検体検査装置の板金加工
「ヘルスケア」「メディカル」関連の売上が約40%に ― さらなる拡大を見込む
電子部品の組配を含めたサブアセンブリーにも一部対応
第一精機 株式会社
設立70年超 ― 最新設備を次々導入
第一精機㈱は1954年に東京都北区で設立され、今年4月から71期目をむかえた。
設立当初は写真機、映写機、露出計、双眼鏡などの部品加工を行った。1958年には写真機(35ミリ型スチールカメラ)を自社開発し、製造を開始。一部輸出を試みるが、1961年に撤退し、生産主力を光学機器メーカーのグループ会社である複写機メーカーの事務機器などの精密部品加工へ転換した。1963年には電子複写機や電子計算機、光学機器メーカーの各種光学機器部品の精密プレス・板金加工分野へ進出した。
1967年には都内できびしくなった騒音や公害問題などへの対策から、福島県浅川町にプレス工場を仮設し、仮操業を開始した。1969年には現在地に第1期工事としてプレス工場を建設してプレス加工を開始。1973年には第2期工事としてプレス工場を増設し、本社工場の板金・金型部門を浅川工場へ全面移転し、一貫生産体制を構築した。
1980年には第3期工事として板金工場を建設し、NCタレットパンチプレスの導入により多品種少量生産体制による生産合理化を進めた。1982年には第4期工事として事務所・板金・物流の統合工場を建設。受注から生産、出荷までの生産管理体制を確立した。
その後も第5期工事で事務棟、第6期で自動倉庫を備えた物流センター、第7期工事で板金加工の新工場を建設。ベンディングロボット、パンチ・レーザ複合マシン、自動倉庫などを次々と導入し、自動化・合理化をはかっていった。
「ヘルスケア」「メディカル」関連の仕事が増加
長年にわたり継続取引している光学機器メーカーは、関連事業をM&Aなどで拡大し、現在では「ヘルスケア」「エレクトロニクス」「イメージング」の3つのセグメントで事業を展開する巨大企業グループとなった。同社売上においても60%以上を占めている。
受注製品は、以前から取り組んできた各種光学機器、事務用機器、情報関連機器部品に加え、最近は「ヘルスケア」「メディカル」関連が増えている。今では受注の約40%を占めるまでになり、さらなる拡大が見込まれている。
特にコロナ禍の際には患者のそばへ移動させて撮影する回診用X線撮影装置の特需が発生。従来からX線画像診断装置部品を手がけてきた同社にも、回診用X線撮影装置の仕事が大量に発注され、多忙な時期が続いた。
新型コロナウイルス感染症の5類移行後はそれらの仕事も大きく減少したが、その一方でマンモグラフィ、内視鏡システム、超音波診断装置、臨床検査・分析装置の仕事が増えている。最近は得意先から打診を受け、医療機器本体への電子部品の組配を含めたサブアセンブリーも手がけ始めている。今後の展開次第では、医療機器分野の売上が50%を超える可能性も現実味を帯びてきた。
海外・日本とも市場拡大が見込まれる医療機器
得意先のメーカーは2019年に国内有数の画像診断装置メーカーを買収し、ヘルスケア、メディカル事業に力を入れている。国内の少子高齢化が進む中で、「健康寿命」に対する関心が高まり、いまだ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズや医療サービスへのアクセス向上など、社会課題の解決に取り組み、予防・診断・治療の領域で健康的な社会づくりに貢献することを事業目的に掲げる。そのため、AI・IT技術も採り入れた幅広い製品ラインナップを活かして、医療分野における新たな価値の創出と課題解決に取り組んでいこうとしている。
さらに、新興国を中心に健診センターの展開を進め、日本の健診文化を世界へ広める取り組みを行っており、欧米を含めた海外市場開拓にも積極的。そのためにサプライチェーン全体のものづくりのレベルアップ、とりわけトレーサビリティーの確保を中心とした品質管理体制の充実にも取り組んでいる。
日本の医療費は人口が減少しているにもかかわらず、3年連続で前年を上まわっている。特に75歳以上の後期高齢者の医療費が増えており、健康寿命への関心が強い。それだけに、今後は医療サービスへのニーズがますます高まり、医療機器の需要は微増ながら伸びていくと考えられている。
会社情報
- 会社名
- 第一精機 株式会社
- 代表取締役
- 大塚 浩一
- 本社
- 東京都北区十条台1-6-44
- 工場
- 福島県石川郡浅川町大字浅川字大明塚111-18
- 電話
- 0247-36-3125(工場)
- 設立
- 1954年
- 従業員数
- 125名
- 主要事業
- 各種光学機器、事務用機器、情報関連機器、各種医療機器部品の設計および製作、各種精密プレス・板金・組立、金型設計製作
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