特集

ベンディング自動化の最新動向

「5年後の製造現場」を想定してベンディングロボットを初導入

DX・IoTを推進 ― ERPを共同開発中

株式会社 林製作所

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画像:「5年後の製造現場」を想定してベンディングロボットを初導入ファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ(左)とベンディングロボットシステムEG-6013AR(右奥)の自動化設備が並ぶ

「5年後の製造現場」を想定してベンディングロボットを初導入

画像:「5年後の製造現場」を想定してベンディングロボットを初導入林司社長

㈱林製作所は2022年3月、同社初のベンディングロボットシステムEG-6013ARを導入した。受注が増えつつある食品ロボット部品への適用を想定して導入し、すでにロット50個を超える製品、曲げ工程数が多い製品を中心にEG-ARへの置き換えを進めている。

同社にとってEG-ARの導入は、中長期的な視点で見た戦略的な投資判断であり、ものづくりプロセスの改革を推進するための橋頭堡とも言うべき性格を持っていた。

林司社長は、EG-ARを導入した意図について次のように語っている。

「EG-ARは5年後、10年後の製造現場をイメージして導入を決めました。費用対効果の即効性でいえば、自動金型交換装置付きベンディングマシン(HG-ATCシリーズ)の方が確実でしたが、目先の効果よりも将来へ向けた投資をしようと考えました」。

「多くの方が同じ印象をお持ちだと思いますが、HG-ARsやEG-ARが登場したことで、いよいよベンディングロボットが本格的な普及段階に入ったと感じています。人とロボットの守備範囲の境界線が大きく動き、これまで以上にロボットに置き換えられる仕事が増えていく。ものづくりに対する根本的な考え方や向き合い方、会社が社員に求めるスキルも、今後数年で劇的に変化していくと見ています」。

「ロボットの普及が一巡した頃に導入しても、先行している企業に追いつくのは難しい。ロボットの運用には技術的なノウハウの積み上げが必要ですし、社員たちがロボットに慣れ、受け入れるための移行期間も必要です。今のうちに試行錯誤を重ねて意識改革を促し、できるだけ早く『ロボットがあるのが当たり前の製造現場』を自分たちのものにしたいと考えました」。

  • 画像:「5年後の製造現場」を想定してベンディングロボットを初導入EG-6013ARによる曲げ加工。直接的には食品ロボット部品への適用を想定して導入し、汎用ベンダーからの置き換えを進めている
  • 画像:「5年後の製造現場」を想定してベンディングロボットを初導入EG-ARで加工している製品の一部。スポット溶接済みの製品(左)の一部は展開寸法313×402㎜、SPCC・板厚1.2㎜の12回曲げ

「工程の最適化」を提案するものづくりパートナー

林製作所は創業95年の老舗企業。戦後から1960年代までは「カモメホーム」のブランド名で膨張圧力洗濯機「カモメ洗濯機」や石油ストーブ、ガス器具などの自社製品を製造・販売し、1970年に精密板金加工・プレス加工・溶接などを主とする部品加工業へと事業転換した。

メーカー時代から培ってきたプレス加工のノウハウと精密板金加工技術をフレキシブルに融合させた「工程の最適化」の提案には定評がある。

同社ならではの提供価値として、①小ロットでもリピートする仕事は“量産”とみなす「多品種少量“量産”」への対応、②プレス加工や溶接などと組み合わせた「複合板金加工」への対応、③設計・開発をバックアップする「ものづくりパートナー」としての対応 ― を掲げ、とりわけ“量産”を見据えた設計変更や工法転換の提案によって得意先の信頼を獲得してきた。樹脂3Dプリンターによりプレス試作用の簡易型を製作するなどユニークな取り組みも行っている。

画像:「5年後の製造現場」を想定してベンディングロボットを初導入左:ブランク工程の主力であるファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ(2棚+TK仕様)/右:開発中のクラウドERPの受注台帳と工程・設備別生産実績のグラフ

会社情報

会社名
株式会社 林製作所
代表取締役
林 司
所在地
群馬県高崎市沖町368-1
電話
027-343-1211
設立
1947年(1927年創業)
従業員数
45名
主要事業
精密板金加工・金属プレス加工を主体とする部品・製品の製作・組立
URL
https://hayashi-mfg.jp/

つづきは本誌2022年11月号でご購読下さい。

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