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世界につながるモノづくり ― Connected Industries

「EuroBLECH 2018」開催

IoTを活用してスループットを最大化する取り組みが目立つ

ファイバーレーザマシンは高出力化からビーム制御に開発の軸足が移る/世界40カ国から1,507社が出展

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画像:IoTを活用してスループットを最大化する取り組みが目立つ「EuroBLECH 2018」が開催されたドイツ・ハノーバー見本市会場の東ゲート

会期が4日間に短縮

第25回国際板金加工技術見本市「EuroBLECH 2018」が10月23日から26日までの4日間、ドイツ・ハノーバー見本市会場で開催された。2年に1度開催される同展は、世界最大の板金加工技術見本市であり、今年は世界40カ国から計1,507社が出展した。会期中には、世界各地から5万6,301人が来場した。

主催者であるMack Brooks Exhibitionsは「出展者にとってだけでなく、来場者にとっても素晴らしい雰囲気だった。世界的に経済活動が活発で景気の好循環が続いていることから、多くの出展者が新商品と革新的なソリューションを出展した。前回(2016年)はIoTを活用したサイバーフィジカルシステム(CPS)技術に著しい技術的進歩があったことから、今回も多くの出展者がデジタル化のための準備を整え、これらの新技術をモノづくりプロセスのなかでどのように使用できるか実証する展示を行った」と述べている。

前回から会期が1日短縮され4日間となったが、1日あたりの来場者数は前回を10%以上上まわった。出展者の評価も肯定的なものが多く、「受注・引合い件数が大きく伸びた」という感想が多く聞かれた。

今回は、ドイツ以外の国・地域からの出展者が58%を占め、前回から4ポイント増加した。また、ドイツ以外の国・地域からの来場者が37%となった。ドイツ以外で来場者の多かった国は、イタリア、スイス、オランダ、スペイン、トルコ、インド、英国、ポーランド、オーストリア、ベルギーなど。また、来場者の73%が板金・プレス加工業界の関係者だった。

「ファイバーレーザ」「曲げ加工の自動化」「IoT活用」が目玉

今回の出展傾向をまとめると以下のようになる。

①ファイバーレーザの高出力化が進み、15kW発振器を搭載し、最大60㎜の鋼材加工を実演するなど、ファイバーレーザの高出力化で適用範囲が拡大している。

②ファイバーレーザは高出力競争から、加工する材質・板厚ごとにレーザビームを最適なモード(波形)に制御、加工速度・加工品質を向上させる取り組みが各出展者で見られた。

③IPGフォトニクスのファイバーレーザ発振器を搭載した出展機の割合が全体の75%となり、一極化が進む。

④チューブ・パイプ加工用のレーザマシンが数多く出展され、主なレーザマシンメーカーがシリーズ化した。

⑤人手不足対策とレーザ加工の長時間稼働を実現するため、マシンへの材料供給や加工後の製品とスケルトンの仕分けを自動化するロボットやテイクアウトローダー(TK)がレーザマシンに標準搭載されるようになった。

⑥曲げ加工の自動化に対応したベンディングロボットや自動金型交換装置を装備するベンディングセルが圧倒的に増えた。

⑦世界的に変種変量生産、短納期に対応するリーン生産方式の考え方が浸透。製造工程の把握や管理、作業者への指示や支援などを行う製造実行システム(MES)を導入して、ヒト・設備・時間といった限られた生産資源を状況に合わせて最適化する取り組みが目立った。

⑧IoTを活用して機械をつなぎ、稼働状況やメンテナンス情報を管理することが当たり前になった。

⑨VR技術を機械の操作教育、メンテナンスなどのシミュレーションに活用する展示が欧州メーカーで目立った。

⑩メーカーが自前主義をやめ、顧客のスループットを最大化するために、関連企業との連携やM&Aを活発化、世界的に業界再編が進む。

⑪塑性加工分野ではサーボプレスが主体となり、加圧部の動きをCNCとサーボモータで制御、加工する際の速度や位置、加圧する力などを数値で設定することで、複雑な加工ができるようになった。

  • 画像:IoTを活用してスループットを最大化する取り組みが目立つアマダが発表した革新的なファイバーレーザ技術「LBCテクノロジー」を搭載した「VENTIS-3015AJ」(4kW)
  • 画像:IoTを活用してスループットを最大化する取り組みが目立つ220本の自動金型交換装置を備えた高速パンチ・ファイバーレーザ複合マシン「EML-2515AJ」(3kW)
  • 画像:IoTを活用してスループットを最大化する取り組みが目立つヤマザキマザックは、DDLを切断用にチューンナップした6kWの高出力タイプを発表した
  • 画像:IoTを活用してスループットを最大化する取り組みが目立つ三菱電機はファイバーレーザマシン(手前)と自動仕分けシステム(奥)を組み合わせた自動化ソリューションを出展

つづきは本誌2018年12月号でご購読下さい。

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