コスト・調達の見直しが進む工作機械カバー
「YOSHIMI IoT System」構築でデジタル板金を加速
工作機械カバーをプラモデル感覚でつくる
有限会社 吉見鈑金製作所
安心のデジタル一貫生産を構築
㈲吉見鈑金製作所は、多品種少量・変種変量生産に対応したデジタル一貫生産体制を構築 ― ①受注から手配、出荷までを一元管理、②立体姿図を利用したまちがいのないモノづくり、③社内ネットワークの構築による工程の“見える化”、④頭脳展開を外段取り化して工数削減を実現 ― などにより、「お客さまとともに成長できる企業」を目指している。
立体姿図を活用し、図面から完成までに何が必要なのか判断。作業指示書はいわば設計図であり、取扱説明書。経験にかかわらず、どの社員に対しても製造方法・情報を水平展開し、「プラモデルをつくるような感覚でのモノづくりに挑戦」、手戻りのないノンストップ生産を実現した。
現場では、新規製品もリピート品と同じ感覚でモノづくりができるか考え、作業者はタブレット端末で進捗管理や品質管理を行っている。
工作機械カバーが売上の半分を占める
同社は、吉見昌高社長の父である吉見昌弘会長が1988年に設立。県内の工作機械メーカーから受注するカバー・部品の製作を中心に、新規品や多品種少量生産へ対応。設計から加工・溶接・塗装・組立・シルク印刷までの一貫生産を強みに発展してきた。
1996年、24歳で同社に入社した吉見社長は、2006年に専務に就任すると、受注の平準化とリスク分散を行うため、医療機器・半導体製造装置・鉄道車両・農業機械・太陽光発電システムなどの新規分野開拓に取り組んだ。
2012年、40歳になった吉見社長が2代目社長に就任した時点で、得意先社数は120社に倍増。売上も2倍以上に増え、従業員数も56名(外国人技能実習生7名含む)を抱える長野県内でも有力な板金加工企業に発展した。
現在は、売上の半分を占める工作機械カバー関連の仕事が絶好調。県内企業のNC旋盤向けのクーラントカバーに加え、国内トップメーカー数社からオファーが入り、そのうちの1社からは大型マシニングセンタを中心としたスプラッシュガード、オイルパン、クーラントカバーなどを受注している。
ほかにも数社からオファーをいただいていますが、現場が手一杯の状況なので、待っていただいているのが実情です」と吉見社長は語る。
工作機械メーカーからオファーが集まるのには理由がある。それは同社の設備力。10年前に導入したパンチ・レーザ複合マシンEML-3510NTP+AS-48RMはつかみ換えなし、4´×8´の大板からブランク、成形、タップ加工ができる。さらに2年前に導入した自動金型交換装置を備えたベンディングマシンHG-1003ATCは、ロットは多くても5個、大半は1~2個という多品種少量のカバー生産にタイムリーに対応できている。
とくに、Webサイトで保有設備や対応力を訴求していることから、Webを通じて引合いがかかるケースも多いという。
会社情報
- 会社名
- 有限会社 吉見鈑金製作所
- 代表取締役
- 吉見 昌高
- 住所
- 長野県上田市小泉346-1
- 電話
- 0268-27-7647
- 設立
- 1988年
- 従業員数
- 56名
- 主要製品
- 工作機械・環境機器・医療機器・農業機器・鉄道車両・制御盤・半導体製造装置・射出成形機などのカバー・機構部品
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