“加工価値創造”で加工の総合企業を目指す
企業連携で新たなビジネスモデルを確立
日創プロニティ 株式会社 代表取締役社長 石田 徹 さん
福岡証券取引所Q-Boardに上場する日創プロニティ㈱。2012年に再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度がスタートして以降、太陽光パネルを支える板金製の架台を製造販売していた同社の株価は急騰。2013年3月には上場以来の最高値となる7,600円を付けた。2013年8月期は売上63億円・経常利益27億円、2014年8月期は78億円・28億円、2015年8月期は75億円・22億円で、直近3年間の経常利益率は30%以上を維持。板金業界の平均的な利益率が10%以下で推移している中、同社の利益率の高さは際立つ。
しかし昨年9月の九電ショックで、新規に太陽光発電事業に進出する動きが鈍化した。これによって同社が製造するパネル架台需要にも下振れリスクが高まった。同社製架台の仕向け先は太陽光発電の中でも出力が1MW以上のメガソーラーが高い割合を占めており、今後の事業計画にも少なからず影響することが予想される。
そのような市場の懸念をよそに、同社は2014年度決算(2015年8月期)発表にともない、2017年度(2018年8月期)までの向こう3カ年の中期経営計画を発表。その中で「新たなステージへの挑戦―Challenge the next stage―創業40周年へ向けて」を発表し、「加工価値の創造による無限大の可能性を追求し続け、加工の総合企
業を目指し、加工価値の創造による社会貢献を図りながら、加工業界のリーディングカンパニーになる」との目標を掲げた。加工業界全体を見据えた構想を持つ同社の2代目経営者、石田徹社長に話を聞いた。
――御社は板金業界では唯一、2007年に福岡証券取引所が開設する新興企業向けの株式市場Q-Boardに株式上場をされています。上場の目的や経緯をお聞かせください。
石田徹社長(以下、姓のみ) 当社は創業者である石田利幸会長が「加工のデパートを目指し、加工アイテムの増加に経営資源を集中する」「加工ベンチャーの精神で、“加工”の2文字が持つ無限大の可能性を追求し続ける」という経営理念(2014年8月期までの経営理念)を掲げ、継続的な成長と企業価値の向上に努めてきました。そして、上場する5年前の2002年頃から、マザーズやJASDAQなどの証券市場を見据え、株式上場を目標にしていました。当時の当社は次のステージへ上がるために、何か新しいことをしなければならない時期に差しかかっていました。そうした折に、福岡証券取引所から2005年に開設したQ-Board株式市場への上場を熱心に勧められました。当社の本社は福岡県です。地域貢献も社会的責任のひとつであり、また「何事もやってみないことにはわからない。まずはやってみよう」という想いから、株式上場を決断しました。
――パブリックカンパニーには、ステークホルダーである投資家への利益還元という責任が発生し、非上場の頃と比べ、透明性の確保や会社情報のディスクローズが重要です。
石田 企業責任が重くなるという面は、たしかにありますが、株式上場による知名度向上や会社の情報をオープンにすることで、信頼を獲得できるといったメリットもあります。当社はもともと、工場見学を厭わず、企業情報などをオープンにしてきた会社です。そういう意味では、上場後もそれほど違和感はありません。ただ、当社を取り巻く事業環境は変化しています。こうした事業環境の変化に対応していくため、先日(10月13日)の決算発表に合わせ、今後3年間の指針となる「中期経営計画」を公表。2018年8月期までに売上高100億円を目指すことを示しました。目標達成のための中期経営戦略としては、①M&Aとアライアンスの推進による事業領域の拡大(事業の多角化)、② 3年間で上限50億円のM&Aおよびアライアンスに係る戦略投資枠の設定――の2つを掲げています。
会社概要
- 会社名
- 日創プロニティ 株式会社
- 代表取締役社長
- 石田 徹
- 住所
- 福岡県福岡市南区向野1-15-29
- 電話
- 092-552-3749
- 設立
- 1983年
- 従業員
- 112名
- 業種
- 太陽電池アレイ支持架台、太陽光発電システム搭載型カーポート、耐火パネルの製作・販売、波板・折板等屋根材、壁材等建築用内外装材、各種金属スレートなどの製作
つづきは本誌2015年12月号でご購読下さい。