海外志向と語学への情熱―グローバル企業を目指す
JMCで対話による“気づき”の大切さを実感
協和プレス工業 株式会社 管理部部長 野村侑加 氏
芸術と工学の“両取り”から板金企業へ
野村侑加部長は名古屋市立大学芸術工学部出身。高校では理数系を選択していたが、幼少期から母親に美術を教わり、芸術分野への意識が高かった。大学では「芸術工学部」を選択、工学と芸術の“両取り”をする格好となった。
父親である野村壮吾社長も九州芸術工科大学の出身。野村社長の専攻はグラフィックデザイン、娘の野村部長はインテリアデザインというちがいはあるものの、どちらも「工学と芸術を一緒に学びたい」という発想では共通していた。
大学を卒業した野村部長は、野村社長の誘いを受けるかたちで、そのまま家業の協和プレス工業に入社した。
野村部長は「これで本当に良いのかな、という葛藤はありました。入社したら、どうしても社長の娘という目で見られるでしょうから、どういう風に振る舞ったら良いだろうとも悩みました。しかし、社員や取引先のみなさんが可愛がってくださったので、どうにか今までやってこられました。特に私が入社する前に大学新卒で入社していた2人の社員とは歳も近く、相談し合いながら一緒に成長することができたと思います」と振り返る。
入社当初は生産管理の担当者として、受注処理や材料発注、生産手配、納期管理などに携わり、翌年からは採用担当として合同企業説明会や面接も担当した。その後はプログラム工程、高精度パンチプレスMERCのオペレーション、さらには経理事務まで担当するようになっていった。
「大学ではCADや3次元モデリング、プログラミングなどの授業もあったので、CAD/CAMの操作は抵抗感なく飲み込めました。板金のことは右も左もわかりませんでしたが、モノづくりをするうえでは、大学でのデザインの経験が活きる部分がたくさんあるので、楽しさを見出しています」。
カナダに1年半―海外志向と語学への情熱
野村部長は少女時代から、海外志向も強かった。中学から高校にかけて米国・韓国・オーストラリアで計3回ホームステイを経験した。入社後5年が経過したころには、和歌山市内の外国語専門学校で試験的に開催されたビジネス英会話を受講。それがきっかけで語学への情熱が再燃した野村部長は、後輩への引き継ぎを済ませ、2013年1月に語学研修とワーキングホリデーの名目でカナダへ留学した。
「バンクーバーに半年、トロントに1年、滞在しました。そのうち半年間はトロント近郊にある金属加工機メーカーに勤務し、日本語資料の英訳や英語の提案書の作成などの業務を手伝いました。仕事を休んで留学するわけですから『絶対にムダにはできない。きちんとステップアップしないと』と思い、留学中はできる限り日本人とは話さず、日本語から離れようと決めていました。その甲斐あって、留学後に受けたTOEICの成績は留学前の倍くらいに伸びました。あのときは『英語の先生になろうかしら』と思うくらい嬉しかった」。
会社情報
- 会社名
- 協和プレス工業 株式会社
- 代表取締役社長
- 野村 壮吾
- 住所
- 和歌山県紀の川市長田中345-7
- 電話
- 0736-73-3211
- 設立
- 1963年
- 従業員数
- 60名
- 主要事業
- 業務用空調機器・冷凍機器の板金部品、プレス部品、工作機械用カバー板金部品、業務用通信機器の精密板金部品・プレス部品など
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