トランスミッション系部品の量産に自動化プレスラインで対応
最大7工程・1800トンタンデムラインを構築/5台のサーボプレスが高張力鋼板の加工と工法転換に貢献
株式会社 新タニガキ
ミッション系部品の量産に自動化プレスラインで対応
㈱新タニガキは、名古屋に本社を置く鉄鋼・機械を中心とする産業材を扱う商社・岡谷鋼機㈱のグループ会社として、主に自動車部品の金属プレス加工を手がけている。
2005年から、クラッチやトルクコンバーターといったトランスミッション系の部品を手がける大手自動車部品メーカーとの取引を拡大し、濃密なパートナーシップを構築。事業の軸足を電機部品から自動車部品へと移していき、今では自動車部品の売上が主となっている。
自動車部品 ― トランスミッション系の部品を構成するプレス部品は、電機部品と比べて形状が複雑で、重要機能部品であるために要求品質も格段に高い。また、電機部品は単発プレスによる多品種少量生産がメインで、溶接を含む2次加工まで対応していたが、自動車部品は生産数量がケタちがい。しかも、得意先メーカーからはさらなる増産計画を打ち出され、同社も自動化プレスラインを中心とした能力増強が求められた。
同社は2005年後半から順次、順送ラインとトランスファーロボットラインを導入し、プレス工程の自動化を推進してきた。プレスマシンは新設に限らず、現有設備に対してレベラーフィーダーや2軸搬送ロボットを後付けし、自動化ラインに仕立てているものもある。
現在保有するプレスマシンは計38台で、内訳はトランスファーロボットライン6ライン(最大7台ライン、計20台)、順送ライン8台(最大300トン)、単発プレス10台で、全体の70%強が自動化ラインとなっている。基本的には順送ラインでコイル材からブランキングを行い、そのブランク材をロボットラインで成形する方式を採っている。
サーボプレスが生産性向上・工法転換に貢献
このうち、順送ライン2台(SDEW-3025、SDE-1522)とロボットライン1ライン(SDE-2025×3台)の計5台はサーボプレス。スライドモーションを任意に制御できるサーボプレスの特徴を生かし、下死点近傍でスライドを往復運動させる「振り子モーション」によるSPM向上、従来のメカプレスや油圧プレスでは対応が難しかった難加工材(高張力鋼板など)や複雑形状の安定加工などに活用している。
最初に導入したサーボプレスはSDE-1522(2006年導入)だった。シェービング加工の品質確認のためにアマダ・ソリューションセンターで金型トライを行ったのがきっかけで、加工精度と再現性の高さから導入を決断。最初は単発で導入したが、後付けでレベラーフィーダーを導入し、現在は順送ラインとして活用している。
「『振り子モーション』を活用してSPMを高めつつ、主にブランキングに活用していますが、中には成形まで行う製品もあります。たとえば、キャップのような絞り形状の製品は、板厚減少率が図面上で指定されていて、従来のメカプレスではなかなか品質が安定しませんでした。専用金型を起こしてSDE-1522に切り替えてからは安定加工ができるようになり、現在は月間40万ショットくらい打っていますが、工程能力を満足し、ノンクレームです」と谷垣社長は評価する。
2011年に導入したSDEW-3025(300トン)も主にブランキングに活用しているのはSDE-1522と同様だが、300トンの加圧能力とサーボプレス特有のモーション制御により高い成形能力を発揮できる特性を生かして工法転換を提案し、新規部品の受注獲得も進めている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 新タニガキ
- 代表取締役社長
- 谷垣 歳宏
- 住所
- 大阪府豊中市原田中1-4-11
- 電話
- 06-6855-3521
- 設立
- 2005年
- 従業員数
- 46名
- 事業内容
- クラッチ、トルクコンバーターなど自動車部品の金属プレス加工
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