順送金型設計製作・精密プレス加工のトップブランド
「金型パーマネントセット生産システム」による超高効率生産
株式会社 伊藤製作所
順送金型・精密プレス加工のパイオニア
㈱伊藤製作所は、三重県四日市市にある順送金型設計製作・精密プレス加工のパイオニア企業。1995年には中小製造業としてはいち早くフィリピンに工場進出し、2013年にはインドネシアの現地財閥New Armadaに請われるかたちで合弁会社「Pt. Ito-Seisakusho Armada」を設立した。両社とも独力で金型の設計・製造を行える能力を身につけ、インドネシア事業所は2016年に自動車産業向け品質管理の国際規格ISO/TS16949を取得している。
3拠点とも、手がけている製品の95%は自動車部品で、シート、各種電子ターミナル、エアバッグ、パワートレインなどの関連部品を加工している。日本の本社で取り扱う部品の種類は900アイテム、1日に130万個生産している。前期売上高は、日本が36億円、フィリピン事業所が6億円、インドネシア事業所が4億円強となっている。
今年1月には、フィリピンとインドネシアに日本のモノづくりを根づかせる取り組みが認められ、安倍首相のASEAN 4カ国歴訪に伊藤澄夫社長が同行。安倍首相は外遊を総括するベトナムでの記者会見で「日本の技術を単に持ち込むのではなく、人を育て、しっかりとその地に根づかせる。これが日本のやり方です」と述べ、同社の取り組みを紹介した。また、長年蓄積した金型技術による産業界への貢献と、早くから海外に進出し、中小製造業の海外展開のモデルケースをつくったことが認められ、2017年の春の叙勲では伊藤社長が「旭日単光章」を受章した。
「金型パーマネントセット生産システム」
同社は2002年以来、省人化・無人化の取り組みに力を入れている。中でも特徴的なのは、プレス機に金型を付けっぱなしにすることで専用機化し、段取り替えを排することで生産性を大幅に高める「金型パーマネントセット生産システム」である。
「2002年にシートリフタークラッチという部品の加工を受注しました。月産3万個からはじまって、将来は月産100万個まで生産量が増えるといわれていました。100万個までいかなくても、50万個を超えれば事業の柱になる―これを機に設備力強化による自動化・省人化を考え、毎年5~10台ずつプレス機を導入し、工場を拡張していきました」。
2002年に45台しかなかったプレス機は、現在では2倍超の100台まで増えた。そして、月産10万個以上受注する部品については、プレス機に金型を付けっぱなしにして専用機化、プレス機100台のうち65台は専用金型をセットしたままにして、メンテナンスのとき以外は取り外さない。
金型段取りを不要にすることで、特急の仕事が入っても経験の浅い社員やパート社員で十分対応できる。段取り替えによる精度の微妙なズレもなく、安定した品質を維持できる。段取り替えの際の金型の損傷もない。そして省人化・省熟化の効果により、大幅なコストダウンを無理なく実現できる。
そのかわり、設備稼働率は30%程度と高くない。トヨタ生産方式が浸透している金属プレス加工業界では、設備稼働率を高めなければ利益は出ないという考え方が一般的だが、同社の取り組みはそうした常識をくつがえすものだった。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 伊藤製作所
- 代表取締役社長
- 伊藤 澄夫
- 住所
- 三重県四日市市広永町101
- 電話
- 059-364-7111
- 設立
- 1957年(1945年創業)
- 従業員数
- 110名
- 主要事業
- 順送金型設計製作、プレス部品加工、部品組立
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