変化対応力と設備力で競争に打ち勝つ板金企業
その先の一歩へ ― 金属加工のリーディングカンパニーとして
ENSIS-AJ(9kW)と19㎜の曲げに対応するベンディングマシンを導入
株式会社 青鋼
コロナ禍でも大型投資を断行
東大阪市で各種金属の切断や機械加工などを行う金属加工のリーディングカンパニーである㈱青鋼には、2019年4月にファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ(9kW)の導入効果を取材するため訪れている(小誌2019年6月号に掲載)。その際に「新たに曲げ加工設備を導入して、切断から曲げ加工までをワンストップで提供できるジョブショップを目指して、新工場建設を計画中」という話をお聞きした。
そして今年、コロナ禍の影響で市況が悪化している中にもかかわらず同社はこの計画を断行、新工場を竣工した。板厚19㎜の曲げ加工に対応できる加圧能力350トン、曲げ長さ3mのベンディングマシンHD-3503NTに加え、精密部品の曲げ加工にも対応できるEG-6013を導入。本社工場には、ENSIS-3015AJ(2kW)との入れ替えでENSIS-3015AJ(9kW)+LST-3015Gの2号機を導入した。
企業を取り巻く経済環境の急激な変化と先行きへの不透明感から、設備投資を凍結したり中止したりする企業が増えている中でのこの決断に、ぜひお話をうかがいたいと再び取材に訪れた。
新工場に2台のベンディングマシンを導入
本社工場から徒歩で5分ほどの場所に竣工した第2工場2階の応接室で、1年半前には製造部長だった田村繁紀取締役本部長に話をうかがうことができた。
新工場の1階ではベンディングマシンHD-3503NTとEG-6013、シャーリングマシンが稼働している。新工場の敷地面積は150坪、工場建屋は100坪ほどになる。
「工場建設は2019年後半に始まり、新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発令された時期に竣工しました。2台のベンディングマシンも緊急事態宣言が解除される頃には稼働を始めていました。2kW搭載のENSIS-3015AJを9kW搭載のENSIS-3015AJに入れ替えたのは2020年9月ですが、こうした計画は以前にもお話したように既定路線でした」。
「コロナ禍による影響で当社も2020年2月以降の受注は、前年比で10%落ち込みましたが、それ以上に落ち込むことはありませんでした。切断から曲げ加工までワンストップで対応できるようになったことが理由のひとつですが、9kW搭載のENSIS-AJの加工スピードや切断面品質に対するお客さまの評価が高かったことが、もうひとつの理由です。同じ板厚の材料を2kWマシンと9kWマシンで加工して比較すると、明らかに加工スピード・切断面品質―特に切断面のテーパー(ベベル角)が大きく異なります。お客さまからは『加工するなら9kWマシンで』というリクエストが出るほどになりました。9月に2kWマシンを、9kWマシンの2号機に入れ替えることができたのは当社にとってタイムリーでした」。
「多くの中小企業が前年比で20~30%落ち込む中、当社が10%の落ち込みで留まることができたのは青木社長の決断のおかげだと思います。当社は10年ほど前から開先加工とショットブラスト加工、6年ほど前からタップ加工とフライス加工を社内に取り込み、切板だけでなく2次加工まで対応することで付加価値を高めてきました。そして今回、お客さまからの『曲げ加工までワンストップで加工してほしい』という要望にも対応できるようになりました。コロナ禍によって短納期の仕事が増えており、その意味でも9kWマシンが2台体制となったことは大きいと思います」(田村取締役)。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 青鋼
- 代表取締役社長
- 青木 宏
- 所在地
- 大阪府東大阪市水走4-3-19
- 電話
- 072-962-5516
- 創業
- 1984年
- 従業員数
- 30名
- 事業内容
- レーザマシン・シャーリング・ガス溶断・フライス盤などによるスチール・ステンレス・銅・真鍮・アルミなどの切断・切削・穴あけ、曲げ加工全般
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