Interview

「明るく元気な会社」を目指す

日本とタイとの好連携でバリューチェーンを拡大

株式会社 三進製作所 代表取締役社長 谷治 元弘 氏

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画像:「明るく元気な会社」を目指す左:得意先へ見積書を送る前に、不具合を起こしそうな要因の洗い出しや、ディスプレイを用いた提案を行っている/右:生産管理システムAPC21。間接業務の改善に貢献している

1945年、谷治元弘社長の祖父が東京都内で創業。1952年に㈱三進製作所へと社名を変更し株式改組をした。谷治社長の父である谷治健一会長は1958年、大学卒業と同時に入社し、大手企業から次々と仕事を受注。時代に即したプレス加工にも対応し、金型製作や試作に対応するため板金加工を手がけるなど、加工領域を拡大していった。

1974年には、主力得意先が新潟県に移転するのにともない㈱新潟三進製作所を設立。プレス主体の仕事から多品種少量生産にシフトするなど臨機応変に対応し、1987年までに3工場を増設した。一方、1996年にタイ・アユタヤ市に「Sanshin High Technology(Thailand)Ltd.」(以下、SHTT)を設立。プレス加工を中心に、現在は2拠点で270人の従業員を擁する中堅企業へと発展している。2003年には、国内のプレス事業の業績不振が深刻化、三進製作所と新潟三進製作所を合併し、リ・エンジニアリングを進めた。

先進的な取り組みを行うSHTTや、海外展開時の考え方などについて谷治社長に聞いた。

昨年、タイ第2工場に板金部門を立ち上げる

― 2003年にSHTTの社長に就任されてから12年が経過しました。

画像:「明るく元気な会社」を目指す谷治元弘氏

谷治元弘社長(以下、姓のみ) SHTTの社長に就任した2003年は、国内のブラウン管関連の仕事が軒並み不振な状況でした。そして、円満に解決したとはいえ、戸田工場(埼玉県)の閉鎖と75名の社員をリストラするという苦渋の決断を余儀なくされました。

この年、三進製作所(埼玉県)と新潟三進製作所(新潟県)を合併し、新たな三進製作所を設立しましたが、今度はSHTTの業績不振も深刻化。タイ工場のテコ入れのため、戸田工場にあった300トンの大型プレスを移設するとともに、私が社長として赴任しました。現在は、日本とタイを2週間のスパンで行き来しています。

― タイ工場は順調に拡大していったのでしょうか。

谷治 決して楽な道のりではありませんでした。2008年には副社長が体調を崩し、さらにリーマンショックによる受注不振が重なったことで、日本とタイを併せて見ることになりました。2011年にはチャオプラヤ川の大洪水でSHTTの工場も被災しましたが、社員一丸となり復活を果たしました。

2015年3月には板金加工を主体とする第2工場を建設しています。これまでタイ経済を支えてきたのは自動車と電気関連で、プレス加工へのニーズには強いものがありました。しかし、これからは社会インフラの整備が進み、板金加工へのニーズが強くなってくると考え、第2工場にパンチングマシンAE-2510NTやベンディングマシンを導入しました。

日本とタイの2極体制で事業展開を進め、バリューチェーンを拡げる考えです。2015年のSHTTの売上高は、日本本社の2倍に迫る6億3,439万バーツ(約20億4,300万円)で、従業員数は270名です。

画像:「明るく元気な会社」を目指す谷治元弘社長(中央)の左右に新進気鋭の中堅幹部が並ぶ。中堅幹部は左から、竹内靖雄課長、小島大樹課長、谷治宗高部長、天野聡課長

プレス・金型製作・板金加工に対応

― タイのお客さまはどんな企業ですか。

谷治 自動車に関連する電子部品の仕事を中心に得意先を開拓し、大半は日系企業になります。製品はカーオーディオ、カーエアコン、ラジエータ、コピー機、プリンタなどです。

プレス用金型については、当初は日本から調達していましたが、その後は、シンガポールの金型メーカーからの調達に切り替えました。最近ではローカルの金型メーカーでも、300トンの順送型までなら調達が可能になりました。また、内製化を進めたことで、現在は、自社内の金型工場で金型の30%程度を内製できるようになりました。

― 最近のタイ経済はいかがですか。

谷治 2014年に起きたクーデター以降、タイ経済はあまり芳しくありません。自動車購入時の優遇措置も廃止され、自動車販売は冷え込んでいます。今後はプレスの仕事が薄くなるかもしれない― それが板金を始めるきっかけになりました。板金事業の強化については、3年計画で考えています。毎年、課長職の1人が日本からタイヘ出張して指導にあたります。今年は品質技術課長、来年は製造課長、再来年は生産管理課長とローテーションで計画を立てています。現地社員の教育を徹底し、品質・生産性の向上、受注増を目指します。3年後には第2工場を増築して、塗装まで対応できる一貫体制の工場に仕上げる予定です。

画像:「明るく元気な会社」を目指す5Sが行き届いたタイ・アユタヤ市のSanshin High Technology(Thailand)Ltd.

会社概要

会社名
株式会社 三進製作所
代表取締役社長
谷治 元弘
住所
新潟県胎内市塩沢166-4
電話
0254-47-2055
設立
1945年
従業員
85名(タイ工場270名)
主要事業
プレス加工から精密板金加工、塗装、各種筐体の組立
URL
http://www.n-sanshin.co.jp/

つづきは本誌2016年4月号でご購読下さい。

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