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「第7回 経営者フォーラム」開催

「自社ブランド商品を捨てるビジネスモデル」

厨房板金に特化した“みんなの工場”戦略でV字回復

株式会社 ハイサーブウエノ 代表取締役社長 小越 元晴 氏

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画像:オーバーフローした仕事の“受け皿”を模索小越元晴氏

第7回目となる「経営者フォーラム」(主催・職業訓練法人アマダスクール)が8月3日、FORUM246(神奈川県伊勢原市)で開催され、㈱ハイサーブウエノ(新潟県三条市)代表取締役社長・小越元晴氏「自社ブランド商品を捨てるビジネスモデル」と題して講演を行った。

㈱ハイサーブウエノは、厨房板金・厨房機器製造に特化しており、プランニング・デザインから製造、アフターサービスまで一貫で対応している。

また、自社ブランド商品を持たないことを“強み”として、モノを売り込むのではなく、外食産業の得意先に寄り添って、厨房のシステムづくりのお手伝いをする「みんなの工場」というビジネスモデルを確立。都市型店舗から郊外型店舗までさまざまな物件に対して最適なシステムを提案している。今年6月には、そうした事業への取り組みが「第5回新潟ニュービジネス大賞」を受賞した。

経営者フォーラムへの参加者は、アマダの各地のテクニカルセンター、ソリューションセンター、営業所など全国7カ所の同時中継先を含め、101名となった。

以下、小越社長の講演内容を一部抜粋して紹介する。

社員の2/3が退職した「第一の谷」

私が入社以来、当社にはこれまで、会社がつぶれそうなほどの大きな谷が3つあった。

そのひとつ目の谷が、主力得意先との取引停止。当時はコンベヤーなど回転ずし関連製品が主力で、1社頼みの商売をしていた。しかし、当社がもつすべての特許を無料で譲渡することを要請され、断ったことで当社への発注が止まり、売上は50%減、利益は70%減となり、債務超過に陥った。

それからの数年間で社員の2/3が退職。当時の工場長も「今までの技術を生かしてほかで活躍したい」と辞めていった。熟練者が抜けていくと当然、素人集団になってしまう。技術力が落ち、納期の段取りも全然できない状態だった。仕事をすればするほどクレームが起き、テーブルのようなシンプルな形状の製品をつくってもクレームが出た。

私は当時、社員を「面倒を見てやらなければいけない」存在としか思っていなかった。社員がいい加減なものをつくる、品質管理をちゃんとしていない ― 「だからお前たちはダメなんだ」と思っていた。そうすると当然、会社の雰囲気も悪くなる。

当時、私はまさに「被害者」の感覚だった。「ダメな会社と社員の面倒をみなきゃいけない」「夢も希望もない」―その頃は本当にやらされているだけの事業継承者だった。

しかし生き残らなくてはいけないので、①1社あたりの売上比率を25%以下にする、②手形の新規顧客を持たない、③新卒者を毎年採用する ― という3つのルールをつくった。

とくに③は大きかった。新卒者は固定観念がなく、人の話に素直に耳を傾けてくれる、私自身もそんな新卒者たちと話しているうちにモチベーションが上がり、「この子がベテランになるまで雇用できる会社にしなきゃいけない」という思いが強くなった。

旧来の職人変革も進んだ。旧来のやり方の延長じゃ生き残れないという意識を持った社員が増えていった。

旧来の営業方法もこのときに変更した。安い仕事でも、利益が上がるように工夫しようと考え、コンビニに設置する作業台をつくる業務などをはじめた。とても利益の薄い仕事だったが、現場の社員はこういうつくり方をしたら利益が上がるんじゃないかと考えてくれた。

  • 画像:オーバーフローした仕事の“受け皿”を模索「みんなの工場戦略」と「総合厨房戦略」の2つを軸をもったハイサーブウエノのビジネスモデル
  • 画像:オーバーフローした仕事の“受け皿”を模索講演会中の会場の様子

つづきは本誌2018年9月号でご購読下さい。

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