第35回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介(その1)
「主張のある作品づくり」が驚きを与える ― 直径41㎜の中空球
「珠」が「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞
株式会社 三輪工業
直径41㎜の中空球を板金・溶接で製作
「第35回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「溶接品の部」に出品した㈱三輪工業の「珠」が、「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞した。同賞は「卓越する技能を用い、独自の手法を開拓したと思われる作品」に贈られる。
同社は、第26回(2013年度)の板金フェアで「かみふうせん」が「厚生労働大臣賞」を受賞。第24回(2011年度)で「クォーターメビウスループ」が今回と同じ「中央職業能力開発協会会長賞」、第33回(2020年度)で「ペンローズの六芒星」が「造形品の部」の準グランプリを受賞している。これらの作品は「切断・穴あけ」「曲げ」「溶接仕上げ」と通常の工程で製作されているが、いずれも同社の特徴を主張するものづくりが行われている。
今回の受賞作品「珠」は直径41㎜で、ゴルフボールとほぼ同じ大きさ。一見すると中身が詰まったステンレス製の球に見えるが、実際にはステンレスの薄板を±0.3㎜という精度で曲げ・溶接を行っており、持ち上げてみて初めて、その軽さから中空球であることがわかる。
顧客は400社以上 ― 「絶対不可欠の会社」を目指す
1991年に48歳で同社を創業した三輪宏一会長は、「信用」と「お客さまに迷惑をかけてはいけない」を信条とし、「お客さまに喜んでいただく『部品屋』」を宣言して、福島県内の企業からさまざまな仕事を受注してきた。長さが1,200㎜を超える工作機械カバーや盤筐体から、電子機器・半導体製造装置・医療機器などに使われる精密小物部品まで、幅広い製品に対応してきた。
2008年、2代目社長に就任した三輪貴宏社長は「当社は『Aというお客さまのBという製品をつくっています』という紹介はできません。ざっくりいうと『何でも屋』です。お客さまの数は400社以上、そのうち県内企業が約80%、1カ月の生産アイテム数は1,000種類以上、平均ロットサイズは1~5個 ― これらの仕事を30名弱のスタッフが手分けして対応しています」と紹介する。
また、「多くのお客さまから必要とされる、絶対不可欠の会社を目指してきました」と三輪社長は力を込める。
三輪社長は前職の日本IBMでの経験を活かし、入社以来、ものづくりのデジタル化に取り組んできた。その一方で三輪会長の経営理念を継承し、得意先から信用され、頼りにされるサプライヤーとして高品質・高品位な製品づくりを強化してきた。そのために生産設備を更新して高精度化に取り組む一方、営業活動に力を入れ、展示会などにも積極的に参加している。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 三輪工業
- 代表取締役
- 三輪 貴宏
- 所在地
- 福島県白河市表郷八幡字上後久保25-1
- 電話
- 0248-32-3089
- 設立
- 1991年
- 従業員数
- 28名
- 主要業種
- 産業機械・特殊機械装置、工作機械・カバー、配電盤・制御盤、半導体製造装置、医療機器、電子部品
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