、目に見えるかたちで世の中に認められるようになってほしい」という強い思いから、自社製品開発を推進。行政の支援を活用し、外部の専門家とも連携しながら、空気清浄機、おむつ交換カート、服薬装置といった自社製品を開発していったが、具体的な成果にはなかなか結びつかなかった。

平宮社長は「自社製品は今も諦めたわけではありません。地元工業会青年部のメンバーと共同で開発している大豆選別機は、とうとう製品化のめどが立ったところです。ただ、当時(2010年頃)力を入れていた製品は、製品の特性からして保証・メンテナンスの面でリスクが高く、事業の発展性も見込めない ― これ以上は投資すべきでないと判断せざるを得ませんでした。そこで原点に立ち返り、『板金加工の領域で伸ばしていくにはどうしたら良いか』と改めて考えるようになりました」と振り返る。

突破口となったのは、デザイナーとの出会いだった。

私立高専のグラフィック工学科出身の平宮社長は、2012年末の同窓会で、中堅企業でデザインチームのチーフを務める同窓生と再会。意気投合し、「デザイナーは紙や画面の上でしか表現できない。しかも、製作を依頼すると自分の思うとおりのものはなかなかできてこない。デザインに込めた思いをカタチにするための取り組みを一緒にできないか」と声をかけられた。

この再会がきっかけとなり、同窓生のデザイナー仲間も参加するグループをつくることになり、商空間を構成する建材などの展示会に共同出展するようになった。

  • 画像:「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりのかたちを提案メルセデスベンツ和歌山の体験型ショールームのレストランのカウンターテーブル。重厚感を出すために鉄・板厚4.5㎜を使用している
  • 画像:「3D建築」 ― 3次元曲面による新しい建築空間づくりのかたちを提案カウンターテーブルの仮組み作業。“のりしろ部”の曲げRがNGとされたため、アングル状の部品を溶接してボルトで連結している

会社情報

会社名
株式会社 ヒラミヤ
代表取締役
平宮 健美
住所
神奈川県川崎市高津区久地3-4-1
電話
044-811-5760
設立
1970年
従業員数
12名
事業内容
特殊車両部品・鉄道車両部品・業務用厨房用品・店舗什器などの設計・製作/インテリア・建築内装の設計・製作・施工/自社製品(空気清浄装置・おむつ交換カート・服薬装置・大豆選別機)の開発・製造
URL
http://hiramiya.co.jp/

つづきは本誌2019年2月号でご購読下さい。

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