木工技術と板金加工技術の融合で、差別化をはかる
麻布台ヒルズのデジタル・ミュージアムなど、トレンドの最先端を担う
株式会社 創芸社
「エプソン チームラボボーダレス」の作品制作に貢献
2023年11月、森ビルが東京・麻布台に「一体的な都市づくりの中で緑豊かな環境と新しい都市生活を実現する」をコンセプトにした「麻布台ヒルズ」をオープンした。約8.1haの広大な計画区域に約2万4,000m²の緑が広がり、延床面積約86万1,700m²にオフィス、住宅、商業・文化施設、教育・医療機関など、多様な都市機能が集積する都心の新たなランドマークとなる。
その中でひときわ注目を集めているのが「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」だ。このミュージアムでは、安定した高画質を維持するエプソン製プロジェクター約560台とパソコン約540台により、チームラボボーダレスのつくった幻想的な空間の中で約20点のアート作品を体感することができる。
このアート作品の一部を製作したのが木工機器類や特注家具、金属機器・備品を製作する㈱創芸社である。数百mにおよぶ木製のレールを金属で覆った軌道の上を、ゴムタイヤを備え、さまざまな色に発光する球が走りまわる。駆動源は球が備える電動モーターだ。金属で覆われた木製レールの数カ所に銅電極を内蔵した充電ステーションが設置されていて、球が通過するたびに充電されるため、とどまることなく動き続けることができる。木工技術と金属加工技術を備えた同社が企画・デザイン・施工を担当し、丹青社から受注した。
「旭川家具」がバックグラウンド
同社は先代の小島正裕氏が1982年に内装設計・施工監理会社として旭川市内で設立した。1985年に市内共栄に木工機器工場を開設、1987年に㈲創芸社として法人化した。
同社の本社工場がある東川町や創業地の旭川市周辺は、日本五大家具産地のひとつとして知られている。「旭川家具」は大雪山系の森の木で木製の道具をつくり始めたことがきっかけではじまり、以来100年以上続く地場産業だ。
そうした中で同社は木工機器の生産工場としてスタート。すぐに札幌市で創業し、のちに国内に700店以上の店舗を持つ㈱ニトリ(当時は似鳥家具卸センター㈱)との取引が始まり、ニトリが北海道内に開設する店舗内の機器備品・一部内装工事を受注するようになった。
1995年には株式改組して本社業務を旭川市に移動、東川工場を支店登録し、業務本部として事業を発展させていった。ニトリ向けの店舗機器・備品には金属機器もあったため、その都度外部の板金工場に外注していたが、納期や品質への対応に悩まされることも多かった。そこで2001年に定盤、溶接機、メタルソーを導入し、専任作業者1名でスチール工場部門を仮設して、金属加工業務をスタートした。2004年にはスチール製作工場を増設、焼付塗装窯も設備した。こうした対応によってニトリの道内向け新店舗の仕事が売上の50%以上を占めるまでになった。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 創芸社
- 代表取締役
- 小島 一之
- 所在地
- 北海道上川郡東川町西町12-1-1
- 電話
- 0166-82-4964
- 設立
- 1987年
- 従業員数
- 38名
- 主要事業
- 木工機器類、特注家具、仕上げ塗装、金属機器、製作備品、焼付塗装、ベンチ・クッションレザー張りなど、一般建築工事業、大工工事事業など、内装仕上げ工事業
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