ENSIS-3015RIで厚板とパイプ・形鋼を内製化
ファイバーレーザ搭載機種3台を一挙に導入 — 省熱化に対応
有限会社 シートメタルジップ
1年半で従業員数・売上とも3倍に
㈲シートメタルジップは、鋼板・ステンレス・アルミの精密板金加工・精密製缶加工・精密機械加工に対応し、組立・アセンブリー、完成品までワンストップで対応。仕上がり品質の高さと短納期対応には定評があり、新工場移転と最新鋭設備の導入を機に、約1年半という短期間で売上・従業員数ともに約3倍と、急成長を遂げている。
小口浩幸社長は、長野県内の精密板金加工企業で工場長を勤めたのち独立、1994年に32歳で同社を設立した。それ以来、クリーンルームで使用するステンレス製の装置フレームや電光掲示板のフレームなど、フレーム構造の精密製缶加工技術を強みに、事業を発展させてきた。
リーマンショックの影響で仕事量が大きく落ち込んだ2009年頃からは、それまでに培ってきた加工技術を生かし、スズキのオフロード四輪駆動車「ジムニー」の専用カスタムパーツを自社ブランド商品として展開している。
その後、業績の回復にともない工場が手狭になってきたことから、2017年10月に現在地に移転。それから1年半の短期間で、従業員数は移転前の9名から30名超に、売上も約3倍に増加した。
小口浩幸社長は「旧工場はスペースのゆとりがなく、当社が得意な中・大型製品の引合いをいただいても受注できずに機会損失が発生していました。新しい仕事を受注するたびに前の仕事を片づけなければならず、ムダも多かった。新工場に移って加工設備を増設してからは、スペース・生産能力ともに拡充され、仕事量が増えています」と語っている。
精密製缶から完成品まで対応
現在の得意先は約70社。そのうち毎月定期的に受注しているのは約50社。分散化を心がけ、最も大きな得意先でも売上全体に占める割合は10%台と低い。
主要製品は、工場設備・業務用設備機器・産業機器・食品機械・各種搬送装置などの架台・フレーム・筐体・カバーなど。2018年からは次々と新たな得意先・製品の受注に成功している。
なかでも宿泊施設に設置する循環式浴槽は、メカ部品・配管部品・電装部品まですべて社内で組み付け、完成品として出荷している。循環式浴槽は宿泊施設の全室に設置されるため、1件あたりの受注数量が多い。大型の浴槽だと4,000×2,000㎜くらいになるため、3分割して製作・出荷し、現場溶接(施工は別)を行うこともある。浴槽はステンレス・板厚2~3㎜で、その周囲に角パイプやステンレスのアングルによる補強や台座が必要になる。同社が得意とする精密製缶分野の製品で、小口社長は「全国的に宿泊施設の建設が増えており、時流に乗って循環式浴槽の受注量も右肩上がりで増えています」と語る。
同社が取り扱う鋼種は、鋼板45%、ステンレス45%、アルミ10%。鋼板のうち、20%程度はZAMなどの表面処理鋼板となっている。板厚は、鋼板は0.1~19㎜、ステンレスは0.1~9㎜まで社内で加工。フレーム構造の装置や架台が多いことから、パイプ・形鋼も多く使用する。
定期的にリピート受注する製品もあるが、物件対応の製品が多いことから平均ロットサイズは5~6個、新規品の割合が60~70%となっている。
会社情報
- 会社名
- 有限会社 シートメタルジップ
- 代表取締役
- 小口 浩幸
- 住所
- 長野県松本市市場9−2
- 電話
- 0263-27-1444
- 設立
- 1994年
- 従業員数
- 30名
- 事業内容
- 精密板金加工・筐体製作・精密機械加工・パイプ加工/自動車部品設計・製造・販売
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