金型交換の自動化で生産性向上を実現
一つひとつに手を抜かない、徹底したものづくりを追求
2台のHG-ATCを同時に導入、生産性改善に貢献
株式会社 相馬製作所
プレス加工と金型製作からスタート
㈱相馬製作所は1963年、創業者であり現会長の羽山勝幸氏が金型製作とプレス加工を行う工場として川口市内で創業した。1968年には法人化し、1975年には南相馬市内に福島工場を開設した。
川口市の「本社工場」では金型製作の技術を生かした試作と一品一様の板金加工を、「福島工場」ではリピート品やロットの多い量産品の仕事をこなすようになった。アマダの板金機械設備を50年以上前から活用し、パンチングマシンPEGA-344、アマダが開発した自社製レーザ発振器OLCの1号機を搭載したレーザマシンなどを導入してきた。
金型加工に秀でており、精度のきびしい仕事を受注。創業以来、高品質・低コスト・納期厳守を企業理念としており、スピードが求められる時代だからこそ、テクノロジーと職人技の融合をはかってきた。半導体製造装置、通信機器、医療機器、理化学機器、救急車などの特殊車両、事務機、光学機器などの業界にも営業活動を広げていった。
人工呼吸器の筐体を2カ月で500台製作
2013年に2代目社長に就任した羽山勝彦社長は、自社の経営姿勢について次のように語っている。
「現状に満足することなくさらなる高みを目指し、創業以来、最新鋭の設備で試作から量産、多品種生産までこなし、日夜技術の研鑽に取り組んできました。クラフトマンシップを忘れず、品質・納期・コストに対し精進しています」。
「2020年4月以降、新型コロナウイルスの感染者が増えたことで人工呼吸器が大量に必要になりました。当社は、政府から人工呼吸器の生産支援要請を受けた医療機器メーカーのお客さまから、人工呼吸器の板金筐体一式を受注しました。9月までに500台製作しなければならず、板金筐体の納期は2カ月しかありませんでした。2カ月で500台、つまり1日あたり10~15台生産できるようタクトタイムを算出、5月の連休も出勤して間に合わせました。所定外労働時間は80時間を超えましたが、緊急事態ということで全社員が協力し、なんとか納期に間に合わせることができました。お客さまからのきびしい課題にもあきらめず、果敢にチャレンジするというクラフトマンシップが、社員に染みついているからこそ実現できたのだと思います」。
「当社は試作・開発から量産まで最適な加工方法を選択できます。板金加工だけにとらわれず、表面処理をはじめとした機械加工、樹脂関連、購入品までのネットワークがあります。そのため、品質要求がきびしい案件が集まってきます。そうした案件にも設計段階から丁寧な対応を心がけてきました。試作と一品一様生産に対応する『本社工場』、量産とリピート生産の『福島工場』、それぞれの機能を使い分け、その特徴とロケーションを生かしてきました」。
首都圏や関東エリアで140社の得意先を持つ
現在、4名の専任営業担当者が本社、福島工場に在籍。首都圏、南関東、北関東エリアの140社ちかくの得意先から定期的に受注している。営業担当者は、自社がどんなものをつくれるか、どんなものを供給できるかを常に考えながら、顧客対応を行う。そうすることでトラブルをなくし、徹底した製品づくりを行うことができるバックグラウンドができている。
「本社工場」は金型製作用のワイヤ放電加工機や、細穴放電加工機、フライス盤、形削り盤、単発のプレスマシンを導入。板金加工設備はパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT、ベンディングマシンHDS-8025NT、自動金型交換装置付きのHG-1003ATCなどを導入している。
「福島工場」はファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ +ASR-2512NTK、レーザマシンLC-2412F1NT+LST-2412F1、パンチングマシンEMK-3510MⅡ、ベンディングマシンHG-8025、HDS-1303NT、HDS-5020NT、HG-1003ATCなどを導入している。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 相馬製作所
- 代表取締役
- 羽山 勝彦
- 本社工場
- 埼玉県川口市弥平1-19-16
- 福島工場
- 福島県南相馬市原町区本陣前3-58
- 電話
- 048-222-9741(本社工場)
0244-22-8262(福島工場)
- 設立
- 1968年
- 従業員数
- 69名(本社工場30名、福島工場39名)
- 主要製品
- 半導体製造装置、各通信機器・医療機器・理化学機器・自動車・事務機・光学機器装飾品、鉄道車両、宅配ロッカー
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