医療・医用機器を支える板金加工
最新設備による24時間フルオートメーションで低コストを実現
医用電子機器、ベッドサイドモニターなどの精密板金部品を生産
有限会社 武蔵工業
ベンディングロボットシステムEG-6013AR
主要10社で売上全体の70~80%占める
小瀬公嗣社長
㈲武蔵工業は1971年、小瀬公嗣社長の父親である小瀬利治会長が川崎市中原区で創業した。1982年に法人化し、1986年に現在地(横浜市港北区)に移転した。
得意先業種は医療・医用機器、半導体製造装置、食品機械、通信機器、建築金物などで、毎月40~50社から仕事を受注している。受注全体の70~80%は医療・医用機器、半導体製造装置、食品機械、通信機器などの主要10社の仕事が占めている。現在は小瀬社長の判断で、ひとつの業種の売上構成比を30%以上にすることは極力避け、リスク分散をはかっている。
パーヘッド売上は月170万円
2023年度の売上は4億円超えとなっており、従業員1人あたりの月間売上高は170万円と高い。それは小瀬社長が育てた工場板金技能士1級4名、2級5名、アルミニウム溶接適格性証明書を持った溶接作業者3名といった優秀な熟練技能者の存在と、創業以来蓄積してきた熟練の技、加えて「技術は日を追うごとにめまぐるしく進化しており、それとともに精密板金加工に求められる技術水準も進化し続けています。そのため当社は主要な工程の設備を常に最新のものにアップデートし、精度や生産性の向上をはかってきました」(小瀬社長)という積極的な経営努力によって培われている。
また、得意先の価値創造を目的とした営業戦略の成果も大きい。3次元CAD設計による提案を行っており、3次元CAD Inventor、3次元ソリッド板金CAD SheetWorks×2台を活用して、得意先メーカーの設計部門とオンラインで製品の3次元モデルを共有したコラボレーションエンジニアリングなどを徹底している。
同社は「板金加工業界のベンチャー企業」として、時代に先駆けて新しい機器や技術を積極的に導入し、若い世代への技術の伝承を行ってきた。
「精密板金加工も機械化・自動化が進んでいますが、最終的な精度を出すのはベテラン技術者の目と腕です。当社は品質や精度にこだわるために熟練工を大切にしています。熟練工が培ってきたかけがえのない技術・技能を若い世代へ継承するための企業風土づくりを行っています」(小瀬社長)。
ファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ
溶接エリアに導入したファイバーレーザ溶接システムFLW-4000
板金企業をM&Aし、年商は5億円越えに
最近の業況は2022年まで好調だった半導体製造装置関連が2023年後半から落ち込んでおり、2025年以降の回復を期待している。一方で、医療・医用機器、食品機械、スタートアップ企業からの受注は順調で、半導体製造装置の落ち込みをカバーし、売上は前期比横ばいで推移している。
今年6月には銀行の紹介により後継者難の従業員4名の板金加工企業をM&Aで取得したことで、グループの年商は5億円超えとなった。
「今後も精密板金加工に関連する、優れた人材・技術・設備がある企業を積極的に企業買収することで、『武蔵工業グループ』として、一気通貫のものづくり提案ができるようになりたい」(小瀬社長)という。
左:組立作業/右:医用電子機器の筐体
会社情報
- 会社名
- 有限会社 武蔵工業
- 代表取締役
- 小瀬 公嗣
- 所在地
- 神奈川県横浜市港北区新羽町574-6
- 電話
- 045-531-1304
- 設立
- 1982年
- 従業員数
- 20名
- 主要事業
- 精密板金加工、設計、試作、溶接、アセンブリ(梱包)
つづきは本誌2024年11月号でご購読下さい。