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「日本を変えるようなものづくりに関わりたい」 - 若き社長の熱い情熱
熊倉シャーリング 有限会社
薄板切断事業から板金加工へ業態変化
熊倉シャーリング㈲の創業は1970年。もともと広大な農地を所有する農家だった現会長の父が、新潟県に本社がある鋼材総合商社から板厚1.2~1.6㎜を中心とした0.5〜2.3㎜までの薄板鋼板切断の仕事を受注、シャーリングによる切板加工業を始めた。1990年からは切断後の抜き・曲げの板金加工の仕事まで手がけるようになり、精密板金加工業に転換した。
1981年に生まれた熊倉正人社長は、幼い頃から鋼材切断や板金加工の仕事に馴染み、大学では生産工学部で学んだ。学生時代から好きだったコンピュータプログラム関係のIT企業に就職、SEとして仕事に携わり、入社3年目には大手自動車メーカーの基幹サーバー運用のリーダー役に抜擢された。
そんな頃に父親から「実家には、いつ戻れるのか」という話が出るようになった。それまで事業承継のことについて、いっさい口に出さなかった父からの突然の話だけに真剣に考え、実家の仕事を手伝うことを決断した。1年間の猶予をもらい、語学研修も兼ねてオーストラリアとニュージーランドで1年間のバックパッカー生活を経験し、2008年に27歳で入社した。
最初の仕事は、レーザマシンQuattroのオペレーションと2次元CAD/CAM AP100を使った展開・プログラム作業だった。
若手経営者と交流し事業家としての研鑽に努める
熊倉社長は「プログラムの仕事は好きだったので板金図面の読み方を学び、操作を覚え、Quattroのレーザ加工用プログラム、PEGA、VIPROSのパンチング加工用プログラムを作成、合間にレーザオペレータの仕事をこなしました。また、入社と同時に中小企業大学校三条校で1年間の研修に参加、事業承継者としてさまざまな勉強をさせてもらいました。燕三条青年会議所『つばさん』にも入会、同世代の若手経営者とも交流し、事業家としての研鑽に努めました」。
「3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入して農機具や調理器具、精密機器部品の設計などさまざまな仕事をこなし、力を認められて専務に就任、社長のサポートをとおして、次第に経営のおもしろさも感じるようになりました。そして、創業以来の柱であるシャーリング事業以外に、もう一つの柱として精密板金事業を拡大させようと考えました。得意先を拡大するとともに情報の上流から参画し、部品加工からサブアッシー、組立まで、付加価値を生み出せる仕事を取り込み、お客さまのニーズに合わせた丁寧な製品づくりを心がけました」。
「また、『自社ブランド製品を手がけたい』との考えから、2013年には鳥インフルエンザなどの感染症に対応する鶏舎、牛舎、畑などに殺菌用の石灰や肥料など粉状のものを簡単に散布できる自社製品『けん太君』を製作・発表しました」と語っている。
会社情報
- 会社名
- 熊倉シャーリング 有限会社
- 代表取締役社長
- 熊倉 正人
- 所在地
- 新潟県燕市杉名45
- 電話
- 0256-63-7121
- 設立
- 1970年
- 従業員数
- 39名
- 主要事業
- 仮設・プレハブのフレームおよび部品、空気清浄装置部品、暖房機器の部品製造、厨房機器、各種精密機器用部品の加工、鉄・ステンレスなどの切断
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