Interview

「SHISAKU」を世界の共通語に

モノづくりのAmazon、Googleになることも夢ではない

株式会社 最上インクス 代表取締役社長 鈴木 滋朗 氏(京都試作ネット・代表理事)

LINEで送る
Pocket

画像:「SHISAKU」を世界の共通語に㈱最上インクス 代表取締役社長 鈴木滋朗 氏

㈱最上インクスはプレス・板金加工を主体とする金属加工企業。2001年に現・相談役の鈴木三朗氏が中心となって、京都に世界中の「試作」の仕事を集積するために、10社で「京都試作ネット」を立ち上げ、企画から開発・試作・量産までの受注活動を展開してきた。そうした活動を通して同社では売上の半分が試作、残りが量産という構成となってきた。

「当社はお客さまからいただいた仕事に『付加価値』を上のせし、オリジナリティーに満ちた製品・工法を提案することでお客さまの事業を成功させるイノベーションパートナーでありたい」と、鈴木滋朗社長は語る。1個の試作から量産用試作までを、どこよりもはやく提供することをモットーに事業を展開。同社が提供する超精密部品などは、お客さまが販売する世界最小製品、世界初の製品、ハイブリッド車、燃料電池、太陽光発電、携帯電話、スマートフォン、医療機器などの開発や早期市場投入などに貢献している。

そのために同社は自社で開発・製造した試作専用プレス機「町家(まちや)プレス」を多数活用する。「京都に残る“町家”でも使えるように」という思いを込めて開発された小型のプレス機で、高精度の加工ができる。さらに、簡易金型(カセット金型)を駆使することで、高精度・短納期・低コストを実現している。また、米国・カリフォルニア州サンタクララに営業拠点を開設、ドイツ・デュッセルドルフにコンタクトパーソンをおくなど、海外からの受注にも積極的な姿勢を見せている。

2016年から京都試作ネットの4代目代表理事に就任した鈴木滋朗社長に、京都試作ネットの今後の展望と併せ、企業経営の考え方を聞いた。

「SHISAKU」を世界に広げる

― 2014年に鈴木三朗相談役に京都試作ネットについて取材させていただいた際、会員はピーター・F・ドラッカーの『現代の経営』を勉強されており、企業経営の基本はマーケティングとイノベーションにあり、「市場の創造」と「顧客の創造」が最も重要であるという認識で活動している、というお話を伺いました。

鈴木滋朗社長(以下、姓のみ) はい、それが根本にあります。仕事を受け身で待つのではなく、市場とお客さまを積極的に創造する活動をしないといけません。

京都試作ネットに入会を希望される方の意識の中には「共同受注グループ」のような発想があって、「会員になれば仕事をまわしてもらえる」という考えをお持ちの方もおられました。年会費60万円を払って勉強会をやるだけで、実利につながらない、そんな方には入会をお断りし、現在は50社あまりで活動しています。

しかし、残られた会員の中には、従業員規模が800名という中堅企業もあり、全員がドラッカーを勉強し、みんなで市場創造による顧客の創造に力を入れ、京都に世界から試作 ― 「SHISAKU」の仕事を集めようという意識を持っています。

  • 画像:「SHISAKU」を世界の共通語に毎年2月に米国・アナハイムで開催されるヘルスケアの国際的な展示会「MD&M」に出展した京都試作ネットのブース
  • 画像:「SHISAKU」を世界の共通語に最上インクスの試作実績。燃料電池用薄板金属セパレーター

会社情報

会社名
株式会社 最上インクス
代表取締役社長
鈴木 滋朗
住所
京都府京都市右京区西院西寿町5
電話
075-312-8775
設立
1965年(1950年創業)
主要製品
電機・電子部品、通信機器、車載電装、分析機器、エネルギー、Fin、その他
URL
http://www.saijoinx.com/

つづきは本誌2017年11月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Interview記事一覧はこちらから