新工場を竣工 ― 生産体制を強化する富山の板金企業
「ものづくり企業」の中で一番の「ひとづくり企業」を目指す
一品一様の多品種少量生産に緻密な管理体制で対応
コンチネンタル 株式会社
一品一様の多品種少量生産に対応 ― リーマンショックを機に得意先を分散
コンチネンタル㈱は一品一様の多品種少量生産を得意とする板金加工企業。工作機械、半導体製造装置、食品機械、搬送装置、真空関連など、幅広い分野の仕事を手がけている。2019年度と2020年度は米中摩擦とコロナ禍の影響により2018年度比で約40%減となったが、2021年度(2022年7月期)は過去最高だった2018年度と同等以上の売上を達成する見込みだ。
同社は1991年に岡田幸雄会長が35歳で創業して以来、「職人の技術」「工場・機械設備」「IT」という3つの要素を融合させ、板金加工技術の向上を追求してきた。
2008年に発生したリーマンショックは、同社にとって大きな転機だった。売上が一時70%減となったが、人員整理(リストラ)は頑として行わなかった。3つの要素の中でも「職人の技術」(ひとづくり)をとりわけ重視する岡田会長は、「手塩にかけて育てた技術者を手放すことは、ものづくりの源泉を失うことに等しい」と考えた。
そのかわり、決死の覚悟で県外への営業活動に挑んだことで新規得意先の開拓に成功し、いち早くV字回復を成し遂げた。
これを境に、2010年以降は常に新規得意先を開拓し、得意先の分散をはかるスタイルが定着。今では専任の営業担当者4名を配し、東京都内にも営業所を構えている。
現在38歳の岡田俊哉社長は、リーマンショックが発生した2008年に25歳で入社した。8年間、現場の各工程で経験を積み、工場板金1級技能士の資格も取得。その後は岡田会長のもとで経営ノウハウを学び、2021年7月に2代目社長に就任した。現在は岡田会長から引き継いだ3つの要素を底上げするための取り組みを強力に推進している。
新規品が70% ― 工作機械と半導体製造装置が主力
2010年以降、積極的な営業開拓を進めた結果、現在の得意先は250社を超え、県外の得意先が約70%を占める。毎月定期的に受注するのは50~60社で、1社あたりの売上構成比は20%以下をキープ。業種別の売上構成は、工作機械が40%、半導体製造装置が25%、食品機械が7%、搬送装置が3%、真空関連が3%、その他22%となっている。
月4,000アイテムの製品を加工しており、一品一様の新規品の割合が70%(月2,800アイテム)を占める典型的な多品種少量生産となっている。1日平均200件ちかくのオーダーが入り、1日100~200件の見積りとプログラムを行わなければならない。しかも得意先が多いため、求められる品質・納期がまちまちで、品質管理・生産管理の負担も大きくなる。
見積りは、岡田社長が一手に担っている。毎日100件以上、多いときには200件ちかくになるが、岡田会長から「一子相伝」で引き継いだ手法により、1件あたり2~3分という驚異的なスピードで処理していく。
「見積りソフトをいくつか試しましたが、処理速度が遅すぎます。今後は営業担当者など、私でなくても見積りができる仕組みをつくり込んでいく必要があります」(岡田社長)。
会社情報
- 会社名
- コンチネンタル 株式会社
- 代表取締役
- 岡田 俊哉
- 所在地
- 富山県富山市水橋沖172
- 電話
- 076-478-2324
- 設立
- 1991年
- 従業員数
- 86名
- 主要事業
- 金属鋼板を使用した工作機械カバー、電気機器の筐体、建材などの製作
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