新工場を竣工 ― 生産体制を強化する富山の板金企業
「Challenge to Change」 ― 変化への挑戦を信条に
新本社工場の完成で生産性と品質の改善を目指す
ケーズメタル 株式会社
新本社工場を竣工
ケーズメタル㈱は2021年9月、富山県高岡市の新産業団地「ICパーク高岡」内で新本社社屋と工場の竣工式を行った。新しい本社工場は鉄骨造、一部2階建で敷地面積1万3,277㎡、延べ床面積2,334㎡となっている。旧本社工場と氷見工場の生産ラインを統合し、それまで単体機運用していたファイバーレーザ複合マシンACIES-2515T-AJに素材棚と製品・スケルトン棚のAS-3015NTK+ULS-3015NTKを後付けし、16時間の連続自動運転を可能にした。生産体制を強化し、品質・納期管理体制の構築、顧客満足度の向上をはかり事業拡大を目指す。
工作機械カバーの量産に対応
同社の主力製品は工作機械、射出成形機などの機械カバー。そのほか環境エネルギー設備部品、店舗用什器、農業用機械部品、情報通信設備部品、建材部品などで得意先は30社以上となっている。中でも工作機械カバーは中部地区の大手メーカーからピーク期には月産数百台を受注するなど、量産加工力を備えている。
2020年3月以降は、コロナ禍で受注は半減したものの、同年10月以降はV字回復した。工作機械カバーや射出成形機カバー、店舗什器などは、デザイナーとの協働で意匠段階から新たに取り組んだ仕事も順調に伸びている。
会社創業までの経緯
片山要治社長は「新工場は2021年3月に着工し、半年という短期間で竣工しました。建設業者やアマダなどの強力な応援で実現することができました。創業以来、多くの方々のご支援に恵まれ、ここまで来ることができました」と周囲への感謝を語っている。
新本社工場の操業開始までの時間と同様に、同社の成長スピードは速い。2005年の創業以降、同社は毎年のように新設備を導入、社員を増員しており、その成長ぶりは業界でも注目されている。しかし、これまでの道のりは決して平たんなものではなかった。
片山社長の両親は氷見市内でパート社員3名と、溶接ロボットを軸に2輪車部品を溶接する個人会社を運営していた。親の背中を見て育った片山社長は後継者となるべく愛知県内の得意先に就職し、溶接技術や溶接ロボットのティーチング技術を学んだ。21歳のときに父親が49歳の若さで急逝したため、帰郷。しかし、2輪車部品の仕事は海外へ流れて発注量が減少、工場の稼働率も落ちていた。このまま事業を継続すべきか否か ― 大きな岐路に立たされた。
そんなとき、父親の友人で富山市内の板金工場の経営者から「2輪の仕事をただ待っているのではなく、思いきってうちの工場に来たらどうか。溶接技術に磨きをかけて、板金や製缶の技術を身につけ、それから今後を考えても遅くはない。今後の事業拡大を見据えるなら、個人経営ではなく法人設立を目指したほうが良い。そのためには会社の動かし方や人の使い方も勉強したらどうか」と声をかけてもらった。片山社長は翌週から約3年間、その工場でさまざまなことを学んだ。その期間中、起業に向けて高岡市内の2,221㎡の土地と工場、事務所を中古物件で購入。27歳になった2005年2月、㈲ケーズメタルを創業した。
会社情報
- 会社名
- ケーズメタル 株式会社
- 代表取締役
- 片山 要治
- 所在地
- 富山県高岡市ICパーク3番地
- 電話
- 0766-30-6207
- 設立
- 2005年
- 従業員数
- 40名
- 主要製品
- 工作機械部品・精密加工機械部品・射出成形機部品・環境エネルギー設備部品・店舗用什器・農業用機械部品・情報通信設備部品・建築部品・食品機械用部品・その他
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